東京が雪だ
窓から手をのばして、電線に積もった雪をとって口に含む

チリやらなんやらで雪が汚いことぐらい知っている
でも、この雪の風景と雪の味両方ないと雪を感じるのに足りない


雪の日の静けさや
点々と森に消える動物の足跡
雪に関する記憶


ふんわり やんわり ゆるゆる 煙草のけむりはどこへ

燻らすとは誰が考えたことばなのだろう、ことばの響きと煙が宙で絡んで窓からでていく


窓から見えてた煙突がなくなったのは、一週間前だっけ、二週間前だっけ

取り壊すところを写真に撮ろうと思ってたのに、気付いたらなくなってて
まるで始めから煙突なんてなかったというふうに空が残った

跡地には何が建つのだろう

おいしいパン屋かコインランドリーができたらいいんだけどな


友だちが寝言を言った
彼女は何か夢をみているのか
ふとタバコを吸ったら父を思い出した、今日電話で二言三言言葉を交わしたけれど、元気にしているのかいないのか…いつも父が何を思っているのか分からないし、聞かないし、父も話さない
けれど、タバコの味の中に父を見つけた


台風は何処かにいってしまった
今夜彼女が居てくれてよかった、つまらない悩みも笑い話にしてくれる、