私は通勤途中や家で掃除などをするときに必ず、と言っていいほどポッドキャストを聞いています
お気に入りのポッドキャストはTrue crime(犯罪ドキュメンタリー)関係もの
(最近のお気に入りはKIllafornia Dreaming やCrime Junkie、どちらも個人的におすすめです
語り手の声がクリアで聞きやすいです
ポッドキャストは英語を勉強したい方にもピッタリだと思います。)
クリスマス前もよくTrue crimeのポッドキャストを聞いていたので、ダンナから
「それってクリスマスのスピリッツに反しているよね?」と、よく突っ込まれました(笑)でも好きなんだから仕方がない
先日、お気に入りのポッドキャストであるKillafornia Dreamingで過去にアップロードされたエピソードの一つを聞いていたのですが、そのお話にすっかり心を奪われてしまいました(#102です)
かなり有名だった話で映画化もされたそうなのですが、Brian Banksという青年を知っている人は多いかもしれません。
ブライアンは当時16歳(うちの息子と同じ年だから余計に興味がわいたのかもしれませんが)
カリフォルニアではフットボールで有名な高校(Polytechnic H.S.=地元では〝ポリイ"と呼ばれている有名校)に通っている優秀な青年でした。
ブライアンももちろんフットボールのスター選手で、そのとき既にいくつかの大学から卒業後のフットボール推薦入学の話もでているほどでした。
ところが当時ブライアンのクラスメートだったワネッタ・ギブソンのせいで彼の人生が180度変わります。
ワネッタはある日、
「ブライアンから階段の踊り場に連れていかれ、そのままレイプされた。」
という嘘の証言をしてしまうのです。
ブライアンにとっては、当然「寝耳に水」で覚えのないこと。
実はそのときブライアンとワネッタは「若気の至り」でちょっといちゃついた関係にはなったのですが、でもそれはあくまでもConsensual(同意の上)のことでした。そして実際はそれ以上のことは起こらなかったのです。
しかしワネッタに訴えられたことで、ブライアンは逮捕されてしまいます。
そして裁判では(おとなしく罪を認めなければ)41年もの刑に処されるかもしれない、という脅しを受けたため、ブライアンは(やってもいないのに)罪を認めることになり、5年間の服役とその後5年間のprobation(保護観察)の刑が課されました
(ちなみにブライアンがレイプをした物的証拠は当然見つかっていません。)
また当時、ワネッタとそのお母さんは「レイプが起こったのは(安全な環境を提供していなかった)高校側の責任でもある」としてSchool district側も訴えて750、000ドルもの大金を手にしたのです。
ブライアンは無実のまま服役し、そして5年後刑務所をでます。
刑務所を出ても、まだ保護観察の身であったため、足首にモニターが埋め込まれたシャックルを付けていなければいけませんでした。
この出来事で、ブライアンは当然大学進学の夢も断たれて、フットボール選手になる夢もかなわなくなりました。
しかもブライアンはレイプ犯として、これから一生公共の場所には出入りが一切禁止になる、と言われます。
それは例えば彼が将来結婚して子供が生まれたとしても、その子供が通う小学校や幼稚園などの公共の場は今後一切出入りが禁止されることを意味していました。
ここまで話を聞きながら、私もやるせない気持ちとなりました
たった一人の嘘がここまで誰かの人生を台無しにしてしまうことが許されて良いものか。
ちなみにブライアンにはとてもSupportiveな家族が側にいてくれていました。
彼のお母さんは、弁護士費用を工面するためになんと自分の家まで売却してお金を作ったそうです。
でもその苦労も、当時は結局役に立つことは無かったようですが、、(涙)
ところがそんなブライアンに転機がやってきます。
ブライアンが罪に問われてから10年以上経ったある日のこと。
あのワネッタからブライアン宛に、フェイスブックの「友達申請リクエスト」が来たのです
二度と見たくない名前がいきなり目の前に。心臓がバクバクするブライアン。
「なんで今さらワネッタが連絡を取ってこようとするのか??」
怒りがこみあげてきましたが、でもブライアンの心の中ではワネッタにもう一度会って自分の無実の罪を晴らしてもらいたい、という切なる願いもありました。
それでブライアンは親友にこの出来事について相談します。
彼のお父さんがちょうど私立探偵業をしていたため、そのお父さんの提案でブライアンに小型のカメラを装着し、それでワネッタに直接会うことになりました。
ワネッタはやはり今まで自責の念に駆られていたのか、レイプの件は嘘をついていたことをついに認めたのです
これを機に、ブライアンの「無実」がようやく世間に認められました。
ブライアンの足についていたシャックルが取り外され、Sex offenderとして登録されていたことも、もちろん取り消されました。
でも無実となっても、今まで5年間も服役し、フットボールのスター選手として大学進学の夢も破れてしまったブライアンの将来は二度と戻ってきません。
しかしこの一連の騒動を観ていたいくつかのNFL(National Foodball League)のチームが、ブライアンにトライアウトを受けてみないか、と誘ってきたのです。
ブライアンはついにそのうちの一つのチームでデビューを果たします。
でも5年間のブランクは大きかったのだと思います。
その後まもなくブライアンは選手としては引退し、チームのオペレーション側で働くことになりました。
ちなみに嘘の訴えをしたワネッタに対しては、School district側が2.6ミリオンドルを請求することが新たな裁判で認められました。
しかし過去にワネッタが学校側から受け取った大金は既に使われていて、手元に残ってはいませんでした。
当然ワネッタには支払い能力はありません。
そのため今後ワネッタが働いた中から支払っていくことになりました。
(ちなみに彼女にはそのとき幼い子供が2人いました。結婚したのですが離婚して、子供たちの養育権も(相手側に)渡っていた状況でした。)
誰もが納得いかないのはワネッタに対して刑事告訴が行われていない、ということ。
本来なら刑務所にいかなければならないのは彼女であるはずですよね。
ちなみにこのお話は昨年映画化されていたようです
今度機会があれば観てみたい、と思いました
本人のブライアンはこの壮絶な経験をもとに、パブリック・スピーカーとして各地をまわって精力的に活動しているようです。
本当に何という人生だろう!とびっくりしたので、思わずブログで紹介させてもらいました