基本的にはめんどくさい客はいません。

でも、最強にめんどくさいのが2人だけいました。

試食魔もいるけど、そんなもんは比にならん。


それは、経験者のおばさん。

年長者のアドバイスには耳を傾けるほうですが、

この2人に関してはめんどくさいこときわまりなし。


一人は、現在もフリーで仕事をしているというベテランおばさん。


自分の経験談を長々と話し、

ごみの分別に対して延々と語りだす…

つまようじと容器をお客さんに別々のところに捨てさせろ、と言い出し、

ようやくいなくなったかと思ったら、

「パン屋で袋もらってきたから!!」

と、「つまようじ」とマジックででかでかと書いた透明な袋とセロハンテープをもって戻ってこられた↓

それを勝手に設置したあげく、

「今までの分は私が今分別してあげるから!!」

と、ゴミ箱をあさりだす。

周りのお客さんも完全に引いてるし、

一応お客様だから無碍にもできないし…

どうにかごみ分別の途中で帰っていただくことに成功。

去り際に、

「この業界は足を引っ張られるから気をつけな」

と言い残していかれた。

確かに。

私はあなたに稼ぎ時のお昼前後に30分もかかりきりでした。

勘弁してください。

彼女が立ち去った後、にやにやしながら警備員が近づいてきて、

「絡まれてたね~、あのひと前にここで働いたんだけど、今もよくマネキンさんに絡んでるんだよね」

だって。

気づいてたならなんとかしてほしかった。


もうひとりは、

30代後半あたりの主婦。

「私、昔ビールのキャンギャルだったのよ~、

 買わないけど、食べてあげるね」

と無駄な前置きをつけたしてやってきた。

キャンギャルの意味すらわからない私は、適当に相槌を打ちつつ、

めんどくさい臭いを敏感に察知し、さっさといなくなることを祈る。

「私が食べてると、人が寄ってきちゃうのよね~」

といいながら、もぐもぐ。

彼女が全力で話しかけてくるので、誰もよってこないどころか、

彼女の娘さんらしき女の子すらいなくなる始末。

こんなんじゃ売れないわよ~とことごとくけなしていく。

試食場所から価格帯、試食していただく商品の置き場。

雇われ試食おばちゃんの私にはどうにもならないことばかり。

エバラすき焼きのたれが298円で売ってる横で、

安くなってない上に、500円もするたれを売らされる私の身にもなってくれ。

しかも、その日は、今半のすき焼きのたれが398円の特価で広告に載っている。

なんでこんな日にこの商品を提案しなきゃならんのか、

私が聞きたいわ。

言いたいことを散々言った後、

残していったアドバイスは、

「いらっしゃいませ~↑、の語尾がポイントよっ!!」

でした。


自分が知っていることはアドバイスをしたくなるんでしょうね。

ありがたく頂戴いたしましたよ。

アドバイスは大変ありがたいものですが、

良かれと思ってアドバイスを自ら行うことは控えようと思いました。










試食のおばちゃんは、

会社から派遣されるノルマのないバイトと、

フリーでスーパーやメーカーと契約をするベテランおばちゃんがいます。


圧倒的に前者が多く、

売り上げが高かろうが低かろうが、給料には全く関係ありません。


なんとなく試食をすると買わなきゃいけないんじゃないかと思う方が多いと思いますが、

試食のおばちゃんが無理やり売りつけるようなことはほとんどないし、

買わないからって嫌な顔をされることはほぼありません。


試食に関しては地域差がすごくあり、

食べてくれるお店と、食べないお店が両極端です。


食べてくれないと、ものすごく哀しい気持ちになります。

子供に食べさせたくない親御さんもいらっしゃると思うのですが、

あからさまに子供の背中を押して、早足で立ち去るのはやめてください。

試食のおばちゃんは子供に害のある生物ではありません。


あと、ティッシュ配りの人並みに無視されます。

無視はやめてください。

ふてくされます。


食べてもらえると結構話せるし、楽しいです。

買ってくれなくてむかつくことはないけど、

やっぱり買ってもらえるとすごく嬉しい。

なので、自分の担当のものでないものも売ってしまいます(笑)

自分の話で相手が買う気になってくれるのは面白いね。

セールスはすべての基本だと思います。


基本的にはすごく楽しかったんだけど、

元旦にひとりでヨーカドーの社員食堂でお雑煮を食べたときは、

とてつもなくやるせない気持ちになりました(笑)


バイトは初めてだったけど、

自分から取り組めばなんでも勉強になるし、

得られるものもたくさんあるんだなと思いました。


正論をかますことは誰にでもできるけど、

実際に体験しないとわからないこともあるものです。

自分が経験してもいないのに、こういうもんだというような考え方をやめようとも思いました。


心と身体が健康で多少の無理ならきくときに、

ぜひ試食のおばちゃんに挑戦してみてくだされ(笑)

一言で試食のおばちゃんといっても、内容は様々。


私が任されたのは、

すき焼き、煮豚、ピザ、明太子、ステーキ。


明太子は切って出すだけなのですごく簡単なんだけど、

すき焼きや煮豚はすごく手間がかかる。


みかんやジュースと同じ日給はなんだか納得がいかない。


試食のおばちゃんは大荷物である。

たとえばすき焼き。


<自宅からの準備物>

エプロン

三角巾

テーブルクロス

菜ばし

まな板

包丁

キッチンバサミ

ホットプレート(会社より貸与)

トング(会社より貸与)

試食皿(会社より支給)


<現地調達分>

キッチンペーパー

つまようじ

アルミホイル

白菜

長ネギ


これだけの大荷物を抱え、電車で移動。

しかも、試食をするような大型スーパーはたいてい駅前ではない。

年末年始の凍てつく寒さの中、てくてく歩いて向かわなくてはならない。


スーパーに着いたら従業員通用口から入店。


基本的に朝のスーパーは品出し等で大忙し。

つまり、試食のおばちゃんにかまってる時間はなし。

基本朝一番は誰もが面倒見が悪いのだ。


そんな中、愛想の悪いバックヤードに入り、

恐る恐る今日扱う食材、提供方法等を確認する。

最終的なことはこの瞬間までわからないのだ。


確認すべき事項はたくさんある。

使用する食材はもちろん、

その食材をどこからもらえばいいか、

提供場所、

当日試食に使用するものを店で購入していいかの許可、

ごみの分別方法、

休憩場所、使用できるトイレの確認、

お昼休憩の時間、

最後に当日の売り上げを教えてほしいという依頼、

最終的なサインをいただく人の確認、

など、くそ忙しそうにしている担当者に隙をみて確認しなければならない。


誰ひとり味方がいない中でこれだけのことをするのは

結構心が折れそうになる。


まだ試食開始前。