イスラエルの危機管理はすごい | 日本のお姉さん

イスラエルの危機管理はすごい

トニタカの西方見聞録 2015/02/04
ダイジェスト版~2月のテーマ「イスラエル」~
1)出入国で幻滅しては本当のイスラエルが見えない
西アジアや中近東を専門に動いてきたトニタカも、今回、初め
てイスラエルに足を踏み入れた。ヨルダンのアンマンを経由し
て空路40分。ベングリオン空港に着く。到着後、他の乗客と
共に入国審査場へ。
世界中どこの入国審査場にもあるカウンター。「渡航目的は?」
「訪問予定場所は?」「滞在期間は?」と初めの4,5問はい
つもの質問。「ところでどうしてアラブ圏の出入国記録が多い?」
「あなたの本当または潜在の宗教は?」と聞いたことない質問
が始まる。
そして「後ろにある待合室でしばらくお待ちになって、係官が
来たら審査室へ行って」と言われ、隔離された待合室へ進む。
「あんたどこの国籍?韓国?中国?私はロシアだけれど、不法
労働者と間違われて朝からこの待合室にいるよ」と20代のロ
シア人女性。時計を見れば午後10時を回っている。彼女の言
う通りだとすれば12時間以上である。
2時間ほどすると、「そこの日本人。2番の部屋に行って」と
ガードマンに指示され、審査室へ。「申し訳ないが、今までか
つてないほど理解しがたいアラブ圏の出入国記録があって幾つ
か質問しないとならないから」と圧力かけるような話し方。イ
ラン渡航の理由、中東での活動、アラビア語の出来不出来、イ
スラム教徒との交友関係など尋ねられる。「世界一厳重な出入
国審査」として知られるイスラエルだが彼らの仕事は一種のル
ーチンワークに見える。なぜならガザ、ゴラン高原、南レバノ
ンに接している地政学リスクから、そうせざるを得ないのだろ
う。彼らの非常識的な会話や高圧な態度に感情的になるのは子
供じみている。
面接は終えたが、パスポートを取り上げられたまま6時間近く
が過ぎる。係員に現状を尋ねると「入国判断の審査をしている
から待て」との一点張り。3時間に1回の割合で空港売店にあ
るサンドウィッチとミネラルウオーターを差し入れられる。そ
の間にもロンドンやモスクワから到着した乗客の一部がこの待
合室に送られてくる。聖地ベツレヘムへ行く英語が出来ないイ
ンド人。テルアビブのディスコで働くイギリス人。ガザへ取材
に行こうとするロシア人ジャーナリスト。
「あなたはここでどれくらいスタックしているの?」と問われ、
お互いがスタック時間の競争になってしまうほど待合室の雰囲
気は和やか。
「キンシャサとかカブールの空港より良いよ」とロシア人ジャ
ーナリストは言う。
確かにどこの国の出入国審査でも、難癖付けてスタックするこ
とは多い。さらに厄介なのは法外な空港使用料やサービス料と
称して賄賂を求める空港スタッフや出入国審査官だ。一番、外
国人と接することが多い場所は彼らにとって現金を巻き上げる
場所に適しているのか。
結局、9時間半かけて審査結果はシロと判断。入国ができて荷
物を取り出し、到着ロビーに出るころは朝になってしまった。
「二度と来るものか」と感情的なる人も多いが、短絡的に見る
よりは、「正直に話せば通してくれる」と信じて素直に答える
ことがベストだろう。
結局、入国できたのだから私の勝ちであろう。出入国審査の方、
お疲れ様でした。
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