中国の金融システムは金利の自由化すら終了していない途上国並みの未熟なもの
中国の金融システムは金利の自由化すら終了していない途上国並みの未熟なもので、国際金融業務のノウハウもない。
「きちんと審査をして(既存の国際金融機関の)3行で足しても400億円か500億円かといっているときに、いきなり後ろから来て、みんな貸さないの? じゃあ俺(AIIB)が貸してやるよと、300億円、400億円を貸しますと言ってなったとするよ。その時、この後からきた300億円は前から貸している3行の400億円に乗っかった。
返済が始まり、400億円のお金は計画通りに返ってくるんだけど、後からきた300億円は全然、融資計画ができていないから、その分は返せませんでしたと。そうなったとき、まずは3行の400億円は優先的に返してくれるかと。国内だったら、まだやれるだろう。しかし、海外相手にそれができるか。
700億円が全部焦げ付き、お返しできるお金は300億円だけです、といわれたら、間違いなく被害が出る。こっちは税金を預かっているわけだから」
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「借りた金は返すのが当たり前。こっちは税金を預かっている」麻生財務相、AIIB不参加理由を激白
産経新聞 4月9日(木)20時10分配信
麻生太郎財務相は9日の記者会見で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に関し、現段階での参加を見送った理由を約10分間にわたって説明した。日露戦争の際に戦時公債を発行したことに触れ、「(日本は)1日も遅れず、1銭たりとも約定を違えず全額を返済した。しかし、今は世界で借りたお金を約定通り返さない方が多い」とも語り、AIIBによる不透明な融資審査基準や過剰融資に懸念を示した。詳細は以下の通り。
--日本が参加した場合、AIIB設立当初の出資金は最低でも1000億円と試算されている
「AIIB参加国は最終的にいくつになるのか知らないが、出資額の総額も中身もわからないので、今の段階で考えているわけではない。何回も同じことを言っているので、もう飽きてきたけど、やることは1つなんですよ。お金を貸すというのは、返ってこないお金は貸せない。返ってこないお金はやるっていうんだからね」
「(インフラ整備の)ニーズがあるというのはわかる。米国が世界銀行、日本がアジア開発銀行(ADB)、ヨーロッパが国際通貨基金(IMF)は責任を持ってやっている。ところが、日本は1905年、日露戦争をやるにあたって戦時公債を発行した。1000万ポンド。日本は1日も遅れず、1銭たりとも約定を違えず全額を返済した。名も知れぬ東洋の小さな黄色人種にお金を貸した英国もすごかったんだろうが、1銭たりとも、1日も約定を違えずきちんと払った。今日、世界で他国の外貨でカネを借りて返済が滞ったことが1回もない国が日本以外にあるならば教えてくれ。ぜひ俺はそれを知りたい。他の国の中央銀行総裁も知らない」
「だから、お金というのは貸したら返ってくるもんだと日本の人は思っているんだ。子供の時からしつけられてきたんだから。しかし、今、借りたお金を返さないのは多いんじゃないの? 世界で借りたお金を約定通り返さない国の方が多い。何が言いたいかというと、もう1個(国際金融機関を)増やすんだぜ。きちんと審査をして(既存の国際金融機関の)3行で足しても400億円か500億円かといっているときに、いきなり後ろから来て、みんな貸さないの? じゃあ俺(AIIB)が貸してやるよと、300億円、400億円を貸しますと言ってなったとするよ」
「その時、この後からきた300億円は前から貸している3行の400億円に乗っかった。返済が始まり、400億円のお金は計画通りに返ってくるんだけど、後からきた300億円は全然、融資計画ができていないから、その分は返せませんでしたと。そうなったとき、まずは3行の400億円は優先的に返してくれるかと。国内だったら、まだやれるだろう。しかし、海外相手にそれができるか。700億円が全部焦げ付き、お返しできるお金は300億円だけです、といわれたら、間違いなく被害が出る。こっちは税金を預かっているわけだから」
「ちゃんと審査やら、何やらは参加する国で決めましょうねと。どういう理事会の構成ですか、審査はどこで、誰がやるんですかと。最初から俺たちはこれしか言っていない。だから(中国側は)返事を下さいと。3月31日というのは、こっちが出した提案を聞かない限りは俺たちは答えようがない。何の返事もないなら、こっちもしようがないと言っているだけだ。AIIBの話というのは、次は(参加判断の期限が)6月だとか報道されているが、どうして6月なのかさっぱり知らない。日本はなぜ参加しないのかと色々な人が言ってくるが、面倒くさくていちいち説明しないといけないので、飽きるくらい同じ話をしている」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150409-00000557-san-bus_all
