★安倍総理の米議会演説は、成功か?失敗か? | 日本のお姉さん

★安倍総理の米議会演説は、成功か?失敗か?

ロシア政治経済ジャーナル No.1194

2015/5/1
安倍総理は4月29日、アメリカ上下両院合同会議で演説しました。

演説は「成功」だったのでしょうか?

「失敗」だったのでしょうか?

★安倍総理の米議会演説は、成功か?失敗か?



全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!



皆さんご存知のように、安倍総理は4月29日、

アメリカ上下両院合同会議で演説しました。


これについて「賛否両論」でているようですが、どうなのでしょうか?



▼まず「背景」を把握しよう



どんな話をするにも、まず背景を知っておくことが大事です。


日本はどんな状況なのか?


アメリカはどんな状況なのか?


世界はどんな状況なのか?



08年、リーマンショックから「100年に1度の経済危機」が起こりました。


これ、本当に「1929年からの世界恐慌」に匹敵する危機だったのです。



しかし、人類は1929年当時より賢くなっていたので、前回ほどの悲劇は起こりませんでした。


世界の大国は、軒並み大幅なマイナス成長になった。


その中で、中国だけは、09年9.2%、10年10.4%、11年9.3%の成長を果たし、まさに「ひとり勝ち状態」になりました。


(正確にいうと、インドも勝ち組)


これが、中国を「増長」させます。



「アメリカは没落した。

わが国は、これから自由に国益を追求できる!」



と確信したのです。


2010年9月、尖閣中国漁船衝突事件が起こりました。


これをきっかけに、中国は「尖閣はわが国『固有の領土』であり、『核心的利益』である!!!」と全世界に宣言します。


(中国の領土要求は、1970年代はじめからあったが、大声で騒いではいなかった。)



日本も対抗措置をとらざるをえず、2012年9月、政府は尖閣を「国有化」しました。


これに激怒し、中国では超大規模な「反日デモ」が起こったのです。


問題はこの後です。


中国は、どうやって日本に逆襲するのか?


尖閣国有化から2ヵ月後、中国の代表団が、(事実上の)同盟国ロシアの首都モスクワにやってきました。


そして、「中国、ロシア、韓国、【アメリカ】で、【反日統一共同戦線】をつくろう!」と提案したのです。


ポイントは、「【アメリカ】も反日統一共同戦線に引き入れる」と宣言したことです。


「トンデモ、トンデモ、トンデモ~~~」


そんなあなたの声が聞こえます。


しかし、これは絶対証拠つきの事実です。


疑っている方は、ぜひこちらを熟読してください。
http://diamond.jp/articles/-/66110 そして、ずる賢い中国は、この戦略を成就させるために、全世界で大々的な「反日プロパガンダ」をはじめました。



韓国は、中国の先陣を喜んでつとめています。


ここ2~3年、「慰安婦問題」が大騒ぎになっていますね。


これも要するに、中国の「反日統一共同戦線構築戦略」の一環なのです。


中国が罠をしかけたことを知らない安倍総理。


2013年12月26日、靖国を参拝しました。


すると、中韓だけでなく、アメリカ、イギリス、EU、ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などなど、それこそ全世界から非難されたのです。




日本政府は、中国の対日戦略を知らないので、「なんでそうなるの??」とわけがわからなかった。


だって、「小泉総理は在任中6回靖国を参拝したのに、騒いだのは中韓だけだったじゃないか????」と。



特にアメリカの怒りはすさまじく、ブルームバーグは、「尊大な安倍を懲罰せよ!」などと主張していた。


中国の戦略は、まさに成功しつつあった。


そんなとき、安倍総理に「神風」が吹きます。


そう、プーチン・ロシアが2014年3月、クリミアを併合してしまった。


これで、アメリカは、日欧を巻き込んで「対ロシア制裁」を課す必要がでてきた。


安倍叩きは、ひとまずおさまりました。



しかし、中国の「反日統一共同戦線」戦略はいまも継続中です。


中国は今年、「安倍談話」と「憲法改正」問題を大騒ぎすることで、日米を分断させようとしている。


そして、今回の米議会演説については、保守派を支持基盤とする安倍総理ができないのを知りながら、


「慰安婦問題で謝れ!」「アジア侵略について謝れ!」と圧力をかけていた。



中国のプロパガンダに侵食されたアメリカサイドから、そういう要求がでていた。


安倍総理は、演説を前に再び苦境に陥っていたのです。


しかし、また「神風」が吹きました。


それが、「AIIB」事件。


中国主導で設立される「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。


アメリカが「入るなよ!」と命令していたのもかかわらず、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国などが入ってしまった。


