ホントはね、ここ数日前兆はあったの。


でも、
【ダイジョブ】って、オマジナイの言葉を呟いて

怖い夢をみそうな時は
眠らないようにして

それなのに、今日は小さな頃のアタシが消えなくて


あの頃のあいつの声や息遣いがまとわり付く。


あの頃と同じ季節。


夏は嫌い。


小さなアタシは虐待を躾だと思ってた。


ちょっと違うかな。

そう思いたかった。


でもね、

母親の再婚相手からの悪戯は

確実に小さなアタシの心を殺してた。


何気なく開けた窓の外には
中学生くらいの女の子達の楽しげな声。

あの頃の感情が蘇る。


ねぇ。

虐待なんて忘れちゃいな
なんて言わないで。


あの日々を生き抜くのは苦しかった。


虐待されて死んでしまった子よりも生きてる方が幸せなんて簡単に言わないで。

消したくても消えない過去に苦しめられながら生きるのも辛いのに。


レ イ プされた相手を
『お父さん』て呼べないアタシを殴る母親。


殴られて動けないアタシに唾を吐きつける妹。


一気に過去の記憶が蘇る。

苦しくて、苦しくて……


だから夏は嫌い。