「ママはテンパリスト」の東村アキ子さんの、
美大受験~美大時代~漫画家になった現代を描いた
自伝的作品。




。。。実は私も高校2年の夏に美大を目指して、
美大受験コースのある塾に通っていたので、
ひしひしと感じるものがありました。





初めて教室に入った日に、
いきなり石像やらリンゴ、ビン、水槽なんかを目の前に持ってこられて。
んで何も教えてもらわないまま、墨で紙にデッサンしろと。
時間は五時間です、とか。


ふっつーの高校生していた自分には色々ショックだった。


一つのモチーフを20人くらいが丸く囲んで座って、
???なまま一生懸命描く。
すり鉢状態になって描くから、
モチーフに一番近い子たちなんて、高さ三センチ位の椅子?に座って、体育座りみたいまま描く。



時間はどんどん過ぎていくけど、
形は全然取れなくて、焦って口の中がカラカラになる。
シーンとした空間と、プレッシャーに耐えきれず泣き出す子もいて。
というか、私も泣き出したかった。。。



もちろん、
モクモクと目的に向かって描く子もいる。
今思い返すと、そう見えただけかもしれないけど。



んで、1ヶ月とか、2ヶ月たつと、


「私、美大じゃなくて、専門学校にしようかなぁ。。。」
とか言い出す子も出てくる。


専門学校なら美大よりはるかにはるかに簡単だし、
もしかしたら実技もないかもしれない。



「かくかくしかじか」にも書いてあったけど、
本当にあの塾にいた子達で、
本気で絵が描きたい!美大行きたい!
ましてや画家になりたい!
なんて子、何人いただろう。

もちろん中にはちゃんと美大にちゃんと入った子、いたけど。


そんな子を除いた多くの生徒たちは、
なんとな~く、
自分はオシャレ、個性的、イラストや映画好きだし、美大って響きかっこいいし、
そいでもって、
他人にはわからない何かが自分にはある!!
って思っている集団だったように思う。
もちろん私もですよ!!



そいで、まぁ塾でもいってみる?みたいな感じで高い費用を払ってもらって。


いざ通ってみると、
むちゃくちゃデッサンで努力して、
2年生?間に合うかな、ギリギリだな、1年浪人するつもりある?とか聞かれて。


根性や忍耐が必要で、
デザインとか色彩になると、勉強みたいに明確な答えが出ないセンスや感覚で戦わないといけない。



夏が終わり、秋になる頃には大量の脱落者が出ました。
私もその中の一人です。。。


塾をやめるときに、
仲良くなった子とイラストや雑誌の写真をコラージュした連絡先の紙を交換して。


そうだな、
多分雑誌のコラージュとか、ちょっと可愛くイラストが描ける、
それ程度の好きとか得意、だったんだな~って思った。
皆シュンとしてた。プライドが傷ついたことはお互い触れずに。



挫折と言うほど何も努力してないけど、
あ、私自分を勘違いしてたのね、と。
あ、思ったほど個性的な人間ではなかったのね、と。


しかし、
私はその後も自己評価だけ異様に高いため、何度も何度も失敗ばかりしましたが。。(+_+)あぁ、恥ずかしい。。迷惑をかけた皆さんごめんなさい。。




でも、塾では刺激的なことたくさんありました。
16歳とかだし、見るもの全てが新鮮で。


油絵の具の匂いのする中パンかじったり、
キャンバスの入った鞄を抱えて歩く自分に、優越感を感じたり、「私、素敵」と自己満足に浸ったり。


ヌードデッサンのお姉さんを見てうっとりして。
お姉さんが凛としてるから、
プロなんだわぁ。。。と思って見ていたら、
休憩になると、ガバッとガウンを這おって隅っこでうつむいてガタガタ震えてたり。生々しい。


あと夏休みに指導に来る卒業生(東京の美大生)がすごい個性的だったり。

六浪中なんです~ってお兄さんがいたり。
(美大は二浪、三浪は普通ですが)


懐かしいなぁ。


思い出との相乗効果で、
心がヒリヒリする作品でした。


「東京タラレバ娘」は違った意味でヒリヒリしますが。。。(+_+)