日本だって、「永遠にアメリカが守ってくれる」はずはない。 日本は「自立」にむかっていく必要が | 日本のお姉さん

日本だって、「永遠にアメリカが守ってくれる」はずはない。 日本は「自立」にむかっていく必要が

日本だって、「永遠にアメリカが守ってくれる」はずはない。 日本は、賢く、堅実に、一歩一歩、「自立」にむかっていく必要があるのです。
ロシア政治経済ジャーナル No.1170
2015/3/12
北野です。
アメリカとイスラエルの関係が悪化しています。
なぜ???
★悪化するアメリカ、イスラエル関係とシェール革命の意外なつながり
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
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これを読むと、普通の人でも世界情勢を分析できるようになり、世界の未来が、自動的に予測できるようになってしまいます。
時流を読む必要のある、経営者、起業家、ビジネスマンは必読。
もちろん普通の人でも、未来が読めたらいろいろおいしいことがあるでしょう。
いますぐご一読ください。
●日本人の知らない「クレムリン・メソ ッド」
~ 世界を動かす11の 原理 (集英社インターナショナル)
北野 幸伯
(詳細は→ http://hec.su/hHN )
日本人があまり意識しない間に、世界では大きな変化が起こってい
ます。
いくつかありますが、その一つは、
「アメリカとイスラエルの関係が悪化していること」
です。
「ユダヤ陰謀論」には大きく二つあります。
一つは、ユダヤ系のロスチャイルド一族が世界を支配している説。
もう一つは、ユダヤ人の国イスラエルがアメリカの政治を支配している説。
この二つ目ですが、「陰謀論」というよりは、研究者なら誰でも知っている「常識」といえるでしょう。
ただ、研究者は、「ユダヤ陰謀論」という言葉は使いません。
「イスラエル・ロビーは強力だよね~」といいます。
この「イスラエル・ロビーがアメリカ政界を牛耳っている説」。
「陰謀論」を「事実のレベル」まで高めた本があります。
●イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策
(詳細は→ http://tinyurl.com/9s5a7vb )
著者は、「リアリズム」世界的権威のお二人。
ミアシャイマー・シカゴ大学教授。
ウォルト・ハーバード大学教授。
日本では、副島隆彦先生の訳で講談社から出ています。
この本を読むと、いかにしてイスラエルがアメリカに影響を与えているのかよくわかります。
しかし、最近アメリカはイスラエルのいうことを聞かなくなり、両国関係はかなり悪化しています。
たとえばこちら。
<イスラエル首相、米議会で外交政策を批判 確執深まる
朝日新聞デジタル 3月4日(水)10時53分配信
*
*
訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相は3日、米上下両院合同会議で演説し、イランの核開発をめぐって米国など主要6カ国が合意を目指していることについて「非常に悪い取引だ」と批判した。
外国首脳が米議会で米国の外交政策にノーを突きつけるのは異例で、米イスラエル間の確執が深まっている。>
米議会で、「アメリカの外交政策は間違っている!」という。
ここにイスラエルのパワーが見えますね。
なぜ、アメリカとイスラエルの仲は悪くなっているのでしょうか?
<ネタニヤフ氏は演説の冒頭で、オバマ大統領や上下院のイスラエルに対する支援に感謝の言葉を並べたものの、イラン核開発を「イスラエルの生存にかかわる問題」と強調した。
イランと米英独仏中ロの協議で、米国などがイランに一定の核平和利用を認めつつ、イランの核開発を10年以上制限することを主張している案について、「イランの核施設が一つも破壊されず、数千もの遠心分離器が稼働し続ける」「これはイランが核爆弾を持つのを防ぐのではなく、核爆弾への道を整えるようなものだ」と批判した。>
要するに、アメリカが「核兵器開発問題」で「イランと妥協しようとしている」ので、イスラエルが怒っているわけです。
問題は、「なぜアメリカはイランと和解しようとしているのか?」です。
▼アメリカのイラン敵視、本音は「核兵器開発」ではない
アメリカは、もう長い間イランと敵対関係にあります。
その理由、一般的には、「イランが核兵器開発しているからだ」と思われている。
しかし、私は、「そんなことないだろう」と思っています。
「クレムリン・メソッド」から転載してみましょう。
【転載ここから▼】
<世界情勢を少しでも追っている人なら、アメリカとイランが一〇年以上対立していた事実をご存知でしょう(一九七九年のイラン・イスラム共和国建国時から「ずっと対立している」ともいえます)。
実際、二〇〇三年四月にイラク・フセイン政権を打倒した後、アメリカ政府の高官たちは、「イランと戦争をする可能性がある」ことを、繰り返し語ってきました。
理由は、みなさんご存知ですね。
イランが、「核兵器を開発しているから」。
しかし、「第七の原則」的にいえば、これは、「建前」ということになります。
検証してみましょう。
まず、基本的な話から。みなさん、以下の事実をご存知でしょうか?
