少しでもお得に家電を処分するには (プレジデント7月15日)
不要家電の処分は、こうすれば得をする
少しでもお得に家電を処分するにはどうしたらいいのだろうか。まず処分する家電の種類によって異なることを知っておく。2001年4月、家電リサイクル法が施行された。消費者が指定家電のリサイクル費用を負担することを定めた法律で、現在、エアコン、テレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機が対象である。
費用の目安はテレビが2800円、冷蔵庫で4800円、洗濯機が2400円、エアコンが2500円。新しいものに買い替える場合は、購入店でリサイクル料を払って依頼するが、処分のみの場合は、行政の家電リサイクル受付センターに依頼する。地域によって多少異なるが、これに収集運搬費をプラスしたコストが消費者負担となるため、トータルで1万円近い出費となることもしばしばだ。ちなみに、リサイクル法対象外の家電を粗大ごみに出す場合も手数料がかかるが、一般的に数100~2000円程度である。
もし引っ越しと同時に処分するなら、引っ越し業者に依頼するのが一番手間もコストも省ける可能性が高い。サービスの一環として運搬費無料で引き受けてくれる場合もあるからだ。事前に業者に相談し、追加で運搬費が発生する場合は、個数制限の確認も含めて見積もりを出してもらうようにする。当日まで出さない業者には依頼しないほうが無難。結局、運搬費が高く、行政に依頼したほうが安くあがることも多いからだ。
比較的新しい家電なら、リサイクルショップなどの買い取りサービスを利用する方法もある。こちらも費用がかからないうえ、モノによってはそこそこの値段で引き取ってくれる場合がある。買い取り対象の目安は、パナソニック、ソニー、シャープなど人気メーカーの白物家電やテレビなどで、製造から5年以内のもの。レーザーディスクのように今は市場に出回っておらず、マニア受けしそうな製品なら、高額買い取りもありうる。いずれにせよ、なるべくきれいに掃除し、付属品や取扱説明書も揃えておきたい。場所や店舗によって買い取り価格が大きく異なることがあるので、数社に見積もりを依頼する。
不用品回収業者に依頼する手もあるが、事前に見積もりをもらうことを忘れてはいけない。「無料回収」のチラシなどにつられて依頼すると、外に運び出してから「回収は無料ですが運搬費がかかる」などと法外な料金を請求される恐れがある。家電リサイクル券をきちんと発行し、半券を交付してくれる認可業者であることを事前に確認したほうがいい。
特にトラックで巡回している回収業者はリスクが高い。「壊れていても動かなくても結構です」とアナウンスしていても、高い運搬費を要求される可能性が高いだけでなく、空き巣の下見の可能性すらあるかもしれない。特に一人暮らしの女性は要注意だ。産業廃棄物収集運搬業の許可をもっていない業者の場合、売れる部品だけを抜き取って、残骸は山や海などに不法投棄してしまう恐れもある。
手間はかかるが、ネットオークションを利用する方法もある。VHSとDVD機能が両方搭載されているビデオデッキや、HDD・DVD、あるいは8ミリビデオの再生機など、現在では購入が困難。需要があるものは高値も期待できる。
結局、購入してから10年以上たった家電で希少価値のないものなら、冒頭で説明した正攻法で処分するのが一番お得で安全といえるだろう。
最後に裏ワザを一つ。5月15日にエコポイント制度がスタートした。対象製品であるエアコン、冷蔵庫、地デジ対応テレビに買い替えた場合、規定のポイントに加え、リサイクル料金相当分のポイントが付与される。対象家電を買う予定の知人や家族がいる場合、自分の不要家電を渡せば、買い替える人はポイントがもらえ、処分料は実質無料となる。
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戸井田園子
といだ・そのこ●大学で住居学を専攻。1985年に大手プレハブメーカー入社後、商品企画などを担当する。2000年退職後、フリーのインテリア&家電コーディネーター。
構成=大沢玲子
プレジデント7月15日(水) 11時30分配信 / 経済 - 経済総合
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