中国のカニが、中国船のバラストから

ロンドン８日】中国原産のチュウゴクモクズガニが英国の主要な河川などを席巻する恐れー。英ニューカッスル大の研究者らは、このカニが爆発的に増加して他の水生生物の脅威となる可能性があると警告するとともに、手遅れにならないうちに全国的な監視・捕獲網を敷くよう勧告している。（写真は豪メルボルン・ポートフィリップ湾の海底で大繁殖したクモガニの群れ。２００５年５月撮影）

　このカニは船舶のバラスト水に紛れて英国に運び込まれ、現在はテムズ川などの主要な河川で生息しており、保護対象となっているザリガニなどを捕食。また、川の堤防に穴を開け、不安定化させるなどの害をもたらすという。

　ニューカッスル大の研究者らは、このカニの２０世紀における欧州大陸での広がりと、現在の英国内の状況を比較研究し、数年以内に英国の主な河口・入江で爆発的に増加する可能性があるとの結論に達した。研究者のマット・ベントリー氏は、１９７０年代以降の英国と、大繁殖を経験した欧州大陸やバルト地方とでは広がり方の傾向が酷似していると指摘。英国も似たような状況になる明らかな兆候だと述べている。〔ＡＦＰ＝時事〕