頂門の一針「核」が日中開戦を抑止する(3) 平井 修一 | 日本のお姉さん

頂門の一針「核」が日中開戦を抑止する(3) 平井 修一

「核」が日中開戦を抑止する(3)
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平井 修一
「日本は(こうなったら)核武装する(しかないな)――戦中戦後92年生きて分かったこと」の著者、吉澤正大氏(水産大学名誉教授)の提言はこうだ。
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核武装する上でやっかいな問題は、国民総体としての官民一体の「日本有核化への合意」である。このコンセンサスは最も難しい。西部邁氏の説明を紹介する。
<原子力発電は平和利用といい、核兵器は最悪の反平和利用だという。核は最大の抑止力で、ある意味で最大の平和手段であるという理解ができない日本社会を、(列島)劣等人と呼ぶことに私はいささかの躊躇も覚えない。
劣等人の集まりである日本社会に有核のコンセンサスを求めることはほとんど不可能だ。自衛隊も警察も皆解散したらよい。その時何が起きるかを体験して初めて気がつくという劣等人集団なのだ>
私の思いは西部氏と同じである。
しかし、ともかくも国家中枢・高等官僚などの中の有志少数を中心として有核化へ具体的行動を起こすことだ。有核化作業は従来の原発を中心とした核作業の延長上にあるから、その気で進めれば秘匿性は充分効果的にできる。
あと約20%程度の作業で(日本製の核爆弾は)完成するから、あらゆる作業が準備できるまで国民の大部分は知らないで済む可能性すらあると私は思う。原発運転の結果、プルトニウムPu239/93という原爆素材は2010年現在、約1万発分も生産され、青森県の六ヶ所村の国家施設に厳重に保管されていることを国民の大部分は知らないし、気にしていない。
米紙ニューヨークタイムズは2010年4月、中国は南シナ海を自国の「核心的利益」に加えたことを初めて報道した(読売の「論点」に井尻秀憲氏寄稿)。
それによると、中国はこれまで台湾やチベットを自国の「核心的利益」と位置づけ、領土保全を図るうえで「死活的に重要な地域」と見なし、他国への妥協を一切拒んできた。新たに南シナ海を加えたことで、この海域の海洋権益の獲得を強行に推し進める意思を明確に示したのである。
これにより、域内の周辺各国、特に東南アジア諸国から当惑や警戒感が噴出している。ベトナムを軸にASEAN諸国は対中国警戒感の共有で結束したように見える。
これらの動きは米国の対中関係にも影響している。米国はこれまでの中国重視から同盟国重視へと調整を行い、米中関係は悪化の兆しが見えはじめている。
これはASEANの問題だけではない。日本の生命線であるシーレーンが重大な脅威を受け、まさに死活問題だ。問題は本当に切迫してきた。中国の尊大な横暴は唯一「中国の核」による。これを抑止する実力は「日本の核」以外にない。(以上)
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吉澤氏は「有志少数で極秘裏に核武装するしかない」と言っている。小生もそれしかないと思う。氏はこの作業において米国の協力は不可欠だと言っているが、米国の国是は「日本を100年間、戦争をできない国にする」だから、特に米民主党政権では協力は得られまい、と小生は思っている。
協力を依頼すれば逆に「日本に最大限の圧力をかけて核武装を阻止する」に違いない。米国にとって最大の脅威は中共やロシアではない。米国は真剣に中露と戦ったことはない。とことん戦った相手は日本である。
逆に日本にとっての潜在脅威は米中露である。
米国はなによりも「日本の再武装」を恐れている。日本は世界の400年間に及ぶ「白人支配秩序」を被抑圧民族との連帯でぶっこわした。白人の植民地はすべてなくなった。戦後、オランダごときは米国の残飯を羨むほどに没落した。すべてを日本のせいで失った。
大英帝国もほぼ解体して1965年あたりからは「英国病」と言われるほどへたった。ビートルズしか輸出するものがなかった。今でも快復していない。
白人は日本に勝ったはずなのに戦後は(米国を除いて)没落した。日ソ不可侵条約を破って日本に襲いかかったソ連も消えた。白人は確かに戦闘で日本に勝ったが、「大東亜解放」という、白人による有色人種収奪撲滅という日本の大戦略は(民族独立の導火線に火をつけて)結果的に成功した。日本は試合に負けたけれど勝負に勝った。
恨み骨髄、白人が一番嫌っているのは「強い日本」、その復活である。
今の米国は吉澤氏の著書が刊行された2011年2月とは大きく異なっている。今や米国は「世界の警察官」を廃業しつつあり、へたをすると中共に譲歩しかねないという体たらくだ。
さらにバカな米駐日イルカ大使と米国務省は「日本人よりクジラ、イルカが大事よ」、シーシェパード万歳、日本人大嫌いと言ったのである。
親米派のような保守論客の櫻井よしこ氏は「安倍政権に“失望した”という米国に“失望した”」と強烈なカウンターパンチを食らわした。「保守の親米派(米の核の傘を信じるおめでたい依存派)はいなくなるぞ、反米、嫌米(日本は独自に核武装すべしという自立派)になるぞ」とオバマへブラフ(脅し)をかけたのだ。
それでなくともイルカを駐日大使にするオバマ米国に不信感を抱いていた小生は「もう米国には頼れない、核武装しかないな」という思いを新たにした。
米国は「中共の核」より「日本の核」(広島、長崎の報復)を恐れているから、そんな日本人の思いに慌てたのだろう、唐突に中共に「日本は俺の縄張りだ、ちょっかい出すな」と言い始めた。櫻井氏らのブラフが効いたのだろう。イルカはリニア新幹線で安倍と大いに談笑した。まあポーズだ。
こんなのは、危機爆発がちょっとばかり遅れたということで、中共の日本殲滅の意志が軽減したわけではない。東欧と中東の2正面で米国がアップアップしている今は、中共のアジア覇権の絶好のチャンスなのだ。ロシアのクリミア強奪に世界G7は何もできなかった、中共のアジア武力制覇、覇権確立にも何もできやしないだろう(注)。
再び言う、「日本は中共の属国になりたくない」「中共のアジア制覇を許さない」と覚悟するのならのなら、日本は極秘裏に核武装するしかないのである。(つづく)
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注)XINHUA.JPからの引用。<中国紙・環球時報は4月14日、「少将:米国は中国がロシアを真似るのが怖い。そのため、中国に厳しい言葉を浴びせて威嚇している」と題した記事を掲載した。
記事によると、国防大学の朱成虎教授(少将)は米国のヘーゲル国防長官と在日沖縄米軍のウィスラー司令官の発言を取り上げ、「相次ぐ発言は米政府の中国の領土問題に対する『政策の転換』をあらわしている。これまでの『どちらの側にもつかない』という立場ではなくなったということだ」と指摘。
その上で、「米国は欧州ではロシアに対してなすすべがないが、太平洋では全く違う。米国は中国がロシアを真似ることを恐れている。そのため、事前の警告を通じて何度も威嚇している。中国への威嚇は自らのアジアにおける軍事的存在を拡大するための口実にされている」との見方を示している>(2014/4/15)