A猫ちゃんのこの頃
A猫ちゃんは、15歳と半年。オレンジ色に白いシマシマ模様の猫だが、
白髪が増えて、額の模様がなんだが変わってきた。
A猫ちゃんは、人間で言えばおばあさん。いつ死んでしまうのか分からない。
だから、他の猫よりも可愛がっているつもりだ。
A猫ちゃんは、以前よりも、寒がりになっている。
だから、今の時期はガスストーブの前に張り付いている。
体を触っても、他の猫と比べて温かくない。
A猫ちゃんは、N猫ちゃんが生きていた頃は、常にNO.2の猫だったが、
今はNO.1の猫になっており、それをちゃんと分かっていて、寝る時は、
お布団の中の一番いい場所に来る。
A猫ちゃんは、生後1ヶ月か2ヶ月ぐらいの時に、会社に行く途中で拾った猫で、
「うちの子になるか?」と言って車のドアを開けたら「にゃあ!」と言いながら
中に入って来たので、そのまま家に連れて帰った子だ。
栄養失調で、目頭のところから、しゅん膜が少し出ていた。
学校帰りの子供に給食のパンの残りをもらって食べていたらしく、今でも
パンを見ると欲しがる。パンなど食べても栄養がとれないだろうから、少ししか
あげないのだが、子供の時に食べた味って、一生モノなのかなと思う。
N猫ちゃんが13歳で死んだ時、N猫ちゃんの腕に自分の腕を乗せて、
寄り添って寝ているので、悲しんでいるのかなと思ったら、
ゴロゴロ喉を鳴らしてご機嫌だった。N猫ちゃんのために、外に出て
花を摘んでいると、A猫ちゃんも出てきて、楽しそうにしていた。
弟が独身の時に飼っていた大型犬は、弟が結婚したら奥さんに焼きもちを
焼いて決して慣れなかったそうだ。
奥さんが新しく飼った小型犬のことも、好きではなかったそうだ。ある晩、
その小型犬が死んだとき、人間は誰もそのことに気がつかなかったのに、
大型犬は気がついて、ソファーの下から、出てきて嬉しそうにしていたそうだ。
弟の奥さんは、小型犬の死を喜んだその大型犬が嫌いになったそうだ。
結局、その犬は上等の犬だったので、車の中でお留守番をさせている間に
鍵を壊されて盗まれてしまったそうだ。(外国では、そういう事件が起こる。)
犬だって焼きもちをやくんだから、猫だって焼きもちをやくのかもしれない。
A猫ちゃんは、もしかしたら、N猫ちゃんがそんなに好きではなかったのかも
しれない。A猫ちゃんがN猫ちゃんを優しく舐めているなと思ったら、急に
N猫ちゃんに噛み付いてケンカをしかけたことが何度もあった。
N猫ちゃんが死んでしばらくはペットロス状態だったが、A猫ちゃんがまだ
生きているから、かなり慰められている。他の猫たちがいるから、ペットロスも
軽くすんでよかった。
たまに、友達に「N猫ちゃんが、あんなに早く死ぬとは思わなかった。
もっと、可愛がってあげたらよかった。」などと言うと、友達は、
「そう思うなら、今までの経験を生かしてA猫ちゃんと他の猫を、N猫ちゃんの
分も可愛がりなさい。」と、いいことを言ってくれる。友達っていいもんだ。
わたしは、本当は犬が好きなのだが、猫を飼ってみると猫にもいろんな
タイプがいて、面白い。家に帰るとちゃんと、犬みたいに玄関に迎えに来て
いるし、わざと団地の階段を駆け上がって、捕まえにくるのを楽しみに
しているし、呼べば来てくれるし、会社の残業や用事で家に遅く帰るとすごく
喜んでくれる。猫がいない人生は、もう考えられない。N猫ちゃんや
A猫ちゃんにめぐり合えてよかった。親バカ(飼い主バカ?)かもしれない
けれど、可愛い猫のオーナーになれてよかった。
可愛い動物を創ってくれた神さま、ありがとう。