捨て犬が災害救助犬に=土砂崩れ、大地震で奮闘-「殺処分ゼロ」向け支援拡大・広島
捨て犬が災害救助犬に=土砂崩れ、大地震で奮闘-「殺処分ゼロ」向け支援拡大・広島
2015年06月07日 14時40分 提供:時事通信
土砂災害現場で行方不明者を捜索する「夢之丞」=2014年8月20日、広島市安佐南区(ピースウィンズ・ジャパン提供)
殺処分寸前だった捨て犬が、災害救助犬として奮闘している。広島県神石高原町の認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)」が保有する雑種のオス「夢之丞」(4歳)だ。昨年夏の広島市の土砂災害で初出動し、4月のネパール大地震でも行方不明者の捜索に当たった。捨てられた命が人を救うために活動する姿は注目を集め、「殺処分ゼロ」への支援も広がっている。
PWJによると、国内外の紛争地などで人道支援活動を続ける中、災害救助犬の必要性が高まった。スタッフの大西純子さん(43)は「殺処分をなくすため、捨て犬を社会の役に立たせたかった」と語る。夢之丞を引き取ったのは2010年11月。県動物愛護センターで腕に抱くと、殺処分の順番と思ったのか体を震わせ失禁したという。
夢之丞は神経質で警戒心が強く、人への不信感が和らぐのに1年かかった。PWJ広報の大成絢子さん(30)は「処分機の中で苦しむ犬たちの鳴き声を聞いていたからでは」と推測する。一方、人を捜す行為に興味を示したため、お菓子を使って意欲をかき立て、地道に訓練を続けた。
初陣は広島市で土砂災害が発生した昨年8月20日。大量の土砂やがれきの中、夢之丞はひるまずに奔走し、土砂に紛れた血痕を発見。下には男性が埋まっていたが、死亡していた。
「4月のネパール大地震での捜索では、足場の悪い中を落ち着いていた」。昨年11月から担当ハンドラーになった原田一兵さん(23)は振り返る。だが、崩壊したレンガ造りの家屋からは人の匂いを嗅ぎつけられなかった。原田さんは「すごい使命を背負いよく頑張っている。今度こそ生存者を発見させてあげたい」と力を込めた。 【時事通信社】
http://news.ameba.jp/20150607-444/