
とうとうランギタタ最終日。
昨日は増水で中止になったけど、今日はギリギリの水量でなんとか下れた\(◎o◎)/!
午前のトリップで、合計3艇。僕はマーズっていうアマゾネスって感じの凄い強そうな女性ガイドの横のり。
初めての水量で超緊張した。晴れた日は真夏のように熱いのに今日は雨上がりで手がかじかむ寒さやった(+_+)。
落ちるの絶対いややなぁ……。
でも後の二艇はスティーブとチャンクっていう。いつもトリップリーダーを務めるような上手いガイドやからもしひっくり返るとしたら、僕らの船のような気がした(汗)。
こないだダンが言ってた。去年ストップギリギリ多めの水量で下って。10艇中5艇が最初のグレード5の瀬、ウイスターテールでフリップして。瀬が終わった後、全員は救出できず、女性一人が次のグレード5の瀬(ピンチ)まで流されたらしい。トリップリーダーのスティーブが追いかけて瀬の途中でなんとか拾ったけど、操船してないステーブの船もピンチでひっくり返って、結局その女性は瀬を全部流されたらしい。
ピンチはフォール(落ち込み)を何か所か通るから、きっと洗濯機のように何度か水中でグルグル回されながら下っていったんやと思う。
結局その女性は瀬が終わってから救出されたけど前歯がおれてめっちゃ泣いてたらしい。ベースに帰ってからも「痛い痛いニュージーランド大嫌い!!」
て何度も言ってたらしい。
だからか、グレード5に入る前にスティーブが念入りにみんなに説明していた。案の定、各ボート1人か2人はグレード5の瀬を下らずにポテージ(歩いて)降りて行った。
最初のグレード5(ウィスターテール)はいつもにもまして凄い大波になっていた。
でもなんとか全員無事に下れた(ホッ!)
次のグレード5の瀬(ピンチ)は、いちばん難しいアーリンフォールが岩の上からじゃどうなってるかわからないくらいあわあわで凄そうだった。
そして僕らの船は案の定フリップ。
凄い水圧でロープから指が外れそうになったけど、意地でも離さないでいようと思い、なんとかひっくり返ったボートによじ登れた。
マーズとほぼ同時だった。でもボートはひっくり返ったまま次のフォールに落ちて、僕はずり落ちそうになったけどなんとか耐えた。でもマーズは一度落ちてまた這い上がってきた。
フリップリカバリー(ボートを元に戻す作業)は僕がやって、自分の船のお客さんも、4人中2人は僕が救出してもう一人はマーズが拾った。あとの一人はチャンクが拾ってくれたので無事に全員の救出作業は終わった。でも木のパドルは1本折れていた。
ボートのロープをつかんだ僕の中指は少し腫れてジンジンしていた。
僕にとって増水保津川のフリップリカバリーはそんなにしんどくはない。増水小歩危の曲がり戸フリップリカバリーは結構しんどい。でも増水ランギタタのフリップリカバリーは超しんどかった。
フリップするまでは、あんなに寒かったのに、フリップした後は体がほってっていた。
帰ってからステーブにアセスメントできなくてごめんねって言われた。
毎日必死で覚えたセーフティートークは、結局最後まで実践できなかったけど、僕は満足して終わった。
なんてったってストップレベルの増水を経験できたし、フリップリカバリーも経験できた。ギリギリやけど、この川のこの水量でも自分自身で対処できそうやと自信になったのが大きかった。
ただやっぱり、スティーブが言ってたようにお客さんとのコミュニケーションは確実に取れるようにしないと辛いと思った。
今回フリップしたあとのエディーでステーブが、あと一人のお客さんが無事かどうかの確認をするため岩に登った時、スティーブのボートが少し流れてそのボートはマーズが乗り込んだ。ステーブが僕に「こっち来て」のサインを出したが自分一人の力じゃ漕げなくて、お客さんに漕いでもらうように指示を出すが、疲れてしゃがみこんだまま全然動こうとしてくれない。日本なら「パドル持って急いで漕ぐ準備!! 急いで急いで!!」怒鳴りながら言えばなんとか動いてくれるはず。でも「フォワード!! フォワード!!」って大きい声で叫んでもぜんぜん動いてくれない(泣)。スティーブがシビレを切らし、「早く!! 早く!!」って日本語で言ってきた。結局少し離れていたマーズの船の方が先にスティーブを迎えに行った。お客さんとのコミュニケーションは激しい川では特に重要なんだということを思い知らされた。
でもここに来て、僕の操船レベルとレスキューレベルは確実にあがったと自覚してるし、もし日本で外人さんが来ても英語でセーフティートークもできるし、下るためのコマンドも言えるようになった。自分ではかなり進歩したとびっくりしてるくらい。
だけどこの川でガイドをするための言葉の壁はまだまだほど遠い。次くるまでにはもう少し英語が話せるように頑張りたい。それにみんなともっと英語でコミュニケーションとれるようになりたいと思う。みんながいつも何を話しているか気になるし、やっぱ寂しいし…。
車は小屋の倉庫にほりこんで、僕はランギタタラフツの送迎バスでクライストチャーチへ。なんかすごく寂しい気持ちになりうるうるしてきた。
バスに乗ると上からの目線で景色が見られるため、いつもより景色が綺麗に見えた。羊たちに「またくるよ」って心の中で手を振った。

