本当に必要なもの

妊娠して6週目。
身体の異変に気付いたのは、
何と2週目くらい。
先生はすごく敏感な人は受精した時に気付くんだよね、
と言っていたけど、私はその一人だったようなのだ。
病院に初めて行ったのは4週目だったけれど、
まだ超音波には何も写らず、先生にも
「こんなに早く来る人いないからねぇ」と
また一週間後にくるように言われた。
誰に言ってもビックリされるけれど、
私は2週目頃から既に吐き気があり、日を追うごとに
それは強くなり、嗅覚が異常な程鋭くなってきた。
ありとあらゆる「生活の空気」が息苦しい。
朝家を出る時の空気も、エレベーターの空気も、
外に出た時の排気ガスの空気も、
道路もバスの中も地下鉄に入る時も電車の中も、
タクシーの中も会社の中も、家の車でさえも、
いろんなお店の空気はもちろん、
そして何よりもすれ違う色んな人々の匂いや臭い。
街を歩くという行為が、もう苦痛なのだ。
自分が26年間、「東京」という街の中で生きてきたことが
今となっては信じられない。
森の中に住みたいと真剣に考えてしまう。
美味しい空気だけを身体中にめいっぱい吸い込んで、
余計な空気や物や人や事柄から一切離れて、
必要なものだけを得て、精神力と身体能力だけを高めて、
静かに穏やかにひっそりと暮らしたい。
食べ物に関しても変わった。
お肉や油もの、乳製品や甘いものまで欲しなくなった。
毎日飲んでいた大好きなアルコール類も、
今は2m離れたところにワインの入ったグラスが
おいてあるだけでも、嫌気がさしてくる。
同じように毎日のように飲んでいたカフェラテもダメだ。
妊婦には良くないとされているカフェインの入った飲み物、
ウーロン茶や紅茶や緑茶も、私の場合は自然と飲めなくなった。
音楽に関しても、テレビやラジオから流れてくる音が不快で、
ヒーリングミュージックかクラシックを聞いていたい気分。
食べるものも飲むものも最小限に絞られ、
寝ても覚めても、食べても食べなくても
酷い二日酔いの状態。
外に出ればほんの少し歩くだけで息苦しくなり、
仕事は終った途端に異常な疲労感。
もういやだ・・・!
と精神状態まで悪くなる。
でも改めて考えた。
私が今不要としているものは、きっと
生きていく上で本当に不要なものなのかもしれない。
そして今欲している食べ物や場所や音楽や人こそ、
生きて行く上で私にとって本当に必要なものなんじゃないかと。
こんなにも人や物や情報、あらゆるものに溢れた街で、
自分の居場所や生き方、「自分」というものを探し求めている
人たちがいっぱいいる。
生きるために街中を駆け回る人がたくさんいる。
何となく、生きている人がたくさんいる。
夢を追いかけ、必死な人たちがいっぱいいる。
私もそれらの一人かもしれない。
でも、本当に本当に自分が求めているものは、
自分が本当に本当に必要としているものは、
ほんの少ししかないのかもしれない。
逆に言えば、生きてく上で必要なものなんて、
ほとんどないのかもしれない。
ハッピーニンプ♪になるには未だ早い。
こんなに辛い時間があるとは思ってもみなかったけど、
つわりからこうして学ぶことがあるとも思ってもみなかった。
だからこそ、今は自分が本当に求めている心の声に耳を傾け、
お腹にいるみんなの小さな命を想って、
逞しくなっていかなければ。
2008年11月5日 10:37