疎遠

母の姉家族と私達は暫く疎遠だった。
揉めた原因はシンプルだ。
お金。
祖父が亡くなった時、母の姉は父に内緒で全額お金をおろし隠した。
祖父はこんな事にならないようにと、公正証書遺言を作成し皆に署名、押印をさせていた。
それは、お金があったからした訳ではなく家を守る為に私の両親に託したのだ。

それを母の姉夫婦はいとも簡単に破り、病院代は一切出さず、香典も出さないのにお返しだけ持って行った。

葬儀後に話し合いを持ち、通帳を捨てたのを謝りながらしぶしぶ墓代を半分出した。

苦しい生活をしていたはずの母の姉夫婦は、その後に車を二台買いかえ、家を建て直した。

父に残ったのは、姉夫婦が解約出来なかった10万の預金通帳と、23万の積立金だけだった。
この金額を正確に知ったのは父が亡くなってからだ。

久しぶりに母の姉夫婦、その娘に会った時にとても優しくされたが、話し方はまったく変わっておらず思い出したのは居心地の悪い空気だった。

私達に優しくするのは、自分達がしたことを他の人にばらされたらそこで住むのが難しくなるから。

ひねくれている私はそう解釈している。