妊娠がわかった。
7年間の空白を一瞬で塗り替える出来事。
ずっと望んでいたはずの奇跡。
——なのに、私の心はどこか沈んでいた。
「よかったね」「おめでとう」——
その言葉を受け取るたび、心がぎこちなく固まる。
祝福される出来事と頭では分かっている。
でも、胸に湧き上がるのは、不安と戸惑い。
母になるという役割に、自分が飲み込まれていく怖さ。
私は本当に望んでいたのか。
それとも「そうするのが正しい」と思い込んでいただけなのか。
心は揺れ続けた。
妊娠検査薬の線を見つめたあの日。
やっと手放せたはずのプレッシャーが、
今度は私自身の内側から重圧となって現れる。
未熟な私に、人を育てられるのか。
圧倒的な愛を注げる自信なんて、どこにもなかった。
「おめでとう」「よかったね」という言葉が、重たく響いた。
期待と責任。
「やっぱりできません」とは、もう言えない。
自分の本音とのズレが、心の中でどんどん広がっていく。
嬉しさと、逃げ出したい気持ち。
その矛盾も、本当は「自分を守るため」の心の反応だったのかもしれない。
人は変化の前に戸惑うもの。
それは弱さじゃなく、新しい自分を受け入れるための通過儀礼。
準備ができていない私の心は、自然とブレーキをかける。
私の中に生まれた「覚悟」と「重圧」。
どちらも、すぐには手に取れない。
小さな命も私の身体も、少しずつ変化していく。
静かな不安と、小さな希望が交互にやってくる。
「不安や矛盾を抱える自分」を、どこかダメだと思っていた。
でも——
何もないまま歩き出すことも、
ひとつの始まりだったと今なら思える。