【世界の新聞「101紙」の視点】中国の国防関係についての主張を、人民日報と産経新聞から見てみます
【世界の新聞「101紙」の視点】
【きょうの注目記事】
中国の国防関係についての主張を、人民日報と産経新聞から見てみます。
【4日付「人民日報」評論『強大な平和の勢力を示す軍事パレード』】
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0304/c94474-8857241.html
『今年は世界反ファシズム戦争勝利70周年であり、中国人民抗日戦争勝利70周年でもある。
中国は軍事パレードを含む一連の盛大な記念行事を行う。
中国政府がこのことを発表した際、国際世論が最も注目したのは軍事パレードだった。これには少なくとも3つの要因がある。』
『第1に、中国政府は長年にわたり5周年、10周年のたびに記念行事を行い、5周年または10周年の建国記念日に盛大な軍事パレードを実施してきたが、抗日戦争勝利記念日に軍事パレードを実施し、かつ外国の指導者を招待する
のは前代未聞の事だ。』
『第2に、過去数年間の歴史問題や釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題における日本の誤った言動によって中日関係が冷え込み、日本の軍事・安全保障分野の政策動向が懸念される中、中国がこの時期に軍事パレードを実施することに
日本に対する「警告」や「威嚇」の意味があるのか否かについて国際世論が推測することは避けがたい。』
『第3に、中国の30年余りの高度経済成長は国防力の大幅な強化をもたらし、ここ数年はハイテク兵器も配備し続けていることから、一部国際世論は中国が抗日戦争勝利記念日軍事パレードを利用して世界に力を誇示し、自信を顕示
するだろうと考えている。』
『確かに、戦後の日本軍国主義に対する清算は徹底的でなく、日本右翼政治勢力はしばしば波風を起こし、侵略の否認と美化の面であの手この手を弄し、歴史に対する最低限の尊重と畏敬の念も欠き、日本を平和的発展の道から脱線させようと試み、周辺国に新たな面倒をもたらしている。
こうした中、日本軍国主義思想の台頭に対して警戒を維持するのは必要なことだ。』
『だが、中国の抗日戦争勝利記念日軍事パレードを「日本を念頭に置いたもの」「日本を威嚇するもの」と単純に解釈するのは、中国側の本旨と合致しないだろう。
また、平和な時期の記念日に実施する軍事パレードは、往々にして政治的意義が軍事的意義を大きく上回る。』
『中国は今回の軍事パレードで自ずと威武の軍としてのイメージを示し、軍事力を示すことになるが、これについて行き過ぎた解釈をするのは無益だ。』
『中国は今回の抗日戦争勝利記念行事に「歴史を明記し、烈士を偲び、平和を大切にし、未来を切り開く」との意義を与えている。』
『先日、中国側の提案に基づき、国連安保理は国連創設70周年と世界反ファシズム戦争勝利70周年をめぐる公開討論を行った。
第69回国連総会は中国などの提出した「第2次大戦勝利70周年記念」決議案を採択したうえ、第2次大戦勝利70周年紀念特別会議を招集することを決定した。』
『中国と国際社会のこうした行動は、いずれも「歴史を鑑として、未来を切り開く」精神を体現している。
中国抗日戦争勝利記念行事の重要な一部である今回の記念日軍事パレードの意義もここにある。』
『歴史を銘記し、第2次世界大戦が全人類、特にアジアなどの民衆に与えた多大の苦難を忘れないのは、恨み続けるためでは決してなく、歴史の悲劇が繰り返されないようにするためだ。
烈士を偲ぶのは、平和が苦労して手に入れたものであることを銘記し、全力を尽くして平和を守り、さらに素晴らしい未来を切り開くよう後代の人を激励するためだ。』
『平和は中国抗日戦争勝利記念行事の主軸となり、平和の維持は今回の記念日軍事パレードのテーマになる。
中国は第2次大戦の主要参戦国、アジア諸国およびその他地域の国々の指導者、国連など国際組織のトップを招待し、中国抗日戦争の勝利に貢献した各国の友人およびその遺族も出席して、平和を大切にし、堅守する考えを共に重ねて表明する。これは世界に対する明確なメッセージとなる。』
『中国と世界が第2次大戦勝利70周年を共同で記念する際に、もし日本の右翼政治勢力およびその代表的人物が圧力や孤立を感じるのなら、それ自体も第2次大戦勝利記念行事の重要な成果と言える。
勝利記念日の軍事パレードは強大な平和の勢力をはっきりと示すと言えよう。』
【6日付「産経新聞」主張『中国国防費 異常な膨張いつまで続く』】
http://www.sankei.com/column/news/150306/clm1503060002-n1.html
『いつまで突出した軍拡路線を続けるのか。
中国の全国人民代表大会(全人代)に上程された2015年予算案の国防費は、8868億9800万元(約16兆9千億円)と前年実績に比べて10・1%増となった。』
『5年連続しての2桁増である。経済成長率の目標が7・0%に引き下げられ、中国経済の高度成長路線が事実上終わるなか、国防費の膨らみ方は異常としかいえない。』
『米太平洋陸軍のブルックス司令官は、中国国防費の伸びについて「誰もついていけない」との見解を示した。
英国際戦略研究所(IISS)は、昨年までの2年間にアジア地域全体での国防費増加幅のうち実に63・4%を中国が占めたと分析している。』
『この1年を振り返っても、開発中の国産ステルス戦闘機を公開し、2隻目の空母建造も明らかにした。
軍事利用を念頭に置いた宇宙開発も盛んに進めている。』
『なかでも見過ごせないのは、周辺各国に強い懸念を与えている中国の強引な海洋進出を、軍事費増額が支えている点だ。』
『南シナ海では、中国の人工島建設が過去にないペースで進み、軍事要塞化されている。
フィリピン西方のヒューズ(東門)礁では面積が約200倍に広げられた。
スプラトリー(南沙)諸島の領有権を中国と争う周辺国・地域には重大な脅威である。』
『東シナ海に浮かぶ中国浙江省の離島には、新たなレーダー基地が建設中だとされる。
尖閣諸島までわずか約300キロの距離だ。
中国が防空識別圏を一方的に設定した東シナ海の日本の領空を守る上でも懸念を抱かざるを得ない。
尖閣周辺では、中国公船が頻繁に領海侵入を繰り返している。』
『実質的な中国の国防支出は、他の費目に隠された武器の研究開発費などを加えると、公表された国防費の2倍以上とも指摘されてきた。
今年はさらに、習近平政権が進める軍の汚職摘発により、不正な資金流用が減り、国防費の財源が強化されたとの見方もある。』
『実際の国防費の規模が把握できない不明朗さは、到底認められない。全容を示す透明性の確保に踏み出すべきだ。』
『中国には世界2位の経済大国としての責任がある。各国に脅威を与える軍拡を続けていては、標榜(ひょうぼう)する「平和国家」を国際社会が信じることはなかろう。』
『平和を大切にし、堅守する考えを共に重ねて表明する。これは世界に対する明確なメッセージとなる』
『軍事パレードは強大な平和の勢力をはっきりと示すと言えよう』
とする人民日報紙と、
『各国に脅威を与える軍拡を続けていては、標榜(ひょうぼう)する「平和国家」を国際社会が信じることはなかろう』
とする産経紙。
読み比べてみると、興味深いです。
【編集後記】
『100円ショップで買って後悔したものランキング』というのを見ました。
(「gooランキング」より)
3位「吸盤」
2位「お菓子」
1位は…
こちらでした。→ http://goo.gl/Xhho48 (サイト下部参照)
それでは、また。
あなたに良いことがいっぱいありますよう…。
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