第2節 少子高齢化社会
現在の日本では、少子化と高齢化という2つの社会現象が起きている。少子化について、図1は日本国の合計特殊出生率を示したものである。現在の日本国の合計特殊出生率は、1.42と人口置き換え水準である2.08を下回ってしまっている。このままの状況であると、出生人口の低下による若年世代労働者の減少と高齢者の引退の続出によって、労働人口が減少することが予想され、所得を課税ベースとする所得税の減少が考えられる。財務省の国庫歳入状況によると、所得税による税収は約16兆4千万円であり、税収の重要な部分を占めているので、所得税の減少は日本国の税収にとって大きな痛手となっている。高齢者については、日本国では、第二次大戦後、ベビーブームによって多くの子供が誕生した。この世代は、団塊の世代と呼ばれ、日本国の高度経済成長を支えた世代である。しかし、現在ではこの団塊の世代が、いっせいに定年退職を迎えており、高齢者人口が増加している。図2は65歳以上の高齢者が総人口に占める割合を表したものであるが、現在は、総人口のうち26.0%を高齢者が占めており、1950年の4.9%から大幅に増加していることがわかる。さらに、総務省統計局の試算によると、2025年には、65歳以上の高齢者の割合が28.7%に上昇すると仮定されていた。また、さらなる社会保障費の増大が予想される。平成27年度の政府歳出のうち社会保障関連費は32.7%を占めていて、日本国の歳出のうち重要な部分を表している。この割合が大きくなることにより、日本国の財政は圧迫を受けしてしまい、国債の発行する額が増加することによる長期債務残高の増加が懸念される。
