イラン人でなくって良かった。日本人で良かった。イラン、多発する女性への酸攻撃 | 日本のお姉さん

イラン人でなくって良かった。日本人で良かった。イラン、多発する女性への酸攻撃

<イラン>多発する女性への酸攻撃、その背景とは(上)
アジアプレス・ネットワーク 2014年11月23日(日)10時0分配信
かつて「世界の半分」と謳われ、今も数多くの歴史遺産が残るイラン中部の古都イスファハン。この町で、信号待ちをしていた女性ドライバーなどが車窓から強酸性の液体を浴びせられ、顔などに大火傷を負う事件が、この秋だけで4件も発生した。近年イランで増加しているアシッドアタック(酸攻撃)の実情について、イラン警察のアフマディーモガッダム司令官は19日、国内で年間600件から700件ものアシッドアタックが起きていると発表し、国内メディアを騒然とさせた。(大村一朗)
イスファハンの病院で治療を受ける被害者の一人。政府は被害者の治療費を最大限負担すると発表した(ISNA通信ウェブサイト)
◆予想を上回る発生数
準国営ファールス通信が伝えたところでは、アフマディーモガッダム司令官は、イスファハンでの酸による連続通り魔事件の犯行は、グループや組織ではなく個人によるものであり、そのため容疑者の特定が難しく、一ヶ月以上が過ぎた今も犯人逮捕に至っていないと釈明した。
かつてこの事件を大々的に取り上げた海外メディアは、被害者の女性たちがイスラムの服装基準である「ヒジャブ」を正しく着用していなかったことから、保守過激派の標的にされた可能性が高いとして、この事件の「宗教性」を強調した。そして、イランの過去のアシッドアタックの事件を振り返り、アシッドアタックがイスラム共和国の女性蔑視を象徴する犯罪であり、イラン特有の出来事であるかのように報じるメディアもあった。
こうした海外メディアの報道に反発した国内の保守系メディアは、アシッドアタックがインド、バングラデシュ、アフガニスタン、カンボジアなどのアジア諸国や南アメリカ諸国で、それぞれ年間数十件から数百件発生しており、イギリスにおいてさえ2011年から12年にかけて105件も発生しているとして、イランの発生件数が取り立てて多いわけではないと反論した。
ところが、こうした報道を知ってか知らずか、事件の発生したイスファハンで、アフマディーモガッダム司令官は、イランでのアシッドアタックの実際の年間発生件数が、保守系メディアの報じたものを軽く一桁上回ることを明らかにしてしまった。同司令官によると、アシッドアタックはイラン国内だけで年間600から700件発生しており、イラン暦の今年上半期だけですでに約380件が報告されているという。国内の多くのメディアが同日、いっせいにこのニュースを報じた。(続く)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141123-00010000-asiap-m_est&pos=1
<イラン>多発する女性への酸攻撃、その背景とは(下)
アジアプレス・ネットワーク 2014年11月24日(月)10時0分配信
イラン中部の古都イスファハンで、この秋4件ものアシッドアタック(酸攻撃)の連続通り魔事件が発生したことを受け、イラン警察のアフマディーモガッダム司令官は19日、国内で年間600件から700件ものアシッドアタック(酸攻撃)が起きていることを明らかにした。これらに対する抑止力として、キサース刑(同害報復刑)の明文化を求める声が上がっている。(大村一朗)
<イラン>多発する女性への酸攻撃、その背景とは(下)
イスファハンでの被害者の一人を見舞うエブテカール環境保護庁長官(ISNA通信ウェブサイトより)
◆ アシッドアタックの多くは恋愛のもつれや求婚拒否への復讐から
なぜイランではアシッドアタック(酸攻撃)がこれほど多いのだろうか。友人のイラン人M氏に訊いた。
「酸は、銃より簡単に手に入るし、ナイフを使うより抵抗なく人を傷つけられる。イランにはキサース刑(同害報復刑)があるから、銃で殺してしまったら自分も死刑になる。酸なら、相手が死ぬことはないだろうから、捕まったときの心配も少ない」