1、 イランは核兵器を開発する意向を一度も示したことがない。
2、 アメリカも数年前まで、イランには「核兵器を開発する意図がない」ことを認めていた。
3、 核兵器開発が「戦争」の理由であるなら、真っ先に攻撃されるべきはイランではない。
まず、「1、イランは核兵器を開発する意向を一度も示したことがない」。
「イランが核兵器を開発している」というのは、欧米だけが言っていること。
当のイランは「核兵器を開発する」とは一度も言っていません。
「核開発」は、「原発用」だとしています。
次に、「2、アメリカも数年前までイランには『核兵器を開発する意図がない』ことを認めていた」について。
こちらをごらんください。
〈〈イラン核〉米が機密報告の一部公表 「脅威」を下方修正
[ワシントン笠原敏彦]マコネル米国家情報長官は3日、イラン核開発に関する最新の機密報告書「国家情報評価」(NIE)の一部を公表し、イランが03年秋に核兵器開発計画を停止させたとの分析結果を明らかにした。〉
(毎日新聞2007年12月4日 )
どうですか、これ?
NIEは、「イランは二〇〇三年秋に核兵器開発計画を停止させた」と分析していた。
アメリカだけではありません。
世界の原子力、核エネルギーを管理、監視、監督する国際機関といえば、IAEA(国際原子力機関)。
そこのトップ、日本人・天野之弥(あまのゆきや)氏は、二〇〇九年一二月就任直前になんと言っていたか?
〈イランが核開発目指している証拠ない=IAEA次期事務局長
[ウィーン 3日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥次期事務局長は3日、イランが核兵器開発能力の取得を目指していることを示す確固たる証拠はみられないとの見解を示した。
ロイターに対して述べた。
天野氏は、イランが核兵器開発能力を持とうとしていると確信しているかとの問いに対し「IAEAの公的文書にはいかなる証拠もみられない」と答えた。〉(ロイター2009年7月4日
どうですか、これ?
二〇〇九年半ば時点で、IAEAの次期トップが「イランは核兵器開発を目指していない」と断言しているのです。
「イランは一度も核兵器保有を目指す意向を示したことがない」
「アメリカもIAEAもつい最近までそのことを認めていた」
という事実。
よろしいですね。
それでも、イランは「核兵器保有」を目指しているのかもしれません。
私も、断言はしません。
たとえそうだとしても、イランだけがターゲットにされるのはおかしいのです
なぜか?
次を見てみましょう。
3、 核兵器開発が「戦争」の理由であるのなら、真っ先に攻撃されるべきはイランではない。
アメリカがイランを攻撃するのは、「核兵器保有を目指しているからだ!」としましょう。
ところで、もうとっくに核兵器を持っているやっかいな国がいませんか?
そう、北朝鮮。
みなさんもご存知のとおり、北は二〇〇六年一〇月九日に核兵器の実験を成功させ、世界を驚かせました。
北朝鮮とイラン。
どっちが危険かは一目瞭然です。
北朝鮮は、核兵器を保有している。
実験もしていて、世界中がそのことを知っている。
イランは、核兵器を保有していない。
また、核兵器を保有する意志を一度も示していない。
どっちが悪いか、「一目瞭然」ですね。
ところが、イラン攻撃の可能性を何百回も公言しているアメリカは「北朝鮮は攻撃しない」と断言しています。
例えば、二〇〇六年一〇月一二日の毎日新聞。
〈〈北朝鮮核実験〉ブッシュ大統領「米国は攻撃意思ない」(中略)
北朝鮮が核開発の理由に米国からの攻撃を阻止する抑止力を挙げていることに対し、「北朝鮮を攻撃する意思はない」と明確な姿勢を示している、と説明した。〉
このように、アメリカの行動は常識的に考えるとメチャクチャなのです。>
【転載ここまで▲】
イランが本当に核兵器開発をしているか、かなり疑問。
(ホントにしている可能性も、もちろんありますが。)
では、なぜイスラエルはアメリカを動かしてイランをたたこうとしているのか?
