政治家の北京詣(もうで) | 日本のお姉さん

政治家の北京詣(もうで)

中国主席 橋本会談など打診 「経済」悪影響回避狙う  【北京=伊藤正】日中関係筋が二十日語ったところによると、中国の胡錦濤国家主席が三月に訪中予定の日本国際貿易促進協会会長の橋本龍太郎元首相ら日中友好団体の代表らと会談する意思を固めた。受け入れ側の中日友好協会がこのほど日本側に伝達、日程調整を打診した。  胡主席が日本人と会談するのは、昨年九月末、日本経団連の奥田碩会長らと秘密会談して以来。日中の政治関係が停滞する中で、日本の民間団体との交流を拡大、経済関係などへの悪影響を食い止める狙いとみられている。  胡主席が会談を予定している団体は、日本国貿促のほか、日中友好協会(平山郁夫会長)、日中協会(野田毅会長)、日中友好議員連盟(高村正彦会長)など。胡主席は三月二十日前後に各団体幹部とまとめて会談する予定で、各団体にはそれ以前の訪中が要請されている。  中国は今年から始まる新五カ年計画で、環境対策や省エネを重視、この面での最先進国である日本との協力関係を拡大する方針だが、小泉純一郎首相の靖国神社参拝などへの反発から、政治関係は「厳冬期」(新華社電)に入り、経済関係などにも影響し始めている。  昨年の日中貿易は、一、二位の米国、欧州連合(EU)との差を広げられ、中国への観光客数でも長年の首位の座を、韓国に奪われた。反日デモや抗日戦勝利キャンペーンなど、中国国内の反日機運に反発、日本側の中国警戒論も高まる傾向にある。  日中関係筋によると、胡錦濤政権は、「ポスト小泉」も政治関係の改善は難しいと分析、民間との交流を強めることで、日本国内の空気を変えて、実務関係への影響を食い止めたい考えという。  胡主席は民間団体代表との会談で、昨年四月の首脳会談(ジャカルタ)で表明した「五項目の主張」に沿って対日関係促進を訴えるとみられ、局面打開の新たな機会になるかは疑問視されている。      

◇  ■橋本氏、3月は否定 親中派「北京詣で」加速?  橋本龍太郎元首相(日本国際貿易促進協会会長)や、野田毅元自治相(日中協会会長)ら日中友好団体幹部を務める自民党議員らによる三月の訪中計画について、橋本氏サイドは二十日、産経新聞の取材に対して、同時期の訪中を否定した。野田氏の事務所も、「訪中の計画はあるが、中国側から正式な要請はない」と、現段階で日程は固まっていないとの立場を示した。しかし、中国側から与野党議員に対する「招待攻勢」は激しく、日本の議員の“北京詣で”が今後、活発化する可能性もある。  小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由として、中国は平成十三年十月の首相訪中以後、両国首脳の相互訪問を拒絶しているが、中国側の招きで訪中する与野党の有力議員は後を絶たない。昨年春以降も、自民党の武部勤幹事長や橋本元首相、加藤紘一元幹事長、高村正彦元外相、公明党の冬柴鉄三幹事長、民主党の前原誠司代表らがそれぞれ北京を訪れた。  背景には中国側の強いアプローチがあり、現職閣僚の一人は「小泉政権を揺さぶろうとする中国側の意図がみえみえだ」と言い切る。  小泉首相は「一つの意見対立で首脳会談を拒むのは理解できない」として、靖国問題を理由に日本側との首脳外交を拒む中国側の姿勢を何度も批判しており、中国側は小泉首相を牽制(けんせい)すべく、靖国問題をめぐる首相の立場に否定的な自民、民主両党の有力議員を取り込んでいこうという構図がある。  それに乗るかのように、自民党内では山崎拓、加藤両氏をはじめ、九月の総裁選で靖国参拝問題を含む対アジア外交を意図的に争点に据えようとする勢力がある。  これに対し、首相周辺は「靖国問題を争点化するというのは、中国の言うことを聞けということか」と反発しているが、靖国参拝反対派を中心とする親中派議員が「ポスト小泉」をめぐる思惑もからんで、対中接近を今後、一層強めていく展開は否定できない。  靖国問題で、首相の立場を支持する自民党関係者は、「議員の北京詣でが加速すれば、日本の次期首相選びに干渉しようとする中国に呼応することにつながる」と、警戒感を強めている。 (産経新聞) - 1月21日2時15分更新