女性の顔を標的にしたアシッドアタックの多くは、イランでの事例に限らず、恋愛のもつれや、求婚を断られたことへの復讐、腹いせとして行われることが多い。殺すことなく、相手の「美」を奪い、一生を台無しにするという卑劣な目的からは、酸の利用は理にかなっている。被害者が男性であること、つまり男性同士の怨恨の果てに、襲撃の道具として用いられることもあり、この場合も、敵を死に至らしめることなく最大の効果を得る武器として、有用であることは認めよう。
だが、アフマディーモガッダム司令官の説明では、年間600から700件の発生件数の多くは、乗用車など物品の損傷を目的としたものであるという。そうなると、やはりわざわざ酸を用いる必要などないのではないかと思ってしまう。
イランでは酸は簡単に手に入るんですよ。買うときに名前はもちろん、使用目的を訊かれることもありません。私が高校生のときも、同級生が気に入らない先生の車に酸をかけていたずらしてましたよ。完全に色が剥げてしまい、ペンキのように洗い流せませんから」
イランでは、バザールの工業用薬品店や実験用具を扱う店などで、酸の類を購入することができる。最も危険な純度96パーセントの硫酸でさえ、1ガロン(4リットル)10000トマン(約1500円)ほどで買うことが出来る。本来の客層は、化学研究施設や金細工、金採掘の業者などだが、一般人でも普通に購入できるという。アシッドアタックが著しく増加している現状においても、政府は酸の販売と購入に何らの規制も加えようとはしていない。
◆ 規制強化と抑止力を求める声
イスファハンの連続事件の発生を受け、世論は政府に酸性液の販売と購入に対する規制強化を求めているが、もうひとつ、抑止力として、アシッドアタックに対するキサース刑の明文化(※)を求める声も上がっている。
2004年、テヘランで、求婚を断られた腹いせに相手の女性の顔に硫酸をかけ、大火傷を負わせた上に両目を失明させた男が、4年間の裁判の末、同じく酸によって男の両目を失明させるというキサース刑を言い渡された。それを非人道的だとして非難し、刑を行わないようイラン政府に圧力をかけたのは、西側諸国のメディアと政府だった。その後、被害者の女性がキサース刑を取り下げ、加害男性を「許した」という美談が世界中を駆け巡った。
このときキサース刑が執行されていたら、現在まで多くのイラン女性がこの手の犯罪から救われていただろうことは想像に難くない。【大村一朗】
※キサース刑(同害報復刑)…イスラム法を用いるイランでは、殺人や傷害に対して、被害者や遺族が、同じ被害を加害者に与える権利を有している。しかし、全く同じ被害であることが原則であり、酸という液体によって受けた人体の損傷と全く同一の損傷を加害者に与えることは不可能に近いため、酸攻撃に関しては、キサース刑の新たな解釈を検討するか、キサースの代わりとなる特別刑の整備が期待されている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141124-00010000-asiap-m_est&p=1
「目には目を」両目失明させた男、左目失明の刑
読売新聞 3月5日(木)20時16分配信
【テヘラン=酒井圭吾】イラン司法当局は3日、被害者の両目を失明させ、傷害罪で収監された男に対し、左目を手術で失明させる刑を執行した。
イスラム教の聖典コーランの「目には目を 歯に歯を」を実践したものだ。地元報道によると、失明させる刑は1979年のイスラム革命後初めてという。男が被害者に賠償金を支払わなければ、右目も失明させるという。
地元紙シャルグなどによると、男は2009年、バイクを運転しながら強酸をまき散らし、タクシー運転手の両目を失明させた。イランでは、恨みを晴らす目的などで強酸をかける事件が頻発しており、司法当局関係者は「今回の刑は、強酸攻撃への警告ではないか」と指摘している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-00050091-yom-int&pos=5