中国投資銀、日米不在で“2流格付け”濃厚 資金調達に重大欠陥
2015.4.1 22:00
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加申請期限となる31日、安倍晋三首相は「焦って参加する必要はない」と述べ、参加表明を見送る方針を明らかにした。英独仏など欧州各国やロシア、オーストラリア、韓国を含む40カ国以上が参加を表明、慎重姿勢の日本と米国が孤立しているとの報道もあるが、実は困っているのは中国の方だ。日米不在のままでは資金調達に重大な欠陥を抱えたままのスタートとなり、中国が巨額損害を被る可能性があるというのだ。
安倍首相は31日、自民党外交部会の秋葉賢也部会長らと官邸で会い、AIIBの創設メンバーとして加わるための申請期限だった3月末までの参加表明について「焦って参加する必要はない」と述べた。慎重姿勢の米国と歩調を合わせたことで、首相は「米は日本が信頼できる国だと分かっただろう」と述べた。
麻生太郎財務相も同日の閣議後の記者会見で、AIIB参加に「極めて慎重な立場を取らざるを得ない」と見送る方針を明らかにした。麻生氏は日本が参加するための条件として「公平なガバナンス(統治)の確保や理事会による個別案件の承認」などを挙げ、現状では組織運営や融資の審査体制に不安が残るとの認識を示した。
岸田文雄外相も閣議後会見で「(ガバナンス面など)中国側に問題提起してきたが、明確な説明がない」と明かした。
一方、中国を訪問しているルー米財務長官は30日、北京で李克強首相らと会談。AIIB担当の楼継偉財政相が同席しており、意見を交わしたとみられる。AP通信によると、ルー氏は融資判断などで高い基準を確保するため、AIIBは既存の国際機関と連携すべきだと指摘した。
米国は中国の影響力拡大を警戒してAIIBに懸念を示しており、設立にあたってはアジア開発銀行(ADB)や世界銀行をはじめとした国際金融機関と連携するようクギを刺したとみられる。 ルー氏は17日、米下院金融委員会の公聴会でAIIBについて「米国が主導する多国間制度に挑んでいる」と警戒感を示していた。
AIIBへの参加国は40カ国を超えるとみられ、形式上は日米が主導し、67カ国・地域が加盟するADBに迫る陣容のようにもみえるが、中身は似て非なるものだ。
AIIBは中国が資本の40~50%を出資し、本部が北京、中国人がトップを務めるとみられる。ADBは日本と米国の出資が10%台、総裁は日本人だが本部はフィリピンに置かれている。
そして、最大の問題は「融資案件を理事会で決定するという国際標準の仕組みがないこと。通常の国際金融機関ではありえない」と指摘するのは、嘉悦大教授の高橋洋一氏。
「中国のトップが、ある国へのインフラ投資を政治判断したら、AIIBはプロジェクトの採算性など度外視して融資することになりかねない。焦って参加したら、不良債権を押しつけられるだけになる恐れもある。また、日本にとって不都合な融資が行われることもありうる。AIIBが北朝鮮に融資すると決めた場合、どうするのか」
AIIBがこのまま発足しても大きな弱点を抱えるという。それが格付けの問題だ。開発銀行では、債券を発行するなどして融資のための資金を調達する。ADBの格付けは最高位のトリプルAのため、低い利回りで資金を集められる。
しかし、AIIBは事情が異なるという。高橋氏は「日米の参加なしでは、AIIBはトリプルAを取得するのは難しく、融資案件でADBに勝てない。資金調達コストが高くなり、中国の持ち出し分が増えることになる」とみる。
中国の資金も潤沢なようにみえて実はそうではないという。週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は警鐘を鳴らす。
「中国は、3兆8000億ドル(約455兆円)もの外貨準備があるとされるが、2020年までに2兆ドル(約240兆円)もの外貨が流出すると予測されており、基盤はきわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。AIIB創設にあたり、日本の参加を執拗(しつよう)に求めたのも、大量の外貨流出リスクを、日本の加盟で補う戦略ではないか」
日本も創設メンバーとしてAIIB参加を急ぐべきだとの論調もあったが、前出の高橋氏は、日本は参加を焦る必要はないと語る。
「中国の金融システムは金利の自由化すら終了していない途上国並みの未熟なもので、国際金融業務のノウハウもない。いずれアジアで実績のある日本に水面下では協力を求めてくるはずだ。その時点で、理事会が実質的に関与できるかどうかを見極めてから参加しても遅くはない」
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150401/wor15040122000038-n1.html