IKEA フォント騒動 | 温井ちまき ブログ

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ワシントンDC在住。米国のコンシューマー、ビジネス、ソーシャルトレンドをメインに日本のメディアに記事を書いてきました。現在は卵子提供によって産まれた3人の子供の子育て中。

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向かって左側がFUTURA、右側がVERDANA


最近アメリカの一部の人の間で話題になっていることの1つに、「IKEAのフォント」があります。
いや、「アメリカの」て言い方は誤解を招くかもしれません。「世界の一部の人」としましょうか。

なんのことかと言いますと。

スゥエーデンの家具大手、IKEAのカタログ。皆さんちにも来てますね?多分。

今年下半期から使えるカタログは7月に発行されてるわけなのですが、IKEAの歴史始まって以来(まあ、ここんとこがそもそもおおげさなわけですが)はじめて、使用フォントを変えたそうなのです。

それが一部の人の間で大変評判が悪い、と。

一部の人とは、「ネットこみゅにてぃ」&「デザインこみゅにてぃ」の人。

ということです。

ウチにも当然このカタログが来てます。まだ目を通してなかったのですが、前のカタログもリサイクルに出してないので、早速比べてみました。それが一番上の写真。まあ、見てみて下さいよ。

IKEAでは創業以来、50年だか60年だかずっとFUTURA(フューチュラ)という丸みのあるタイプフェイスを使っていました。で、それをVERDANA(バーダナ)に変えたのです。

バーダナは、マイクロソフトが開発したフォントで、「紙面」じゃなくってパソコン画面で読まれることを目的としてます。文字ごとの、なんというか、ストロークの幅が広くて“抜けた”感じがあります。文字と文字の間隔が離れているので小さなパソコンモニター上でもクリアに見えます。

IKEAのスポークスパーソンは、変えた理由を「バーダナは様々な媒体と言語で使えるシンプルでコストエフェクティブなフォントだから」と説明しています。フォントをこれにしておけば、カタログ、広告などに掲載するための元々の商品情報を、ネットとか紙とか媒体ごとに変える必要がない、ということですかね。だから費用対効果があがるのよ、と。でもこんなに反対意見が出るとは思わなかったらしい。

この、パソコン用のフォントを紙用のフォントとして使う、というのはデザイン関係の人には耐え難いことのようです。

ルーマニアのあるデザインコンサルタント氏は、IKEAにバーダナ使用をやめてほしいとオンライン署名運動を始めました。8月30日付けのAP電では署名が2700集まったと書いてありますが、私が今確認したらすでに4200を超えております(笑)。

オンライン署名にはコメントも書きこめるようになっていまして、
Simply wrong.
Yuck Yuck Yuck.
Verdana is ugly.
you are a company founded on good design. this is not good design.
とか、面白いです(笑)。皆、相当嫌ってます。

で、どんなに違うもんなのかと思って私も検証してみました。

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向かって左側がFUTURA、右側がVERDANA


字面は、確かに違って見えますね。

もっと大きくしてみましょか。

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向かって左側がFUTURA、右側がVERDANA


違います。

しかしまあ、この違いがわかって、かつ「醜い」と思える人って、やっぱり「一部の人」です。“その道のプロ”にしかわからない。IKEAのアメリカ人顧客のほとんどは、多分フォントが変わったことにすら気づかないでしょう。でも「デザインコンシャスな家具のメーカーであるIKEAが、こんなところでアンコンシャスなことをしてていいのか!?コーポレート・アイデンティティはどーなるんじゃ」!?ということなわけですね。

ちなみにネットで調べてみると、日本のカタログのアルファベットのフォントは変わってないみたいです。

*****

そんなこと(なんて言ったら怒られるかも知れませんが)より。さっき検証中に気付いたんだけど、前はIKEAのカタログって年2回発行されてました。

毎年1月に1~6月30日までの
毎年7月に7~12月31日までの

家より店の方が早くカタログが着くので、カタログの切り替え時期には取りに行ったりしてたんですよ~。いつから年1発行になったんだ?てか、何で気が付いてなかったのだ今まで。私にとってはそのことの方が問題だわ。

賛同する方は、こちらのリンク先でどうぞ。

署名運動タイトル: Ikea, please get rid of Verdana!
http://www.petitiononline.com/IKEAVERD/petition.html