今回はTLCスキャナーのDetector
Linearity Testについて。F18-FDG のQCの際 Radiochemical Purity はTLCスキャナーを使って行っているのですが、サンプルのradioactivityをどのくらいにすればスキャナーのdetectorを飽和状態にしないで検査ができるのかを考えてTLC プレートにサンプルをスポットしなければなりません。数年前まで製造されたF18-FDGの希釈していない原液をスポットしていたのですが、テストの結果それではdetectorを飽和状態にしていることが判明し、検査手順が変更されました。
当初のテストでスキャナーの総カウント数と毎分ごとのカウント数が設定され、F18-FDGのradioactivityに応じてサンプルの希釈度が設定されたわけです。この最初のテストは我々のスタッフが行ったのではなく、当時インターンシップで研修に来ていた薬学部の学生さんがプラン、実行、そしてレポートをまとめてくれました。実はこの学生さんが来ていた時期は私はちょうど仕事を休んでいた時なので、私がこの学生さんに直接会うことはなく、後から彼のレポートを読んだわけで、彼の仕事の成果に感心したのを覚えています。
さてこのテスト、その後は年に一回確認のために実行されることになったわけですが、翌年誰が行うかというと、やっぱり予想通り私でした。。。(はじめは他のQCスタッフに、出来るかどうか聞いてはみたのですが、テストの手順とデータの処理等の参考になるものが1年以上前の学生さんが仕上げたレポートだけなので、しり込みされてしまいました。)
学生さんのレポートからテストの手順はわかりましたから、とりあえず実行です。テストの手順はシンプルで製造されたF18-FDGのサンプルの希釈度を変えたサンプル液を3種用意し、通常のQCのようにTLC プレートにスポットし、これまた通常のようにチャンバーにて展開させTLCスキャナーでチェックします。チェックしたプレートは保管しておき一定時間ごとに(約一時間毎に8時間)TLCスキャナーで再度チェックしていき、F18-FDGサンプルの毎回の総カウント数と毎分ごとのカウント数を確認していきます。
次のステップはデータ処理で、各サンプルごとにTLCスキャナーでチェックした時間、その時間のサンプルのradioactivity、総カウント数と毎分ごとのカウント数をエクセルで表にし、さらにそこから理論上の毎分ごとのカウント数を算出し、グラフに取っていくわけです。グラフを作成すると、あるところから総カウント数と毎分ごとのカウント数が直線からそれフラットになっていくのがわかります。我々としてはグラフが直線のところでF18-FDG のQCを行いたいわけです。
このテスト、実際に自分で行ってみると、先の学生さんのレポートでどうしても腑に落ちないところが数箇所でてきて、彼に連絡を取ってみるやら、エクセルでグラフを作成する際は他のスタッフにやり方を教えてもらわねばならないやらで、ちょっと手間取りましたが、新しいことも学べて自分的には満足という感じでした。で、これが一昨年の12月のお話で、昨年も同じテストを繰り返し(スキャナーでチェックする間隔を少し短くしてみました)、無事に昨年の12月中にレポートを提出しました。
で、次のステップですが、このテストのSOPを書き上げてしまうことです。そのSOPを参考に今年は他のスタッフがしてくれないかなーと、考えています。
N13-アンモニアのANDAについてFDAの担当部署からMicrobiology関連事項についての質問がきて、こちらからの対応についてを提出したすぐ後のことです。
正確には9月19日のことなのですが、いつもどおり仕事が始まり、私も朝7時にF18-FDGの臨床使用にサインして、新しいQC standard用の書類を作ってファイルに入れたりしていたときの事。スタッフの一人が私がいたラボに顔を出して私に言ったのです。
"FDA is coming today. We just got a call and were told she was coming in 40
minutes! X (my
boss) was looking for you!”
え、えー!!今日!?あと40分でやって来る?!?
私の考えたこと。
1.ANDAの提出元へのFDA Inspectionって、あらかじめ連絡が1週間ほど前にあるはずなんだけど!?どうなってるの?2.今日はFDGのための試薬を作ろうと思っていたんだけど、どうしよう?
