午後から父のところへ面会に行こうと家を出るには出たのだが、
急におなかの調子が悪くなり家に引き返す。
脂汗にじませながら運転しなくてもね、またお天気が回復してからね。
父は昨年の6月から特別養護老人ホームに入所させてもらっている。
眺めの良い高台にあるまだ新しい建物で、穏やかなスタッフの皆さんにお世話してもらいながらのんびりと暮らしている。
それまでの怒涛の期間を思うとなんて有難いんでしょう!
父は施設に入る前の1年半はほぼ病院。
退院してもまたすぐに入院を繰り返し、母が急逝したときも入院中で葬儀にも参列できなかった。
二人とも高齢になってくるとこんなケースもありえるんだな。
父は時々おもしろい話をする。
いつもはしっかりしていて身内も一人ひとりちゃんと分かるし、スタッフさんもそれぞれ区別がつく。
お相撲さんの名前だって覚えている。
先日など下剤を飲んだら夜中にたくさん出たらしく、夜勤の方がオムツだけじゃなく着ていた服からシーツまで全部取り替えることになり申し訳なかったと報告してくれるくらいの脳みその状態だ。
でも、時々不思議な話もする。
病院に入院しているときは、
空間を指差し「あの穴をふさげ、ネズミみたいなものが下りてきて手を引っ掻く」と。
エアコンの吹き出し口のことではないらしく、手の甲にも傷がある。
「はいはい、私が念を送って守ってあげるから!」と言うと、可笑しそうに少し笑って納得していた。いやいや、可笑しいのはあなたでしょ!😅
先日は、母は宇宙に帰ったと言う。
まずはいったんは月に行くそうで、月には月局というのがあるから弟に電話をかけてもらったと。(そう言えばしばらくは母は月の砂になったと言っていた。)
でも、一年ぐらい経つともう連絡はとれなくなる。もう消滅した、宇宙に帰ったと話す。
あとは、母が宇宙に飛び出したときの話とか、弟が宝石のついた立派な帽子をもらい、その帽子は実家の冷蔵庫に大事にしまってある話とか。
初めの頃は、わけの分からない話に慄いたけど、
今は父の話を「へ~そうだったの!それで?それで?」と楽しみながら聴いている。
どころか、また面白い話が飛び出さないかなあと待っているくらいだ。
幼い頃に弟たちとお話をせがむと、
「お父さんが駅から峠の夜道を帰っているとね、腰に下げた手ぬぐいを引っ張るやつがいるんだよ。」と話し始めてくれていたなあ。
厳しくまじめで無骨な父だと思っていたけど、
ファンタジーを愛する部分も持ち続けていた人だったのかもしれないな。
