蒋政権に好意的なおびただしい数のジャーナリストがくり広げた宣伝 | 日本のお姉さん

蒋政権に好意的なおびただしい数のジャーナリストがくり広げた宣伝

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成24(2012)年8月28日(火曜日)
        通巻第3736号 
 軍権は誰の手に落ちるか? 
  常万全か、あるいは総主流派体制なら劉源、張海陽が再浮上の可能性も
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 五年前の第十七回党大会で胡錦涛は、総参謀総長だった梁光烈をはずし、国防部長に異動させた。
中国における「国防部長」とは行政上の虚席でしかないことは、国家軍事委員会が党軍事委員会と比べると存在理由の希薄な状態と同じである。「中国」なる国家は、一皮めくれば行政は飾りであり、党が全てである。市長より市党委員会書記が数段上であるように。

 現在の総参謀長は陳丙徳である。
参謀部は表向きの本部は北京市西城区愛民街にある。軍が移動するとき、配置に就くとき、すべての軍の司令がここに集約される。そして軍の参謀部の中枢は西山にあり、この地域は厳重な警戒態勢が敷かれている。

 ちかくに玉泉山基地があり、西郊飛行場は軍専用である。「西山」と総称すれば、軍中枢という意味で使われる。地下司令部が存在する。
12年四月に江沢民が「西山」に陣取って政治局常務委員会の緊急会議を開催させたのも、この西山。そして同会議で薄煕来の失脚を決めたのだった。

 さて次期参謀総長だが、房峰輝(北京軍管区司令員)と、章泌生(副参謀長)の名前が取りざたされてきたが、ダークホウスとして、張又侠(瀋陽軍管区慰司令員)の名前も挙がってきた。

 房峰輝は胡錦涛派。次期軍事委員会入りは確実。また章泌生(副参謀長)は、二月に「中国人民解放軍は党ではなく国家に従属する『国軍化』が望ましい」として発言で、停職処分を受けたとする報道がなされたが、彼もまた胡錦涛派である。復活の可能性が極めて高い。

 ダークホウスの張又侠は「太子党」であり、父親の関係から第十四軍との関係が深く、江沢民派と見られる。
江沢民派の徐才厚(現在、軍事委員会副主任)の覚えめでたく、江沢民派優位ならば、張が総参謀総長に就く可能性がある。順当に行けば江沢民派の常万全が有力である。

このほか、軍事委員会入りしそうな太子党の面々と言えば、劉少奇の息子の劉源のほか、海軍政治委員の劉暁江、国防大学政治委の劉亜州、そして戦略ミサイル軍政治委員の張海陽が比較優位のポジションにいるとされるが、北戴河会議で、どう決まったか。
 人事が公表されるのは第十八回党大会最終日になる。
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 795回】      
   ――いまが“臥薪消沈”から抜け出すべき絶好機だ    

!)西旅行がキッカケで、日中戦争当時、蒋介石率いる中国に対するアメリカ国民の反応について改めて考えてみた。

アメリカのジャーナリストや研究者の書いたものを読むと、どうやらアメリカ人の中国と中国人に対する過度の思い入れに加え、蒋介石政権、わけても夫人の宋美齢と宋一族によるアメリカの議会やマスコミを通じての巧妙な宣伝工作が奏功し、アメリカ国内で中国同情論が猛烈な勢いで湧き上がる一方、日本に対する悪感情・嫌悪感が増幅された。かくしてホワイトハウスや軍当局の対中・対日政策が左右されたという仕組みのようだ。

たとえばヴェトナム戦争報道でピューリッツァー賞を受賞したD・ハルバースタムは『朝鮮戦争(上下)』(文春文庫 2012年)で、アメリカは蒋介石政権の“甘言”を信じただけでなく、その手練手管に翻弄されたとする視点から、当時の米中関係をこう分析する。

蒋政権に好意的なおびただしい数のジャーナリストがくり広げた宣伝」によって、アメリカ人の間に「かわいい中国、勤勉で従順な信頼できるよきアジアの民が住む国」とのイメージが焼き付けられることになる。「多くのアメリカ人の心の中に存在した中国は、アメリカとアメリカ人を愛し、何よりもアメリカ人のようになりたいと願う礼儀正しい農民たちが満ちあふれる、幻想のなかの国だった」。「多くのアメリカ人は中国と中国人を愛し(理解し)ているだけでなく、中国人をアメリカ化するのが義務だと信じた」。そのうえに当時の大統領である「ルーズヴェルトは手がつけられないほどロマンチックな独自の中国観を持っていた」。彼の母方の家系は中国貿易で莫大な富をえていた。

