昇天式に他人の批判!?
カーター元大統領が、故マーチン・ルーサー・キング牧師の妻コレッタ・キングさんの葬儀で行ったブッシュ米大統領批判の発言が、依然尾を引いている。保守系メディアや支持者らは、葬儀の場をカーター氏らが政治利用してブッシュ批判を行なったと指摘。ブッシュ大統領の父親のブッシュ氏も、米CBSラジオとのインタビューで、ブッシュ大統領や夫人が臨席している中で、カーター氏がこうした発言をしたことについて「見苦しいと思う」と遺憾の意を表している。(ベリタ通信=エレナ吉村)
コレッタ・キング夫人は、1968年に公民権運動の指導者である黒人のキング牧師が暗殺された後、その遺志を受け継ぎ、運動を支えてきた人物。ことし1月に死亡し、今月7日、ジョージア州のバプテスト教会で葬儀が営まれ、現職を含む歴代大統領らが参列した。米国政治の中では、黒人は主として民主党支持派とされる。
追悼の言葉の中で、カーター氏は、昨年8月末に米南部を襲った超大型ハリケーン「カトリーナ」で、貧困層の黒人がブッシュ政権の初動対応の遅れで、被害を蒙ったことを批判。「平等の権利への闘いは、終わっていない。カトリーナで最も被害を受けたルイジアナ、アラバマ、ミシシッピ州の人々の顔の“色”を思い出す」と述べ、すべての米国人が平等の機会を享受していないと述べた。
また米国家安全保障局(NSA)による米市民に対する盗聴問題にも触れ、キング牧師夫妻も当時、米政府の秘密盗聴の対象になっていたことに言及した。
カーター氏のほかにも参列した牧師が、ブッシュ政権のイラク戦争を批判する一方、多くの人が健康保険もなく、戦争には巨額の金は注ぎ込まれるために、貧困層が放置されていると述べた。
会場には多くの黒人が参列していたが、多くが立ち上がって拍手を送ったといわれている。
こうした葬儀で飛び出したブッシュ批判発言に保守派のメディアが一斉に反発、「無作法だ」「不適切な発言だ」といった非難の声が上がっている。
共和党支持の保守系FOXテレビの看板キャスター、ビル・オライリー氏は「自分が死んだ時に、自分の死を政治的宣伝のために使われるのはお断りだ。まさにそのことが7日に起きた」と批判。
保守系の人気ラジオホストのラッシュ・リンボウ氏は、民主党は選挙で票を獲得する目的で、葬儀に押しかけたと指摘した。
また元米政府高官も、カーター氏のブッシュ批判は、「深く根を下ろした憎悪によるもの」と述べ、カーター氏は大統領在任中(1977-81年)、対イラン政策などで失敗していた人物だとこき下ろした。
保守系のブログ(電子日記)も、カーター氏のブッシュ批判は「米国の恥辱」などと述べている。
父親のブッシュ氏は、息子のブッシュ大統領夫妻が満座の席で、カーター氏らに“恥”をかかされたことに不快感を表明。「妻と一緒に座っていた大統領への政治的狙い撃ちは、好ましくない。まったく見苦しい」と述べるとともに、あのような葬儀の場で、合衆国大統領を批判するは慎むべきだ、との見解を示した。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1708855/detail?rd