『経皮毒』という言葉を
ご存知ですか?
2005年に竹内久米司氏と、
かつて職場でご一緒した
薬学部教授の秋津教久氏
との共著である日東書院の
『経皮毒 皮膚からあなたの
体は冒されている!』から
広まった造語だといわれて
います。
ちなみに経皮毒とは、
学術用語ではありません。
秋津先生は、当時から薬学者、
教育者として、経皮毒について
啓蒙したいと真剣に考えて
おられたと、普段の会話から
感じていました。
その後も、経皮毒に関する
消費者向けの書籍を単独や
共著で続々と出版されて、
今では、経皮毒が消費者に
知られる時代となりました。
では今、どのような点について
問題となっているのでしょうか。
まずは、経皮毒論について、
復習していきましょう。
医療従事者が生理学として、
私たちが物質を体内に取り込む
経路は、以下の3つだと習います。
1. 経口吸収(飲食物を口から取り入れる)
2. 経気道吸収(呼吸から取り入れる)
3. 経皮吸収(皮膚から吸収する)
この経皮吸収された物質は、
体外に排泄されにくいことから、
経口吸収よりも危険なのでは
ないかといわれています。
なぜかというと、口から入った
物質は、肝臓を中心とした器官
で多くが数日中に分解・排出
されます。
経皮吸収では、10日経っても、
約10%しか排出できずに、
皮下脂肪や子宮に蓄積されると
いうのです。
経皮吸収率の説明には、よく
バイエル薬品がHPで引用している
1967年のステロイド外用剤の
部分別経皮吸収が参考に使用
されています。
前腕内側を1.0としたときの
比率として、
頭皮 3.5
額 6.0
頬 13.0
腋窩 3.6
背中 1.7
前腕内側 1.0
前腕外側 1.1
手掌 0.83
陰囊 42.0
足首 0.42
足底 0.14
田辺三菱製薬のHPは、出典が
明記されていませんが、同様に
下記のステロイド外用剤の
経皮吸収率が女性のイラストで
紹介されています。
腕を1.0としたときの比率として、
頭皮 3.5
額 6.5
頬 13.0
腋窩 3.6
背中 1.7
腕外側 0.83
手掌 0.83
陰部 42.0
足首 0.42
足底 0.14
しかし、私たちの皮膚は、非常に
固いバリアー構造になっています。
皮膚は、表皮と真皮、皮下組織
の3層からなり、合計で8つの
バリアー構造で外部からの侵入
が防御されているといいます。
近年では、世界中の薬品メーカー
や化粧品メーカーの努力の甲斐
あって、バリアー構造を通過して
体内に届く化学物質が開発されて
きました。
シールを貼ることで病気の症状を
抑える薬品や肌の奥の肌質改善を
図る化粧品も販売されています。
そして、現状では、経皮毒と疾病
の相関性は良くも悪くも立証されて
いないのです。
なぜなら、経皮毒のように徐々に
蓄積される場合、仮に症状が出ても
直接的な因果関係を証明するのが
難しいからです。
経皮毒が関係すると指摘されている
症状には、以下が取り上げられて
います。
肌あれや湿疹、アレルギー皮膚炎など
の皮膚トラブル、アトピー、免疫力低下、
がん、脳疾患、子宮内膜症、子宮筋腫、
卵巣嚢腫など。
ただし、経皮毒とこれらの疾患など
との関係付けは、日本では経皮毒の
学術研究が進んでいないので、
経皮毒なのか、先天的な影響などか
の見極めなどを特定するのが難しい
状況なのです。
なので、最終的には、
消費者の選択に関わってきます。
家族で気にして、化学物質を
なるべく吸収しないように
気を遣う人。
子どもや孫には、気遣って化学物質
をなるべく吸収させないように
配慮する人。
とくに、何も気にしない人。
どれも、自由な自己選択です。
個人的に知る海外の知識層と
呼ばれる人たちは、非常に
気にしており、私でも
神経質に感じるほどで、
海外では、彼らのための
市場が用意されています。
私自身は、市場のケミカル製品
と相性が合わず、皮膚症状や
身体症状が出てしまい、
医療機関でもケミカル製品
が原因ではないかと医師から
も指摘を受けてきたので、
同じような境遇の人々の
参考になればと思います。
また、子どもの頃から、
実家には、外資系の医薬部外品
や化粧品の企業の社員さんが
シャンプーなどの新製品の商品
の説明に来てくれて、動物実験
による副反応や副作用の残酷な
写真やデータをたくさん見てきた
ので、心因的な影響もあるでしょう。
子ども心に、シャンプーで頭皮を
痛めて、リンスやトリートメント
を売るんだと誤解していたほどの
内容でした。
日常用品で経皮毒の危険が指摘
されているのは、以下のものです。
基礎化粧品やハンドクリーム、
台所用洗剤、シャンプー、リンス、
ボディシャンプー、洗顔料など。
中でも頭皮の吸収率は、前腕内側の
皮膚に比べて3.5倍高いといわれて
います。
そのため、約60年間美容師として、
多くの商品の説明を受けてきた
母は、経験的に、界面活性剤の
少ないオーガニックや天然素材
のものを顧客に選択しています。
ところが、自然派化粧品メーカー
らも、この点を消費者にアピール
するために、過剰にあおった広告
や販売行為を行う企業や組織が
存在し、営業停止となった事業者
もいます。
それを理由に、経皮毒否定派から
注意や警告を受けてもいます。
本当に質の高い製品であれば、
販売や営業を続けるためには、
社員や愛用者への関係法規の
教育がとても重要なのですが、
消費者は真実やデータよりも
感情に購買意欲がわくことも
あり、感情をゆさぶる口コミ
がインターネットの普及も
加えて、拡大したのかも
しれません。
それだけ、約10年の間で、
メーカーや消費者に経皮毒
という言葉が浸透したんだと
思います。
気になる方への経皮毒の危険
が指摘されている化学物質は、
以下の通りです。
ラリウル硫酸ナトリウム、
アルキルエーテル酸エステルナトリウム、
ジブチルヒドロキしトルエン(BHT)、
パラペン、
ソルビン酸、
蛍光増白剤、
安息香酸塩、
タール色素、
直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸
ナトリウム
など。
何十年か経過した頃には、
世界の評価機能が向上して、
経皮毒に関する是否や問題
が解決されれ、新たな造語が
生まれているかもしれません。
〈参考・引用文献〉
竹内久米司・秋津教久『経皮毒 皮膚から、あなたの体は冒されている!』日東書院.2005.
経皮毒Wikipedia.
村上純一『恐ろしい経皮毒に気をつけろ!
』.ビジネスジャーナル.2015.
ステロイド外用剤の部分別経皮吸収.バイエル薬品株式会社HP.
正しく使えばステロイド外用剤は怖くない!田辺三菱製薬株式会社HP.
