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(ほぼ週間)
【女子大学院生まやの中国社会ニュース】(号外)

~ 第15号 2006年1月26日 835部発行 ~

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☆初めて登録された方へ☆

はじめまして。ご登録いただきありがとうございます!
中国・北京に留学中の筆者がお届けする
【女子大学院生まやの中国社会ニュース】です。
日本メディアが伝えない中国の社会ニュースから三面記事、
そして「報道の自由がない」と囁かれる中国メディアが報道できないニュースまで、
筆者がアンテナを駆使してみなさまにお届けします!

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メール:zhen1009ai@gmail.com

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昨日「番外編」を出したところで大変恐縮なのですが、
今度は「号外」です。

読売新聞のWEBサイトが
「歴史教科書批判が原因か・・・中国人気紙が停刊処分」
というニュースを伝えました。
⇒ http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060125i316.htm  

停刊処分になった「中国青年報」の付属週刊誌:「氷点」は、
私にとって
中国の新聞メディアに対する見方を変えてくれた「新聞」でした。

ごくごく普通の人々の日常に起こる非日常にスポットを当てた同紙は、
まるで小説や物語を読んでいるかのような錯覚に陥るほどの文体で、
読み手の心を熱くさせ、読み終えたあともその「物語」の余韻にひたってしまう、
そんな「新聞でした」。

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☆ 消えた「氷点」 ☆
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私の毎週水曜日のお楽しみは、
党青年団機関紙:「中国青年報」の
付属週刊紙:「冰点週刊」を見ることです。

これは少しの誇張もなくそうです。

今朝(1/24)、
「さて今日の氷点はどんな物語が載っているのかな」と、
同紙のサイトを見ると、
どこをクリックしても「氷点」が見つかりません。

しかし、過去にも一日遅れで「氷点」が掲載されたことも
あったようなので、
深くは気にも留めていませんでした。

それでもやっぱり虫のしらせだったのか、
普段はあまりチェックしない「李大同」氏の
(「氷点」の創刊者であり看板編集者)
主催するブログを見てみました。

最新のエントリーは、
停刊処分を受ける原因にもなった11日付の
「現代化と歴史教科書」という記事についてのコメントでした。

うら覚えなのですがそこには、
同記事を出稿する際、
「中国青年報」の上から「まった!」がかかったこと、

李氏が、
中国で高視聴率を記録した
ある歴史ドラマを引き合いに出し、
「人気のある歴史ドラマの中でも、
伝えられている歴史を(ことごとく)
”アレンジ”しているから大丈夫だ」と、
(すみません、本当にうら覚えですが、こんなニュアンスでした)
説得、
なんとか掲載にこぎつけたという裏側が書かれていました。

読売の記事を読んですぐ
李大同氏のブログにアクセスすると!
過去のエントリーや
何から何まですべて消えて無くなっていました。

(アク禁よりたちが悪いのではないでしょうか)。

氷点を停刊処分にするなんて。

何もこんなに(号外を出すほど)ムキになることもないのですが、
第一報を目にして、
本気で寒気がしました。

「時代人物周報」という週刊誌が
(無期限)停刊(処分)になった時も、
発行元へ問い合わせの電話をかけるくらいムキになりましたが、

今回の「氷点」の停刊処分には、
しゃがみこんで「なぜなんだー」と
両手で地面を叩いてしまうほどのショックを受けました。


▼ 停刊処分になりそうな予兆がなかったわけでもない

05年、
いくつかの事件・災難が
「中国青年報」と「氷点」を襲っていました。

まずは04年3月31日の「氷点」に掲載された
「十年磨一案」という記事をめぐって、
同紙は名誉毀損で訴えられ、
一審、二審とも「敗訴」、
05年5月に謝罪声明を掲載しました。

この敗訴については、
同紙をはじめ
各方面からも疑問の声が出ていました。

そしてもうひとつ。
これは新聞業界内外へ
かなりの衝撃を与えました。

05年8月15日、
「氷点」編集長である李大同氏はネット上で、
「中国青年報」内部の
新たな審査・評議方法に対する「公開信」
(「信」は手紙の意味)
を発表しました。