なんと57カ国が参加し、大国で不参加はアメリカと日本だけになってしまった。



これで日本は、アメリカにとって、「唯一裏切らなかった忠実な友」になった。




中国は、「覇権を狙うアメリカの主敵」。

韓国は、「裏切り者」。


こういう「追い風」の中で、安倍総理の演説は行われたのです。



▼演説の目的は



2012年11月に明らかにされた中国の「反日統一共同戦線」戦略。


プーチンロシアは、日本との関係を良好に保ちたいので、のらなかった。


韓国は、喜んでプロパガンダの急先鋒をつとめている。


アメリカは、AIIB事件前、かなり中国よりになっていた。


結局、中国世界戦略の最重要課題は、「日本とアメリカを分裂させること」なのです。


GDP世界1のアメリカと3位の日本を分裂させる。


そうすれば、尖閣・沖縄を容易に強奪できる。


大きなところでは、中国がアメリカを蹴落として覇権国家になることができる。



中国の戦略の要= 【日米分断】 にある。


そうであるなら、日本の戦略の要は、【日米関係強化】 にある。

(プラスアルファで、米中分断 をするべきだが。)


というわけで、安倍演説の目的は、


「日本とアメリカの関係を強化すること」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

だった。


「成功」か「失敗」かは、「演説によって日米関係が強化されたか?」で判断されるべきなのです。



▼失敗する演説、成功する演説



演説に先立ち、RPEでは、「こんな演説はダメ!」「こんな演説ならよい!」

と解説。

草案も出し、総理にも送らせていただきました。

(詳細はこちら↓
http://www.mag2.com/p/news/12846



失敗する演説については、こう書きました。


<【間違い1】日本の実績、安倍内閣の実績を延々と話してしまうセールスマンの商品説明でもそうですが、「自分が優れていること」を伝えることは大事です。

しかし 、あんまり延々とやると、アメリカの議員さんたちは「うんざり」することでしょう。

自慢話は、ほどほどにしましょう。

では、何をするの?


皆さん、台湾のことが好きですね?

なぜですか?

台湾が、自慢話をしたことを聞いたことがありますか?

私はありません。

しかし、台湾はいつも、「私たちは日本が大好きです」といいます。

それだけで、日本は台湾のことが 好きなのです。

だから、安倍総理は、自分の実績自慢はそこそこにして、


「私は、アメリカを尊敬している!」


「私は 、アメリカが大好きだ!」


「私は、アメリカの味方だ!」


「アメリカはすごい国だ、人類の希望だ!」



などと繰り返すべきです。

そうすれば、「右翼」「歴史修正主義者」などと呼ばれなくなるでしょう。




【間違い2】中国、韓国の悪口をいってしまう

自分の自慢話をするのと同様、中国と韓国の悪口をいうのも感心できません。

演説の中で、中国や韓国 を名指しして批判することは絶対避けるべきです。

なぜかというと、アメリカの議員さんの中には、中国、韓国からたっぷり金をもらい、中韓の利益のた めに動いている人がいる。

中韓を名指しで批判した途端、反発が強まり、安倍バッシングがはじまります。



【間違い3】歴史問題で弁明してしまう

これもありがちな間違いなのですが、中韓の反日プロパガンダに議会演説で対抗してしまう。

議会演説で説得力のある証拠を提示することは不可能。

それで、総理が何をいおうと、すべて「醜い言い訳」ととられます。

歴史問題には触れることなく、できれば記者会見なども開かない方がよいでしょう。


何か聞かれたら、「日本は第2次大戦について非常に強く反省している。日本はその反省の上に、70年間平和を維持してきた。今後も、日本が他国を侵略することなどありえない」


などと、日本にもアメリカにも、中韓にもいいようにうまくいうべきです。>

簡単にいえば、


・自慢話はそこそこに


・中韓の悪口をいうな


・歴史問題で弁明するな


・とにかく、アメリカを褒めまくり、「アメリカが大好きである!」
ことを示せ



とまあ、こういう話だったのです。


で、実際の演説はどうだったのでしょうか?



▼安倍総理は、「アメリカ大好き民主主義者」であることを宣言した安倍演説について、中韓メディアは、もちろん批判しています。

日本のメディアも「謝罪がなかった」などと批判しています。

しかし、皆さんは、是非安倍総理の演説全文を読んでいただきたいと思います。


できればアメリカ人の気持ちになって。
www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H1E_Z20C15A4M10600/




まず、これを読むとわかりますが、総理は上記三つの間違いをしませんでした。

終始一貫して、「アメリカを褒めること」に徹しています。

見てみましょう。


<議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、1957年6月、日本の首相としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。



「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。


以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国首相として初めてお話する機会を与えられましたことを、光栄に存じます。>



これは、「私は民族主義者じゃなくて、あなたたちと同じ価値観の持ち主なのだ」といっているわけです。