おもしろい記事があった。 | 日本のお姉さん

おもしろい記事があった。

中国・アジア間 ビジネス環境の変化-加藤修

 現在、中国ビジネスを展開する日系企業は、国内市場対策としての

卸売会社設立や事業部別に多数設立された工場の再編で大忙しだ。

中国を担当していると、まだまだ課題山積みで中国以外のことなどとても

手が回らない状況だろう。

しかし今、中国案件で多忙の中、何とか時間を捻出し、アジア方面にも

体力を傾けねばならない時期に来ている。何故なら、日系企業を含め、

中国で製造された製品がアジア方面へ大量に向かっているからである。

 世界的な景気回復はBRIC’sを代表とする新興国への資金循環をもたらした。

この結果、景気の好循環はBRIC’s以外のアジア各国へも資金還流をもたらし

始め、一部アジア諸国の「市場化」を手伝っている。最近では中国投資の

一巡感もあり、余剰資金をどこへ投資するかを検討する中で、しばらく目の

向いていなかったアジアへ回帰する動きが見える。

 日本本国では現地の状況が見えにくく、どうしても判断が一方向へ傾き勝ち

である。我々が常々申し上げているのは「中国の時代は終わりアジアの時代」

というのではなく、「中国プラスワンの時代」ということだ。

これからは中国の活用が課題となる。

 さて、最近ベトナムやインド、シンガポールへ出向く機会が増えた。

どこへ行っても気付くのは中国の存在感の大きさである。例えばニューデリーの

家電卸売市場を歩く機会があった。日系家電メーカーの商品を含め、

メイド・イン・チャイナの商品が溢れている。玩具市場に並ぶのは大半が中国製だ。

ヒアリング調査によれば、複写機に至っては製品供給の9割が中国からという

企業も多数存在した。

これはベトナムにおいても同様だった。玩具売り場を訪れても、メイド・イン・ベトナム

の商品は見えない。ほぼ全量に近い量がメイド・イン・チャイナである。

ベトナムの日系組立加工企業も、結果的には大半の部材を中国からの輸入に

頼らざるを得ない。

 シンガポールを歩いてみると、アンチ・チャイナ的な意見が多い。

さまざまな要素がある。しかし近年、あまりにも多くのビジネスが中国に吸い込ま

れたことによる反発もあるように見受けられる。

今まで中国はブラックホールであった。警戒感が育つには当然の環境である。

しかしこれからはどうだろうか。

 まだ当面、中国がブラックホール的な存在であり続けることは間違いない。

しかしその後の動きは既に始まっている。国際競争力を付けた中国企業は

アジアへ向かっている。また中国に進出する日系企業も、その販売先が

海外であれば、いつまでも生産だけということにはなるまい。

最近、雨後の筍のように設立されている販社群。これら販社も当面は中国

市場がターゲットかもしれないが、いずれはメイド・イン・チャイナの輸出販売先を

求め、海外への営業展開を進めていくはずである。

 私は香港が中国の先を行くユニークな存在と感じている。

上海外高橋保税区に保税区商社が大量に設立される前、既に香港は中国向けに

大量の輸出、すなわち一種の内販を進めていた。

華東地区に大量の工場群が建設される頃には香港・華南では来料加工と言われる

輸出加工型工場が全盛であった。

そして今、香港ではアジア方面へ展開する企業を多数目にすることができる。

その先にあるアジア諸国を歩いてみればメイド・イン・チャイナの製品があふれている。

(執筆者:みずほコーポレート銀行香港支店 

中国アセアン・リサーチアドバイザリー課 次長・加藤修)


※本コラムはいかなる助言を含むものではなく、これによって生じた損害について、

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(サーチナ・中国情報局) - 5月23日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060523-00000001-scn-cn