映画の『アマデウス』を見るまでは、モーツアルトは音楽室の肖像画が飾ってあって、その絵から感じたイメージは偉大なる品行方正な作曲家。
子供偉人伝説シリーズでも、父親がモ-ツアルトが幼少の頃から音楽の英才教育したとか、3歳の頃には姉よりピアノを上手に弾いたとか、5歳の頃には 作曲をしたとか、6歳の頃には神童の演奏を披露して、マリー・アントワネットにプロポーズしたとか、素晴らしい逸話ばかりが書いてあった。

そのイメージのまま、映画を見たので衝撃で椅子からずり落ちそうになった。
まさに、の・だ・め
自由奔放で女好き・浪費家・下ネタ好きで、特にウンコとオナラの話が大好きなのに人々が魅了される。


サリエリが、モーツアルトに嫉妬するのは当然だよ

誠実に音楽に向き合った聖人君子で神を崇めて仕えてきたのに、神に愛されたのは下品で傲慢なモーツアルトだったからね。

モーツアルトに激しい嫉妬から彼を破滅させた。

サリエリは、”神は私になにも罰を与えなかった”と言っていたけど、じわじわと一番残酷な罰が彼に与えられていた。

モーツアルトの死後、彼の音楽の賞賛と名声が上がっていくのに、自身は緩やかに人々の記憶から忘却されていき死んでい。

サリエリへの神からの罰が忘却だった。

それに気づいたときに、彼の精神は崩壊してしまったのかもしれない。

映画は、ロココの時代の贅沢なセットにモ-ツアルトが飛び回るから、モーツアルトVSサリエリの対立の構図がメインで物語が進んでいたけど、舞台はモーツアルトはあくまでも脇役で、サリエルVS神の対立が鮮明に浮き出ていた。


でも実在したサリエリは、本当に映画のような人物だったのかな?

サリエリは弟子の援助や貧しい作曲家に手を差し伸べた評判がいい作曲家だったけど、映画や舞台のサリエリのようなスキャンダルは、彼がドイツ人でもないのに宮廷楽長を長年勤めたから、仲間内の嫉妬からでたという見方もある。精神科の病院には実際に入院もしていなかった。

モーツアルトを毒殺したという証拠は、なにひとつない。


この映画でサリエリの歴史に埋もれた名前が現代によみがえった。
映画のサリエリは本当の彼だったのか?それとも風評被害にあった哀れな作曲家だったのかな?
どちらにしても、彼の名前が世界に知れ渡ったのは、彼の音楽ではなくスキャンダル

彼は喜んでるのかな? それとも不名誉だと嘆いているのかな?