中国広東省陸豊市で危険ドラッグ製造-
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)2月24日(火曜日)
通巻第4477号 <前日発行>
中国広東省陸豊市で危険ドラッグ製造工場が摘発
製薬と化学企業の副業、腐敗ここに、極まれり
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国連麻薬取締官ジェルシー・ダグラスは広東省陸豊市の製薬企業の工場が怪しいと睨んだ。製造薬品には不適切な量のドラッグ転用原料が運び込まれていたからだ。工場を訪れると、当該企業幹部から賄賂による見逃しを持ちかけられた。
国連は1997年から「薬物犯罪事務所」を開設している。
中国公安と協力して工場を急襲し、2・4トンのメタンフェタミン等を押収した。
ほかにも興奮剤として転用可能なエフェドリンなどが発見された。これらは日本でも問題となった「危険ドラッグ」の基本材料で、興奮刺戟材である。香港の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が伝えた(2月22日)。
以前から広東省には「アジア最大の危険ドラッグ工場」があるといわれ、深センのマフィアなどを通じてニュージーランド、豪州に密輸販売ルートが開拓されていた。深センでは、怪しい化学品400トンが押収され、のべ5000名が逮捕されている。
中国は麻薬が社会の底辺で蔓延しており、また危険ドラッグの製造と密輸出の拠点とも言われてきた。
日本でも麻薬にたぐいするハーブや興奮剤に規制が行われてきたが、2014年7月までは事実上の野放し状態だった。
直前の同年6月24日、池袋で危険ドラッグを使用した男が、つぎつぎと歩行者をはね、一人が死亡(中国人女性)する事故が発生、取り締まり強化と「脱法ドラッグ」の名称を「危険ドラッグ」と呼ぶようになった。
医学薬品など234種が規制の対象という。
それまでに日本の死者は24名、税関がおさえた密輸ドラッグは630キロに及び、また埼玉、千葉などでマンションに工場をつくって危険ドラッグを栽培製造していた事件も頻発した。
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-樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1206回】
――「右顧左眄頭ヲ垂レ糞ヲ尋ヌ糞山溺海・・・」(曾根5)
曾根俊虎『北支那紀行』(出版所不詳 明治八・九年)
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旅行の主目的は兵要地誌作りと思われるだけあって、曾根は目に入る地形、自然環境、集落と集落の間の距離、道路や河川の情況、天気を冷静に観察し、各地に点在する兵営の内実を兵士の数や武器の種類などで類推しながら、じつに要領よく記録している。同時に、草深い田舎やら山村での日常生活の一端をも書き留めることを忘れてはいない。
たとえば、辺鄙な田舎のみすぼらしい旅館に泊まったところ、不幸ニシテ支那人ト同室ナリシガ鴉煙ノ毒氣ニ壓セラレ終宵睫ヲ交ユル?能ハズ」と。曾根の旅行はアヘン戦争敗北から30数年後の明治8(1875)年である。にもかかわらず(いや、だからこそかも知れないが)、辺鄙な田舎の旅館でもアヘンの吸引が行なわれている。この現実を見せつけられれば、全土が「鴉煙ノ毒氣」に「壓」されていると類推したとしても、強ち間違いとはいえないだろう。
さらに歩を北に進め遼東地方に至ると悪路の連続となる。雨の後など、馬は泥の中に埋まって「殆ンド死ス」状態であり、「車夫ハ常ニ鋤ヲ携ヘ補道ニ供シ」、長距離旅行者は「常ニ短鎗ヲ持シテ盗患ヲ防」がなければならない。道路事情は最悪であるうえに、馬賊の襲撃にも備えなければならない。その馬賊だが、一般に「賊勢ハ頗ル多キガ如クサレドモ其詳ヲ得ズ。且ツ軍ニ規律無ケレバ兵ニ名義無ケレバ大事ヲ爲ス?能ハザル可シ」。
道路事情は劣悪。馬賊は横行するが、実態が不明。そのうえ規律の乱れた軍隊だから治安維持は覚束ない。ならば旅行はおろか日常生活すら不安だらけだ。
