山手線に乗ったら、空いていて、恭子はすぐに座れたのです。

でも、すぐ近くの座っている人が足をバウンドさせるほど咳をし始めたのです。

マスクをし帽子を深くかぶり、音楽を聴いている怪しさ満載の男が一人いたのです。

咳を連発するから、降りてくれないかなー、なんて思いながら観察していたら、すぐにわかってきた。

咳をしている男は自分の近くに誰も座って欲しくないみたいで。だって、電車のドアが開くたびに大げさな咳をしていることに気づきまして。

ほんと、こういう人、ヤダ。

咳を利用するなんて。みんな敏感だから。

せっかくの休日が、こんなの見ると恭子の中のブラックなところが湧き出てきちゃう。

あいつ、どっかで転ばないかなドクロ