憧れの魔法使い

子供の頃なりたかったもの、それは魔法使い。
大人になった今でも憧れる。
特に憧れたのは、ホウキで空を飛ぶ事。
スピッツの歌ではないが、(いつか飛べるはず!)と自宅にあるホウキにまたがり何度も練習をした。
家のプラスチックのホウキでは飛ぶ事が出来ないのかも知れないと、藁のホウキが欲しくて堪らなかった。
メリー・ポピンズを観ては傘をさして屋根から何度も飛び降りた。
友達と[少し浮いたね!]と喜んだ。
魔法使いではないが、ドラえもんを観ては机の引き出しの中に足を突っ込んだ。
鏡の中には別の世界があると信じていて、鏡と持ち手のプラスチック部分の隙間を一生懸命覗いては、(どうしたらこの中に入れるんだろう)と考えていた。
不思議だが、1度だけ違う世界が一瞬見えた事がある。
子供の頃の脳内の空想上の映像だと思うが、草原の中にブランコが見えた。
その当時のわたしはもう一度見たくて、何度も何度も試みたが、2度と見る事は出来なかった。

高校生になっても憧れは続いた。
わたしはMR.マリックの大ファンとなり、ファンクラブに入った。(因みにムツゴロウのファンクラブにも入っていた)
超魔術倶楽部という怪しげなそのファンクラブは、世界中の不思議な話や、マリックグッズなども販売しており、わたしはMR.マリックのロゴ入りのウエストポーチを購入した。
学校に持参し友人に見せびらかしたのだが、誰1人羡ましがる者はいなかった。
同じようなオタク系の友人と、図書館で怪しい本を見つけては盛り上がった。
魔術の本の中で、空を飛ぶ方法として、トカゲ100匹、ムカデ200匹等、到底不可能な材料が多数記載されており、[ホントにこの通りにしたら飛べるのかな?オタク少女とかやりそうだね!]と自分たちの事を棚にあげて喜んでいた。
超魔術倶楽部は、ほんの数年で[解散します]と通知が届いた。

大人になった今でも興味津々な事が沢山ある。
ハーブの起源は魔女の薬草から、という話を聞き、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンという人物に憧れた。
ドイツの修道女で、神の声を聴き予言をしたり、薬草なども作り、作曲もした女性である。
ヒルデガルトのCDを集め、書籍も読んだ。
以前から修道女に憧れを持っていたが、一時本当に修道女になりたい、毎日祈りながらクッキーを作り、生きていきたい、と真剣に思い、修道女の事を調べた。
ユニバーサルスタジオのホグズミード村にも行きたくて仕方がない。
ハリー・ポッターの、あの魔法の杖を購入する場面をやってみたくて堪らない。
余談だが、ハリー・ポッターは第1作目が1番好きだ。
監督が変わってからは戦いのシーンが多くなり、あまり好きではない。
また、通販でお馴染みのフェリシモでは、最近[魔法部]というものがある。
[猫部]は昔から大ファンだが、こちらもちょっと怪しげなグッズか販売されており、心踊るのである。

現在、少しだけ魔法使いに近づいた事がある。
それは[スマートキー]である。
昨年から初めてスマートキーの車に乗る事になり、指でドアが開いた瞬間は、(おぉぅっ!!)と、とても感動した!
まるで自分の指が魔法を使えているような気持ちになった。
ある日ボーッとしていて自宅玄関のドアを指で押していた。
ドアは開かない。
魔法使いへの道は、まだまだ険しい。