構造探偵 第9話 「ハッカーが司令官」

神田の事務所

キッチンカーチームとバイク追跡チームがそれぞれ出動したが、ここ事務所に残った山根と北岡の即席司令室も活動を開始していた。


北岡「ねえ、山根さんって情報収集と分析でターゲットを追い詰めていく マングースってホントなの?」

山根「ええ?そうだなあ、そんなふうに呼ばれてるらしいけど自分では…どうかなあ。」

北岡「ふーーん。」

山根「ふーーん、ってなんだよ。」

北岡「じゃあさあ、この事務所に来てどれくらい?」 
 
山根「そうだな、ちょうど1カ月くらいかな」

北岡「で? 何か掴んだ?」

山根「掴んだ、って、それはこれからで、」

北岡「そうじゃなくて、ちょっとこっち来て」 

山根「…」

北は岡山根をキッチンの奥にある狭い収納部屋に連れて行きドアを閉めた。

山根「な、なにする気だ!!」

北岡「しっ!黙って」

「ここ、盗聴されてる。」

山根「まさか、そんなこと。   あるのか?」

北岡「ああ あるよ。 
       Wi-Fi工事どこに頼んだ?」

山根「お向かいの電気設備屋。オヤジさんがいい方でご近所のよしみでたった5,000円で配線工事してくれた。え?まさかそんな、あのおじさんが?そんな悪い人じゃないよ。えっと、多分」

北岡「おいおいマジかよ山根っち。
  おじさんはいい人ってなんでわかるんだ」

山根「それにおじさんは工事自体はやってないから」

北岡「それだよ、工事やったの息子だろ。ちょっと根暗な感じの奴」

山根「あ〜、えっと、そうだな。多分そうだ」

北岡「勘弁してくれよおっさん。」

山根「お、おっさんはないだろ、おっさんは!」

北岡「ちょっと黙って聞けよおっさん!」

山根「は  い」

山根を黙らせてから北岡は小さな声で説明し始めた。
「俺は毎度の癖で、ここに来てすぐにノートPCで周辺電磁波を測定していたのだが、すぐにWi-Fiに盗聴器が仕掛けられていることがわかった。

そのことはまだよく知らないがリーダーっぽい高浜さんにメモで伝えた。あの人は危機管理のプロだな。平然としてた。あれは知ってるよ、って顔だ。

その後佐藤真由子ってオバハンが入ってきて俺の隣に座った。ペラペラ喋りながらも俺のPCの画面を一瞬見たあと、俺の目を見てウインクしやがった。ちょっと色っぽくてドキッとしたが、ああ、このオバハンもここに呼ばれる何かを持ってる人なんだなって思ったよ。

高浜さんと同じで平然としてた。いや、オバハンは来たばかりでそれを知ってあの態度。高浜さんより肝が据わってる、この人やばいと感じたよ。まさか、女スナイパーじゃないよな。ありゃ只者じゃないぞ。俺の経験上危険を感じる女だ。」

山根「わかった。で、その目的は」

北岡「まだ話は終わってねえ!
いいか、俺はトイレの窓から向かいを見てやろうと静かに窓を開けて見ようとしたら、ニヤついてこっちを見てやがった。目が合ったんだ。ゾワっとしたよ。昔俺が付き合ってた悪い連中と同じ目だ。どこか裏の組織に繋がってる」






山根「でもあの電気設備屋はここで10年近くやってるし、俺たちがここを借りるのをなんで知ってるんだ。真正面のこの事務所を!奇跡でも起きない限り無理だろ」

北岡「そうだなあ。奇跡、奇跡じゃなくて必然だろ。」

山根「どういう意味だ」

山根は少し震え出した。

北岡「聞きたくないよなあ、こんなこと。


ここ借りたのはだあれ?そいつと繋がってる」


山根は言葉を失った。
(まさかそんな、、真行寺顧問が、監視するためあの息子を雇い、目の前の雑居ビルの事務所をわざわざ空室にさせておいたって事かよ。スパイ映画じゃあるまいし、そんなことが…)

北岡「そんなことが平気で起きるのが今の世の中の構造。そんなの山根っちの方が詳しいだろうよ。とにかく、俺たちは監視されてる。でもその監視が、敵の監視か味方の管理かはまだわからない。

俺はそんなのどっちでもいい。俺はここにハッカーとして呼ばれたのだからその仕事をするだけだ。」

山根「北岡、君はPCスキルのみならず、洞察もすごいな。肝も座ってる。 
わかった。俺もスイッチ入れるわ。」

北岡「まだスイッチ入れてなかったのかよ!」

山根「わりーわりー、根がのんびり屋なもんで」

  とにかく、俺たちは盗聴を知った上で、作戦を敢行するってことだ。」

北岡「わかってんじゃん。山根っち」

山根「その山根っち ってやめてよ」

北岡「いいじゃん山根っち!」

二人はケラケラ笑って、収納部屋からでて仕事に戻った。
玉井の居場所を特定する仕事だ。

山根はバイクチームをGPSで追い、北岡はその周辺の監視カメラやNシステムに入り込んで玉井のログを探す。

北岡「見つけた!隅田川沿いの雑居ビル」

山根は直ちに高浜に電話した

そのすぐあと

北岡「違うな、これダミー電波だ。まあ乗っかっとくか」

山根「なんか言ったか?」

北岡
  (今ダミーって教えたら、山根は高浜に衝動的に喋るだろう。盗聴されてるから向こうが作戦を変えてくる特定厄介だ。黙っておこう)

「なんでもない!」

北岡(さてと、禁じ手の公安でも入るか。
高浜さんのバックに藪田さんっているようだから、叱られてもゲンコツくらいで済むだろう。)

北岡「見つけた!玉井の居場所、今すぐスマホに送る。山根っち、高浜さんに連絡して。
送信完了!」

山根「流石だな北岡秀、いや凄腕ハッカー」

北岡「やめてよ、秀でいいよ!」

二人は足早にあの収納部屋に入り

ハイタッチして達成感を共有した

「いやっほーーーい!!!!」



構造探偵情報チームの誕生した瞬間だった。