苗穂工場で、ディーゼル技術の進化を体感しました! | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

9月8日のJR苗穂工場一般公開は9時30分に花火の音ともに入場開始となりました。
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正門付近の広場はブースエリアとなっていましたが、自分はそのすぐ先にあるキハ160形へ直行です。
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(キハ160-1・苗穂工場・2012年9月8日)
キハ160形は1997(平成9)年に日高本線用に製造されたディーゼルカーでした。事故廃車となったキハ130形の代替だったため1両のみの存在で、キハ40形350番代の投入後しばらく使用されていましたが、2007(平成19)年にモーターアシスト式ハイブリッド車試験車に改造されました。ハイブリッド化の際、車体にはInnovative Technology Train(以下ITT)のロゴが配されています。

ITTのシステムは走行・発電兼用のディーゼルエンジンと、走行・変速・発電用のアシストモーターとモーターの駆動を制御するVVVFインバータ装置。そしてエンジンとモーターの回転力を組み合わせるアクティブシフト変速機とリチウムイオンバッテリー(7.5kWh)で構成されています。
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(苗穂工場・2012年9月8日)
エンジンはキハ160形に新製時より搭載されていた、330ps出力のN-DMF13HZF形直列6気筒13リッター直噴ディーゼルインタークーラーターボエンジンを使用しています。
アクティブシフト変速機はトルクコンバーター(変速段)を持たないデュアルクラッチ式の4段自動変速機を搭載。製造した日立ニコトランスミッションの前身はかつてDF115A等を製造していた新潟コンバータです。

アシストモーターは三相交流誘導モーターで駆動出力123kW、発電能力150kWを発揮。またアクティブシフト変速機が変速する際にもモーターがアシストして変速ショックを抑え、乗り心地向上に貢献します。
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(苗穂工場・2012年9月8日)

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ITTはモーターのみで発車。45km/hに達するとエンジンが始動して、エンジンとモーターによる駆動に切り替わります。惰行運転時はエンジンでモーターを駆動して発電・充電を行ない、ブレーキをかけた時は車輪の回転力でモーターを回して発電・充電を行なう回生ブレーキを使用します。
ITTのメリットはディーゼルカーからの改造が容易だということ。トルクコンバーターがないため駆動力損失がないことも挙げられています。また燃費も15~20%向上するそうです。
ITTの技術は次期「スーパー北斗」用車両に採用されるのでは期待されていますが、果たしてどうなるでしょうか?

続いて機関車検修場に行きました。ここはJR北海道とJR四国の機関車の検修を行なっています。
釧路車両運輸所所属のDE15 2510はSL列車などで補機に使用されていますが、損関係で湿原号塗色に塗装されています。
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(DE15 2510・苗穂工場・2012年9月8日)
DE15は冬季になると前後にラッセルヘッドを連結して除雪するのですが、ラッセルヘッドを連結するための連結器が前照灯の間と尾灯の隣、計3カ所に設けられています。また、前照灯の間の連結器の下には電気連結器も装備されています(白いカバーの部分)。

DE15の動輪配置はAAA-B。台車は台車枠が車輪の内側に入ったインナーフレーム構造です。AAAの台車ですが、後期形はDT141となっています。
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(苗穂工場・2012年9月8日)
3軸台車に見えますが、よく見ると台車枠は前後の2軸の部分にしかなく、中央の車輪は前後の台車枠にまたがる構造になっています。ある種の連接構造で、これがAAAの所以です。

ラッセルヘッドも検修中。こちらは原色のままです。
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(DE15 2510・苗穂工場・2012年9月8日)
なおDE15形2500番代は、1977(昭和52)~1981(昭和56)年に単線型両頭式のラッセルヘッドを持つ車両として27両が製造されました。設計のベースは1,250ps出力のDML61ZAを搭載した複線形1000番代からSGを廃止して死重を搭載した1500番代です。なおSGは蒸気発生装置のことですが、そのお話しは後ほど。

JR北海道のDD51形500番代も検査中。番号はわかりませんでした。北斗星牽引のための青い塗装が印象的です。
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(DD51 500・苗穂工場・2012年9月8日)
DD51形500番代はDD51形の重連仕様で501~799、1001~1193が製造されました。番号が飛んでいるのはSGなしの800番代が存在するからです。したがって厳密に言うとDD51には1000番代は存在しないことになります。
JR北海道のDD51は函館運輸所に13両配置され、「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」に重連で使用し、「はまなす」に単機で運用される他、札幌運転所~苗穂工場の配給列車にも使用されています。

DD51の蒸気発生装置SG4A形が置いてありました。
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(苗穂工場・2012年9月8日)
SL時代の客車列車は、SLから供給される蒸気を使って客室を暖める蒸気暖房を使用していました。そのためディーゼル機関車や電気機関車では、暖房用熱源として蒸気発生装置を搭載していました。また電気機関車の一部は電気暖房用電源を搭載していましたが、いずれも現在はイベント列車以外で使用する機会はなくなりました。

北海道におけるJR貨物の主力機関車がDF200で、1992(平成4)年に試作車の900番代が登場し、1994(平成6)年から量産され、45両が出揃いました。DF200はディーゼルエンジンで発電した電力を使用してモーターで駆動する、電気式ディーゼル機関車。国鉄時代は車重の重さやパワーの非力さで根付きませんでしたが、VVVFインバータ時代となり、一躍主力の座に着きました。
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(DF200-116・苗穂工場・2012年9月8日)
DF200はMTU製V12気筒エンジン(1,700ps)を搭載していましたが(10を除く)、50番代からはコマツSDA12V170-1(1,800ps)に変更。100番代ではVVVFインバータの素子をGTOからIGBTに変更しました。
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(苗穂工場・2012年9月8日)

主電動機は三相誘導交流電動機FMT100形(320kW)。
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(苗穂工場・2012年9月8日)

台車は軽量ボルスタレスのFDT100形(先頭台車)とFDT101形(中間台車)を装着しています。
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(苗穂工場・2012年9月8日)

運転台を見る限りは電気機関車となんら変わりませんね。
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(苗穂工場・2012年9月8日)

色々見ていて飽きない機関車検修所。
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(苗穂工場・2012年9月8日)
いつまでも見ていたい気持ちを抑えつつ次の場所へ移動しましょう。
(続く)