- KYOKO (集英社文庫)/村上 龍
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小さなころにアメリカから日本に来ていたキューバ系アメリカ人のホセにダンスをおしえてもらったKYOKO。
そのダンスが彼女にとっては生きる上でとても大切なものに…
サンキュー!それを一言伝えるため、アメリカでホセの行方を捜すKYOKO。
そんなKYOKOに魅かれて協力する人々。現在のホセ。
アメリカ社会の影を映す、ほこりっぽくて雑音が鳴りやまない作品。
それをキューバの陽気で明るいダンス、KYOKOの清潔な魅力がそっと緩和させている。
想像力を最大化して読んだ一冊。
KYOKOはどんな笑顔で人々を惹き付けるの?
人々がため息をつくような彼女のダンスはどんなもの?
映像にはない、文章だからこそ、かきたてられる想像。
想像の笑顔。想像のダンス。
読みながら、ページの上で足の長い女の子がふわふわと踊っている。
ため息が出るダンスなんて見たことないし、想像もつかない。
でも村上さんの文章を読むと、勝手にKYOKOが踊りだすの。
それくらい、深く丁寧に描きだされている。
この人の文章は文章で終わらない。
行間になにかあるの。行間に答えが、情景がある。
それを想像しながら、読めるのがいい。
「ホセはわたしを助けてくれて、救ってくれたの、ただダンスを教えてくれただけなんだからオーバーに聞こえるかもしれないんだけどね、わたしにとって一番大切なものは何かって教えてくれたんだから、そうでしょ?どんなことがあってもこれがあれば生きていけるってものをおしえてくれたんだから。」
「プイグの小説が本になって残るように、ダンスが彼女のからだに残るんだ。小説はしょせん紙じゃないか、紙ってのは虫に食われちゃうもんだぜ、セルヒオ、僕の場合はあんなにきれいな女の子のからだに残るんだ、どうだい、うらやましいと思わないか。」
これがあれば生きていけるってもの、21歳のわたしにはまだ見つからない。
小さな頃から何かに執着するのが怖かった。一番好きを決めるのが嫌いだった。
執着しない。
言葉にしたらかっこいいかもしれない。
でも所詮は、叶わなかったときにつらい思いをしないための保険だ。
プライドや見栄が邪魔して見えないだけなんじゃないの?自分に問いかけてみる。
答えをまっすぐに見ようとしないずるい自分。
KYOKOのように手放しで、大切にできるもの、そのためには危険だってかえりみないような
何かをいつか手に入れたい。
読後に想ったことでした(´▽`)
