歴史的な勝利に東北も歓喜に沸いた。2度リードを許しても諦めず、驚異的な粘りを見せた「なでしこジャパン」。「元気づけられた」「自分も頑張ろう」。東日本大震災の被災者らは18日、なでしこの奮闘に、逆境から立ち上がる自分たちの未来を重ね合わせた。
 宮城県南三陸町の仮設住宅で暮らす三浦洋昭さん(52)は、朝一番でニュースをチェックした。「ひたむきな姿に元気づけられた」。営んでいた鮮魚店が津波で流され、先週から移動販売車で営業を再開したばかり。
 「先行されても追い付いた不屈の精神を見習いたい。諦めないことが大事だ」と、自分に言い聞かせるように語った。
 避難所の大船渡市民文化会館で、炊き出しの手伝いをしていた同市の専門学校生金野遥香さん(18)。津波で自宅を流失し、家族と仮設住宅で暮らす。「父と中継を見ていた。なでしこジャパンも頑張ってくれた。被災地として頑張らなければならないと思う」
 テレビ観戦した仙台市青葉区の広瀬中1年門馬哲平君(13)は「元気をもらったし、自分のことのようにうれしかった」。仙台に観光に来ていた横浜市の会社員正木秀和さん(43)は「暗いムードを吹き飛ばす明るいニュース。日本中が元気になる」と声を弾ませた。
 「これが日本の女性の底力」と力を込めるのは山形市の無職渡辺ミツ子さん(59)。失点しても取り返す試合展開に「選手全員が互いを助け合っていた」と振り返る。秋田市の秋田南高サッカー部2年大久保亮佑さん(17)も、なでしこの戦いぶりに「諦めない粘りの姿勢を学んだ」と言う。
 地上波の放送がなかった青森県。青森市のアパート経営三上誠一さん(61)は自宅で朝食の準備中、試合経過をラジオ番組で確認した。「映像は見ていないけど、粘り強く戦う姿は想像できた。世界一なんてすごい。感激した」と喜んだ。
 福島市の主婦佐藤とし子さん(62)宅には、福島第1原発事故で米沢市に避難中の小学2年の孫が連休で帰宅していた。「孫が早朝から父親とテレビの前で抱き合っていた。久々のいいニュース」と目を細めた。

「この記事の著作権は 河北新報 に帰属します。」