宮崎正弘の国際ニュース・早読み
中国の資源戦略もブッシュのイラク同様に泥沼化してきたゾ
公害、大気汚染で毎年15万人が死亡しているが炭坑を
掘り続けなければ破綻が
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西側からすれば驚異的な脅威と映る中国の資源獲得戦争だが、
実際に一昨年の原油代金に430億ドルを費消し、このうち70億ドル分
が原油高騰による割り増し代金だったことを中国の当局も認めている。
中国の原油輸入の60%は中東およびアフリカ諸国からで、
ホルムズ海峡からインド洋、アンダマン海を経由する。
つぎにマラッカ海峡かロンンボク海峡を通過する。
2015年には、このルートへの依存度が85%に増大するという。
このため中国が海軍を充実させ、マラッカ海峡の航行の安全が中国の
利益に繋がるという考え方を鮮明に打ち出してきた。
一方で戦略的見地から!)石炭の増産、および国内原油増産。
!)戦略備蓄基地構築。まもなく20-30日分の備蓄を開始するため
巨大備蓄設備を広東省と海南島の四カ所で突貫工事中。
!)原発の増設。2015年までに15基、20年までに22基などの政策を
矢継ぎ早に実施しているが、将来の不安をうち消せないでいる。
(4月14日付けのヘラルドトリビューン紙はロシア製原発が今後大量に
中国に輸出されようとする大きな記事を掲げている)。
さらに中国は軍事戦略上からも原油輸入ルートの近道を早急に
確立しようと躍起であり、これが反米路線の外交戦略に繋がる。
途中からの“パイパス・ルート”は、大きく三つあり、前者二つは
実際に動き出している。
(1)パキスタンに陸揚げし、新彊ウィグルへのパイプラインを
建設する
(2)ミャンマーから雲南省へのパイプライン(750マイル、
およそ20億ドル)
(3)タイを横断するクラ運河構想から地下埋設のパイプライン建設
構想へ。 第一のパキスタンルートは最南西部のグアダール港の
建設が開始されており、付近の反政府、反中国のバルチスタン独立
ゲリアの妨害、テロ、誘拐に直面しながらも港湾工事は進んでいる。
「グアダールからパイプラインもしくは鉄道を用いて、北へ900マイルの
イスラマバードへ。
されにここから760マイル西北のカシュガルへパイプラインを敷設しよう
というもの。中国との軍事同盟を半世紀以上に亘ってつづける
パキスタンは、中国の支援と資金を頼りにしているが、経済コストから
すれば、このルートは運搬するに長すぎる」(チャイナ・ブリーフ、
4月12日号)。
ともかく北京を訪問したムシャラフ大統領は、当面のところは既存の
カラコルム・ハイウェイの充実で合意を得ている。
▲ミャンマー軍事政権と長期契約は済んでいた!
第二のミャンマールートは構想倒れではなく、現実に昨年12月、
ミャンマー政府はペトロ・チャイナとの間で契約を交わし、向こう30年間に
6兆5000億立方フィートのガス供給プロジェクトを正式に発足させている。
最初にガスパイプラインを敷設し、ついで石油パイプラインを併設する
計画という(ストレートタイムズ、2月2日付け)。
第三のクラ運河構想だが、建設コストと原油代金高騰の兼ね合いが
難しく、マラッカ海峡との航海が二日ていど縮小という効果しか期待
できない。にもかかわらず膨大な投資になれば、採算コスト割れする。
代替案としてタイ南部にパイプラインを通す構想もあったが、タクシン前
(タイ)政権は、これを治安上の理由から蹴った。
となれば、世界中で鉱区を漁って開発を続けているとはいえ、目下の
エネルギーは、ほかに石炭に依存せざるを得ないのが実状だ。
発電における石炭依存度は72%から65%に減少し、北京政府は
不採算炭坑の閉鎖を命じてきたが、炭坑事故が引き続いており、
闇の炭坑での操業が伝えられている。 たとえ中央政府が命じようとも、
地方政府はほかに収入の道もなく、石炭産業にのめりこみ、
沿岸地域へ高値で売り飛ばすしかないのだ。 中国にも石炭液化技術は
あるが、これはコストの問題で原油価格が一バーレル40ドル以上
でないと、採算割れする。
それゆえに掛け声とは別に、炭坑の増設がつづき、「一年間に五億噸
ちかい増産が見込まれる」。
だが炭坑事故ばかりか、煤煙、大気汚染などで毎年12万人前後の
住民が死亡している(世界銀行報告、97年)。
汚染の元凶でもあり、石炭増産をいつまでも続けられる環境には
ないことも火を見るより明らかである。
エネルギー事情は極めて切迫しており、向こう五年間で、562カ所もの
石炭による火力発電所が増設される(「チャイナ・ブリーフ」、同号)。
まさに世界エネルギー事情の“攪乱要因としてのチャイナ・プロブレム”
は、まだまだ続きそうである。
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最近起きた病院の地下にあったダイナマイトが爆発した事故は、
病院で働く人のヤミの私設炭鉱が廃鉱になったのだが、残った
ダイナマイトを車に積んで病院地下に置いていたところ引火
して爆発したらしい。本人は雲隠れ。つかまったら、どうせ死刑
で、臓器も抜かれるから、逃げているのだろうね。
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山西省・原平市にある軒崗煤電公司職工医院(軒崗医院)で10日未明に発生した大爆発で、12日付の中国新聞社は「病院の職員がサイドビジネスで経営していた小炭鉱が閉鎖となり、ダイナマイトの置き場に困って病院の駐車場に放置していたことが爆発の原因だった」などとする関係者の話を伝えた。この職員の行方が分からなくなっていることから、山西省の警察は12日付で全国に指名手配した。
指名手配されたのは軒崗医院・総務課の副課長。警察の鑑識班によると、副課長は爆発の約10日前に、数十箱の荷物が入ったトラックを駐車させたまま行方不明になっている。
軒崗医院の親会社の関係者によると、爆発地点である車庫は現在使われておらず、鍵は副課長が管理していた。放置されていたダイナマイトは1トン以上に上るとみられている。
中国新聞社によると、11日19時の時点(日本時間20時)で死者数は31人に達しているが、依然として正確な負傷者数は判明していないという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060413-00000001-scn-cn