やがて、当時の満州最大の港湾施設を擁した営口に到着する。
じつは1858年の天津条約で牛荘が条約港となったが遼河の土砂が堆積し使用不能になり、牛荘の機能を移した営口が満州特産の大豆積出港として栄えた。だが80年代に入ると、清朝が海防上の措置として営口より東部の大連湾北部に砲台を建設し、後にロシアが日清戦争後の三国干渉で租借し要塞を設け、東清鉄道の終点としたことから、国際貿易港としての機能を増大させ、以後、営口は大連に取って代わられ、国際貿易港から沿岸貿易港へと地位を転落させた。どうやら曾根の営口訪問は、盛んだった時期の末期に当たるようだ。
街に入る城門の「門上首級ヲ梟シタル者アリ血未ダ乾カズ然レドモ刑名札ヲ建テザルハ支那ノ風習ナレバ何等ノ罪状ナルヤ知リ難シ」と。おそらく馬賊の首級だろう。
営口の衙門(やくしょ)に出向いて、これから先の旅行に必要な通行許可証である「路票」の交付を申請するが、担当者は曾根を怪しみ恐れている。話をしてもはっきりしない。そこで筆談に切り替えたが、「筆頭慄震シテ能ク書スル?能ワズ」というから、手がブルブル震えて字にならない。何とか読めたところで曾根が、自分は「漫遊ヲ好ム」書生で山東省の孔子廟に詣で、山海関を経て、これから盛京(奉天)地方に向かいたいというと、やっと相手は落ち着いて「安心ノ色有リ」。やがて旅館に。ともかく汚い。
「臭氣多キガ故蒼蠅ノ多キ譬フルニ物無ク殊ニ我寓房ハ陋ナレバ其多キ亦甚タシク衣服器物ニ至ル迄集蠅ノ爲メニ其色ヲミザルニ至ル況ヤ其人ニ附クヤ夜間ト雖モ去ラズ睡眠ヲ礙ケ食スルニ當リヲ注意セザレバ蒼蠅ヲ并?スルニ至ル室亦陋ニシテ且ツ暗ク一點ノ微風モ通ズル?能ハズ食物ハ總テ多油ニシテ食了スル能ハズ水ノ惡キ又言フベカラズ實ニ健康ニ害アル?ヲ覺ヘリ」
衣服や器物の色も判らない。夜は体に纏わりついて眠れない。食べ物にも集ったままだから一緒に口に入れかねない。じつに凄まじいハエの数だ。部屋は狭く暗く換気が悪い。そのうえ食べ物は油っ気が多く、水は悪い――対外開放された営口ですら、かくも劣悪な生活環境である。蒼蠅、多油、悪水に乾糞・・・この先、何が飛び出すやら。
《QED》
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(読者の声1)貴誌全然号の投書子ですが、これは鍛冶氏の中共軍を軽視するな、と云う警報に対するご意見と思う。以下感想です。
人間:国民がやわになっているから戦争は出来ないというのは逆である。普通の人間を集めて戦争が出来るようにするのが軍事訓練だ。戦争は人間の本能である。
組織であるが、中共軍は明白な軍隊である。日本は兵器はあるが警察予備隊で軍隊ではない。戦闘規定はポジティブリストだから戦闘下では混乱し機能しない。内部的にも軍隊に不可欠な軍法会議がないし、死守命令もないから危機になれば組織は崩壊するだろう。
次は実戦体験である。
中共軍は朝鮮戦争、中ソ戦争、中越戦争を戦っている。しかし自衛隊は戦争体験はない。ヒトラーもスターリンも「軍隊は火と鉄の試練を経ないと本物にならない。実戦体験のない軍隊は無価値である」と述べている。当然国際的に日本の自衛隊の評価は低い。
兵器の差
中共は核ミサイルを装備している。日本は在来兵器だけだ。これは大砲と石器以上の差がある、というより、戦闘以前に日本政府は核で威嚇されて降伏する。合理的な支那人の得意な戦法だ。
日米安保は張りぼて
核拡散下では日米安保は機能しない。米国は日本の代わりに核被爆を受けることは出来ないからだ。近隣核武装国家にヒトラーが現れれば米国は理由をつけてすぐに日本から撤退するだろう。日本は核自衛しかない。米国含め国際社会は皆知っている。
李鵬首相の言葉の意味
以前中共の李鵬が豪州で、日本は20年後には消滅するだろうと予言したことがあった。その意味は実戦体験者が死滅するという意味である。戦争体験のない軍隊はそれだけで無力である。だから自衛隊が国軍となり、世界に恐れられた旧軍の伝統を継承して始めて、世界は日本の国防力に一目置くことになるだろう。
自衛隊が旧日本軍と関係がないことを自慢しているようでは話にならない。
(東海子)
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