イランと中国
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年)5月19日(金曜日)通巻第1467号
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イランが「上海協力機構」の正式メンバー入りを要請
中央アジアの国際政治は地殻変動を起こそうとしている
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日本のような“平和惚け”国家が国際情勢の裏読みを怠るのは
当然にしても、西側世界も最近まで、この動きを軽視した。
濃縮ウランによる核開発をあきらめないイランは、中国とロシアに
国連での庇護を求め、とくに中国はイランと1000億ドルもの長期
契約を結んでガス、石油鉱区開発の正式契約をしている。
イランを梃子にロシアと中国は国連決議に反対したり、棄権したり
して西側への挑戦をしているのだが、単細胞のアメリカは中国と
ロシアを手玉にとってイランを動かすことが出来ず、ついには
「イラン制裁」を獅子吼して、日本にアザデガン油田開発の
中断という政治圧力をかけてきた。
ルカシェンコ独裁のベラルーシへの失策、ミャンマー政策の
完全な失敗(制裁ゲームで遊んでいる内にミャンマーは完全に
中国の経済植民地になった)。
しかも、この時期を選んでイラン外相は「夏までにイランは
『上海協力機構』(SCO)の正式メンバーとなりたい」と表明した。
これにはむしろ中国が慌て、ほかにもSC0のオブザーバーである
インド、パキスタン、モンゴル諸国にも少なからぬ動揺をあたえた。
大げさに言えば近未来に中央アジア版NATOを中国軍人を最高
司令官として結成しようという動きだからである。
ジャン・フィリッペ・ビジャ(パリ国際研究センター<CERI>主任
研究員)は「あきらかな西側秩序への挑戦だ」と唱えた。
またグレン・バークレー豪国立大学教授(キャンベラ)は、「西欧と
中央アジアのあらゆる意味での地殻構造上のシフト(Tectonic Shift)
であり、西側はもっと関心を持つべきだろう」
(INSニュース、5月126日付け)と注意を喚起している。
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イランが中国をやけに慕ってきている。
中国を中心にアジアでまとまりたいと言ってきている。
中国は、そうなりたかったのではなかったのか?
ずっと前から、アメリカと対抗するために、集まって
一大勢力を作り上げようって、アジアでもアフリカでも
言い続けてきたじゃん。↓