福岡市内で迷子になった猫が、マイクロチップのおかげで飼い主の元に | 日本のお姉さん

 福岡市内で迷子になった猫が、マイクロチップのおかげで飼い主の元に

2008年12月01日掲載 [福岡 / 哺乳類]
迷子の子猫ちゃん あなたのお家は…ここですね 識別チップで「お帰り」 3ヵ月半ぶり 飼い主感激
 福岡市内で迷子になった猫が、体内に埋め込んでいた個体識別用のマイクロチップのおかげで3カ月半ぶりに飼い主の元に戻った。福岡県によると、チップ効果による迷い猫の“帰還”が確認された例は県内で初めて。年間1万1千匹に上る県内での猫の殺処分は全国最多級。費用面などの課題はあるが、殺処分を減らしたい福岡市や同市獣医師会はこれを好機ととらえ、チップ普及の啓発を強化する考えだ。

 ●県の殺処分全国最多級 普及啓発へ

 この猫は、同市西区の主婦牧園千代子さん(52)方の雌3歳「ドゥイ」。5月9日夜、外に出たまま行方不明に。一家4人で近所を捜したり、情報提供を求める張り紙をしたりしたが、見つからなかった。

 あきらめかけていた8月26日、同区の動物病院から連絡が入った。牧園さん方から約3キロの場所でドゥイを拾い、そのまま飼っていた男性が不妊手術のために病院に持ち込んだところ、マイクロチップに記録された登録番号で飼い主が判明した。ドゥイは生後4カ月でチップを埋め込む手術をしており、牧園さんは「本当に役に立つとは…。家に明るさが戻りました」と喜ぶ。

 ただ、このような朗報は珍しい。不妊・去勢手術とセットで2万円以上の費用負担がネックとなり、チップの普及が進まないからだ。福岡市と同市獣医師会は2006年度から猫の不妊・去勢とチップ装着手術費のうち7500円を助成する制度を導入したが、06、07年度とも百数十匹にとどまり、目標の年間200匹に届いていない。損害保険会社が動物用保険に加入する猫を対象にした全国調査では、装着率は1割未満だった。

 福岡市の動物管理センターには、県内最多の年間約2700匹の猫が持ち込まれる。「狂犬病予防法で登録が義務付けられ飼い主が判明しやすい犬に比べ、猫は飼育数も把握できていない。不幸な猫を増やさないため、今回の例も紹介しながらチップ普及に努めたい」と同市獣医師会の富博明会長(55)。

 非政府組織(NGO)「地球生物会議」(東京)の野上ふさ子代表は「マイクロチップは保健所などに持ち込まれる迷い猫の返還率を高めるのに効果的。ただ、持ち込まれるのは生後すぐの子猫も多く、殺処分を減らすには不妊・去勢とチップ装着の手術をセットで行うことが大切だ」と強調している。

=2008/12/01付 西日本新聞夕刊=
http://qnet.nishinippon.co.jp/animal/news/2008/12/post_493.shtml