そんなアメリカの中国観の根底にあったのが、19世紀後半から中国に送り込まれた宣教師たちであり、その子供たちだった。20世紀のアメリカの対中政策策定者のなかには中国で中国人に“蝶よ花よ”と育てられた宣教師の子どもたちが少なくなかったらしい。なれば「宣教師の子として中国で成長した中国優先主義者には、この国の魅力は深く、かつ確固不動なものがあった。中国はある意味でアメリカに劣らずかれらの家郷であり母国であ」り、「一世紀にわたり誠実につくした数千人ものアメリカ人宣教師たちの影響力は、中国に対してよりも、母国の政治に対するほうが大きかった」としても何らの不思議はない。

ここで気になるのが、今回の竹島・尖閣にかかわるアメリカ・メディアの傾向であり、世論の動向だが、日中戦争当時の悪弊はいまだ一向に改まってはいないのではないか。

「産経新聞」(8月18日)は「靖国参拝など“日本の挑発”を示唆」の見出しで、香港の自称「保釣運動活動家」による尖閣への不法上陸に関し、「米紙ウォールストリートジャーナル」の記事を紹介しつつアメリカでの報道ぶりを、日本では「ナショナリスト(民族主義者・国家主義者)の政治家や活動家が新たな影響力を振るっており、中国や韓国との関係をこじらせ、東京の政策担当者の頭痛のタネになっている」と報じ、「日本が中韓を“挑発”しているとの印象を与えかねない内容」としている。

いったい「米紙ウォールストリートジャーナル」に対し中韓両国がどのような遠隔操作を行っているのか。
同紙読者がアメリカ社会のどの階層に属し、どれほどの数になるのか。広くいえば現在のアメリカの中国観や韓国観は如何なのか――そういった点は知る由もないが、歴史的事実に思い致すことなく、記事に込められた政治的意図を知ろうともしないままに、同紙読者は中韓両国の肩を持つよう導かれてしまうに違いない。
弾丸は背後からも飛んでくる。臥薪嘗胆ならぬ臥薪消沈はもう止めるべきだろう。
《QED》
 
(宮崎正弘のコメント)ウォールストリートジャーナルはウォール街を代弁する、共和党リベラル派の代表選手。人名で言えばパパ・ブッシュ路線です。共和党保守派を代弁するのはワシントンタイムズでレーガン、ブッシュ・ジュニア路線。しかしながらこのメディアは尖閣問題への関心が薄い。
 ニューヨークタイムズ、ワシントンポストならびにロスアンジェルスタイムズは民主党支持で、論調が反日的ですね。
     ◎◎◎
  ♪
(読者の声1)貴誌3735号(読者の声1)でMH氏が「中国が韓国をそそのかしているのではないか」という説を紹介されていました。
その真贋を私は知りませんが、10月以降韓国の通貨が暴落すると予測します。
日本政府との通貨スワップが縮小ないし廃止されれば、投機筋がウォンの売りに出る可能性が高い。韓国経済の一極集中を象徴するサムソン電子が米国での特許裁判で負けたことは大きな影響を韓国経済にもたらしますが、それ以上の影響を韓国の金融市場に与えます。
これが、ウォン売に投機筋が出やすくなる素地を作ります。
万が一、中国政府高官が『たとえ日本との経済関係が上手くいかなくなったとしても中国が面倒を見てやる』などとそそのかすなら、その高官がウォンの先物売の注文してからのことでしょう。
さらに韓国の経済と産業と社会の健全性を試す絶妙な機会が、台風15号です。建築物の堅牢性ばかりでなく、市民の心性も試されます。
貴誌同号(読者の声2) で「平成23年にパチンコ業界の売り上げは最高を記録し27兆円でしたが、」と書きましたが、平成13年(西暦2001年)の間違いです。
ついでながら私もパチンコは一度だけ。昔「はとバス」で名古屋観光したとき、玉を10個渡されて、あっという間に使い切ったときだけです。
  (ST生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)ウォンは国際通貨ではないので、日本でも韓国と取引のある商社、メーカー。そして観光客が影響を受けるでしょうが、ほかに広がりは希薄でしょう。
 それより人民元です。
 小生が一貫して予測しているように、人民元は暴落気配濃厚ですね。
 ウォールストリート・ジャーナルの本日(8月28日)の特大報道は、「過去7年間で、人民元は対ドルレートを30%上昇させた。とくに昨年は4・7%上昇した。そして12年があけて、人民元の対ドルレートは下落し始めている」
 として今後の下落傾向を予測しています。
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