(手紙の内容を大雑把にまとめると)
お上の気に入る記事を書いた者には
「奨金」が与えられる
というもので、
ニュースバリューの判断基準や、
記者の社会および権力の腐敗を監視する権利を
著しく損なうものだと反発、
こんなことがまかり通るなら
自らの手で創刊した「氷点」を去る、
というものでした。

その数日後、
今度は李氏に批判された相手が同じくネット上に反論文を掲載、
終いには
中国国内で言論・報道統制を一手に担っている
「中央宣伝部」まで(裏で)登場、
李大同氏の「公開信」を
ネット上から「封殺」したという出来事がありました。

結局、
中国国内で大きな波紋を呼んだ
「新審査・評議条例」は制定されることなく、
また、
辞職すると言っていた李氏も、
そのまま「氷点」へ残ることになったのでした。

読売新聞の記事は「氷点」を、
「斬新な切り口の記事を掲載する冰点週刊」
と称していますが、
もともとは
「普通の人が経験する普通でない出来事」
に注目し、
記事にしてきた、市民の目線で記事を書き続けた
付属週刊誌です。

創刊号で取り上げたのは
「北京に7つしか残っていない肥桶を背負い運ぶ人々」
でしたし、

つい最近では、
戸籍のない少年と検察官とのふれあいを取り上げた
「感情に訴える」記事を掲載していました。

確かにここ2,3年は、
「ほかの新聞社は取り上げることができないから」と、
「硬い」記事が掲載されることも増えてはきていたようですが。

前出の「時代人物周報」が休刊になった本当の原因は、
表向き言われているような「財政難」などではなく、
休刊前に発行した「10大公開信」だと私は思っています。

05年、
中国ではネット上で
「訴状」や「意見状」を公開する
という手法が流行しました。

これは、
新聞や雑誌には掲載できない「敏感な話題」でも、
ネットの掲示板を利用すれば、
瞬く間に転載され、
多くの人々の目につく

世論が動く

問題や決定事項が覆りやすい、
という中国の特色を十分に理解しての行動だと思います

そして
その「10大公開信」の中には、
当然のごとく、
李大同氏のそれも含まれていたのでした。

私は今年1月から、
「中国青年報」を定期購読し始めたばかりです。
それもこれも
毎週水曜日の「氷点」を収集しようと思っていたからです。

なんでもかんでも休刊してしまえばそれですむと、
(中央宣伝部は)まさか本気で思っているのでしょうか。

創刊から10年、
500万字以上の言葉で、
ごくごく普通の人々の喜びや悲しみ、
愛情や同情心、
裏切りや争いを綴ってきた「氷点」。

過去には、
ベストセラーや映画も誕生した「氷点」。

まさか停刊という日を迎えることになるとは、
夢にも思っていませんでしたし、
多くの中国の読者は
その事実をうまく理解することが
できないのではないでしょうか。

同時に、
「中国共産主義青年団の機関紙」という背景が
あるにもかかわらず
停刊処分になってしまう―

中国では
メディアに対する報道規制が、
これほどまでに厳しくなってきたのかと

気持ちが
目の前が
真っ暗になりました。

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<発行人について>

まや
2004年9月より北京に滞在。
現在中国ジャーナリズム教育の最高峰、
中国人民大学ジャーナリズム学科修士課程に在籍中。
大学卒業後、北京外国語大学に約半年間語学留学をしていた
2003年、SARSに見舞われ渋々日本へ一時帰国 →
結婚 → 中国政府奨学金生として大学院入学→
現在に至る。中華料理大好き。

反日デモに遭遇したり、交通事故に巻き込まれたりと色々あります(した)が、
それなりに楽しく過ごしています。

配信先変更、購読解除は以下のURLから行えます。
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HP:http://www.geocities.jp/kim71jp/  
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