イランは核兵器を開発しているかもしれないし、していないかもしれない。
しかし、ネタニヤフさんがアメリカ議会でいったこと、
「イスラエルの生存にかかわる問題」
これは本当なのです。
世界で唯一のユダヤ教国家イスラエル。
周りは全部イスラム国家で、しかもイスラエルを敵視している国がたくさんある。
なかでもイランは最大の仮想敵。
だから、アメリカとイランが和解したら困るわけです。
▼シェール革命とアメリカ、イラン和解の意外な関係
では、なぜアメリカとイランは和解し、アメリカとイスラエルの関係は悪化しているのか?
このことも、「クレムリン・メソッド」に書いてあります。
つまり、だいぶ前から、このことはわかっていた。
実をいうと、アメリカとイランの和解、アメリカとイスラエルの不和の原因は、
意外にも「シェール革命」と関係しているのです。
以下、「クレムリン・メソッド」から転載。
【転載ここから▼】
●「シェール革命」で、アメリカにとっての「中東の重要度」は下がる
「シェール革命」のインパクトの本質とは何か?
「二〇〇〇年代と、二〇一〇年代では、まったく違う時代、違う世界になっている」ということです。
「なに」が違うのか?
二〇〇〇年代、世界はまだ、「来るべきエネルギー不足」に恐怖していた。
れで、「資源確保のための革命や戦争」が頻繁に起きていた。
ところが、二〇一〇年代に入り、「シェール革命」が起こったことで、人類は、「エネルギーがありあまる時代」に突入したのです。
とすると、いったいどんな変化が起こるのか?
まず、現在「シェール革命」を主導しているアメリカに、シェールガスもシェールオイルも「たっぷりある」ことが重要です。
アメリカはなぜ、これまで「中東」にこだわってきたのか?
そう、「そこに石油、ガスがあるから」でした。
しかし、「自国にありあまるエネルギーがあり、石油もガスも全部自給できるばかりか、輸出もできる」となったらどうでしょうか?
当然、アメリカにとって、中東の重要度が下がることでしょう。
オバマ大統領は二〇一一年一一月一七日、オーストラリア議会で演説しました。
この演説の要点は、ブッシュ政権から引き継いだアフガン、イラク戦争にケリをつけ、戦略の重点を「アジアにシフトする」ということでした。
●近い将来、「エネルギー価格」が下がり、エネルギー資源国の経済が悪化する?
これはもちろん、ラバル中国が台頭してきたこともあるでしょう。
しかし、「シェール革命」で「中東の重要性が減りつつあること」とも関係しているでしょう。
オバマは二〇一三年八月、シリア軍が反体制派に「化学兵器を使った」ことを理由に、同国を「攻撃する!」と宣言しました。
ところが翌月、戦争を「ドタキャン」し、世界を仰天させます(これについては、後述します)。
そればかりか、オバマ政権は、シリアの背後にいるイランとの和解に動きはじめました。
ブッシュは、原油埋蔵量世界四位、天然ガス埋蔵量世界一位のイランを、常にバッシングし、何度も戦争一歩手前までいった。
ところが、今回アメリカは、本格的に和解に動き出したようです。
これも、シェール革命で、「中東の重要性が減りつつあること」と関係あるのでしょう。>
【転載ここまで▲】
本ではこの後、「シェール革命の影響で原油価格が下がり、ロシア経済が悪化するだろう」などの話がつづきます。
なぜアメリカとイスラエルの関係が悪化しているのか?
シェール革命で、アメリカは世界一の産油国、産ガス国になる。
それで、中東依存度が減り、この地域の重要度が減った。
だから、「もうイスラエルは守らなくていいや」ということなのです。
(もちろん、イスラエルロビーは、アメリカへの影響力をとりもどすべく必死にうごいていると思われます。)
イスラエルにとっては、「悪夢」ですね。
まさに「国家存亡の危機」です。
とはいえ、イスラエルの話、他人ごとではありません。
日本だって、「永遠にアメリカが守ってくれる」はずはない。
日本は、賢く、堅実に、一歩一歩、「自立」にむかっていく必要があるのです。
●PS
ところで、私が、世界情勢を分析し、未来を予測する方法、全部暴露しています。 これを読めば、あなた自身も世界の未来をあらかじめ知ることができるようにな ります。 時流をよむ必要がある、経営者、起業家、ビジネスマンの方は迷うことなく、こちらをご一読ください。 全部わかります。
【増刷決定!】
●アマゾン、「国際政治情勢部門」「外交・国際関係部門」
「社会一般部門」
「トリプル1位!」
●日本人の知らない「クレムリン・メソッド」
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