もっとも、ハリウッドが誇る大女優の名は絶大だ。
中韓が抗日70周年の狼煙にする 「アンジェリーナ・ジョリー」監督映画
今年は終戦70年の節目の年。中国や韓国がこの機に乗じて抗日キャンペーンを仕掛けてくるのは想像に難くないが、新年早々その狼煙が上がった。赤々燃ゆるは、アンジェリーナ・ジョリー(39)の監督映画。中身が中身だけに、両国がこれ幸いと油を注いでいる。
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“問題”の映画は、『アンブロークン』。昨年クリスマスにアメリカで公開された、先の大戦モノである。
原作は、陸上の元五輪選手が戦時中、日本軍の捕虜になり、収容所で激しい虐待を受けた。これに耐え、故郷に生還を果たした彼は、後に加害者を許す――という内容のノンフィクション。虐待が詳細に描かれ、日本には人肉食の習慣があり、捕虜も食したという話すら出てくることから、
「英語圏のネットでは、公開前からこの映画が物議をかもしていました」
と、北米在住ライターの関陽子氏。
「“これが日本人の本当の姿だ”などの非難がネットにあふれているのです。私は初日に見に行こうとしていたのですが、あまりに日本叩きがすごいので一人で行くのが怖くなりました」
というワケで、客足が落ち着いた年明けに恐る恐る足を運んだ関氏だが、中身は想像通りだったという。
「人肉食の部分はカットされていましたが、とにかく残虐シーンが長いんです。2時間強の映画の半分はそれで、重い角材を30分以上も持ったままにさせるシーンがポスターに使われ、意味もなく日本人伍長が主人公を殴ったり蹴ったりを繰り返す。観客も目を背けたり、“ジーザス”とつぶやいたりしていました」(同)
これを見れば日本人は残虐だと思うに違いない。
■イーストウッドと比べて…
となれば、盛り上がるのは“あの国々”である。
外信部デスクによれば、
「中国では1月30日に上映が開始される予定。国営通信社は、日本の保守系団体が映画を批判していることを“日本右翼が侮蔑、妄言”とボロクソに攻撃していますし、1月7日から公開の韓国では、ネットで映画のタイトルを検索すると、期待の声であふれています。大手紙は“日本兵が人肉を食べた事実もあった”とはっきり書いているほど」
中韓にとって今年は、「日本の戦争犯罪」追及の格好の年だ。
「その始まりに、慈善家としても評価が高いアンジーが、図らずも“日本の悪”を炙り出す作品を作ってくれた。乗っからない手はないでしょう。公開後は実際に虐待シーンを目にしますから、映画をネタに日本非難が高まるのは確実です」(同)
国際ジャーナリストの木村正人氏は言う。
「2006年、クリント・イーストウッドは硫黄島戦を日米双方の視点からそれぞれ映画にし、高い評価を得た。以来、戦争映画は双方の視点から物語を描くように進化してきたのです。それに比べ、『アンブロークン』は勧善懲悪で、一面的過ぎると思いました」
もっとも、ハリウッドが誇る大女優の名は絶大だ。
映画は公開初日に全米トップの興行成績を収めたばかりか、「アカデミー賞にノミネートされる可能性も十分」(関氏)。
さすれば、かつてオスカーを獲得し、日本の捕鯨を国際的なバッシングに晒した『ザ・コーヴ』の悪夢を思い出す――。
スター女優と反日国家のトライアングル。日本は新年から、厄介な相手に囲まれてしまったものである。
http://www.gruri.jp/article/2015/01160815/