でした。
で、それからの行動ですが、とりあえずボスにこのニュースを聞いたことを伝えて、対応を簡単にチェックしようと、ボスのオフィスに顔を出しに行ったのですが、すでにボスは各関連部署に電話連絡を入れるのに忙しくしていたので、サイクロトロンにすぐに取って返して清掃状況のチェックから始めました。清掃は私もサイクロトロンにいるときはしていますし、その日もいつもどおりのことはしていたのですが、やっぱりFDA Inspectionがその日にあるとなれば、いつも以上にきれいにし整理整頓しておきたいですから。サイクロトロンマネージャーも考えることは同じだったらしく、彼もせっせと掃除と整理整頓にすでに励んでいました。で、まあこのくらいなら、という程度まで掃除と整理整頓に励んだ後で1階のスタッフオフィスに上がって、状況を聞いてみると、Inspectorはまだ到着していないとのこと。
結局、あと40分といわれたのですが、電話が入ってから2時間してInspectorが到着されました。
この日は、Inspectorは私のボスともう一人のグループ責任者から我々の施設状況等のあらましを聞いて関連するSOPのチェックされて4時前には帰られました。
私は、この日はInspectorに会いませんでしたが、Inspectorが帰られた後でボスに聞いたところによれば、このInspectorにとってPET製剤のANDAの査察(つまり21 CFR 212に基づいた査察)は始めてでありいつもは21 CFR 211に基づいた査察をしているとのことでした。なにせ、私のボスに初めてあった際に“みんながこちら(ワシントン大学でのPET製剤製造)がやっていることはすばらしいというので、それを学びにきたの。”と言われたそうですから。また、InspectorはMicrobiologistであり、今回の査察はN13-アンモニアのANDAについてであることもこのときに聞きました。
翌日は、InspectorがF18-FDGの製造に立ち会いたいということでしたので、朝4:50分にサイクロトロンに来られるとのこと。
続きは次回に。
さて、N13-アンモニアのANDAについてFDAの担当部署からMicrobiology関連事項についての質問がきて、その対応についてを提出してすぐに、もう一度FDAから連絡がきました。こちらからの対応に目を通して後で、追加の質問でした。
内容は、N13-アンモニアのプロセスシュミレーションとしてのミディアフィルテストについてです。具体的には、ミディアフィルテストをしたオペレーターの名前、日付、テスト結果ですとか、使用したミディアの詳細についてですとか、ミディアフィルテストにパスしなかった場合の対応についてでした。そうそう、各オペレーターがミディアフィルテストをした際のEnvironmental
Monitoring Test(環境テストとでもいうのでしょうか?)の結果についても聞かれました。
答える側としては、これらの質問も特に対応に焦るものはなく、とりあえずほっとしました。
ただ、こういう質問がありたびに正式に対応しなければならないので、コストがかさみます。
これらの質問はFDAの側からは問い合わせてあったのにワシントン大学からそれに対応する返答がなかったので、追加質問という形になったと書かれてあるのですが、前回の問い合わせ内容を見る限りではこちらとしては十分に必要な対応はしてあり、それなら問い合わせの文章にもっとはっきり書いてくれればいいのに、、、。
で、この対応のために動き始めた時に、新たなるFDA関係の出来事が!
続きは次回です。
さて、前回はFDAからのN13-アンモニアのANDAについてのはじめての質問について書きましたので、今回はその続きです。
製造関係についての質問に対応した後で、今度はMicrobiology関連事項についての質問が来ました。
質問内容としては、こちらが返答に困ってしまうようなものではなく、どちらかといえば対応しやすいものでした。例えば、製造工程で使用する注射針やシリンジの無菌性を証明する書類の提出を求められたり、フィルターの発熱性物質試験の結果確認だったり、浸透圧調整のために加える5%NaCl のバッグは毎回新しいものを使用するのか、それとも複数のbatchに同じバッグを使うのかとか、Laminar Airflow
Hood の設置してある部屋についてのことだったりです。そうそう、それから無菌試験で使用する培地にサンプルを入れた際に、サンプルに微生物の発育を抑制する作用のないことを確認する試験のデータの提出も求められました。
質問を受けたのが9月の9日でその週の金曜日には必要書類を全て揃えられたことからもわかるように、かなりスムーズに対応できました。
更なる質問は次回に。
前回、N13-アンモニアのANDAについてFDAの担当部署からMicrobiology関連事項についての質問がきて、こちらからの対応についてを提出したと、書きましたが、実はその後FDA関連の出来事が立て続けに起こったので、それらについて少し書いていきたいと思います。
なにしろ、事が起こっている時点ではそれぞれの対応に追われ、ブログに書いている時間がなかったものですから。昨日の時点で、やっと落ち着いたので、ではブログでもという感じです。
まずは、振出から。
ワシントン大学からN13-アンモニアのANDAを提出したのが2012年の初夏。その後、しばらく何の連絡もなかったのですが、今年の8月になってFDAから連絡がありました。FDAからの連絡というのは質問の形式をとっているのですが、提出した資料では充分ではなかったということになり、deficiency letterを受け取るわけです。このときは、製造関係についての質問でした。(ちなみに、私はFDAからのANDAについての質問はそれぞれの専門家が提出資料を確認した後で、トータルな形で質問が提出元に来るのかと思っていましたが、違いました。実際は、各担当部が資料を確認した後で、個別に質問が提出元に来ます。)(もう一つちなみに、そのletterのなかにMicrobiology関連事項についてはまた後ほど連絡するからといった旨が書かれていました。)我々が対応しないといけない項目は数件あったわけですが、その中にvalidation testについてのものが含まれていました。N13-アンモニアのsub batch数は最大でいくつと設定しているのか、そしてQCは一番初めのbatchについては行われているが、validation testの際には真ん中と一番最後についても行われるべきである(のに、行われている形跡がない)というものでした。我々のところではN13-アンモニアは一番初めのbatchについて行いますが、これはUSPでも認められていることなので問題ないわけです。(USPでは半減期が20分未満のPET製剤については実際に投与に使われるbatchではなく、その前にQCを行えばその日はカバーされることになっています。)けれども、validation testの際に真ん中と一番最後のbatchについてのQCは行いませんでした。なので、sub batch数は最大で7と設定し再度validation testを行うことになったわけです。sub batch数は最大で7と設定したので、QCは1番目と4番目、そして7番目のbatchに行うことになりました。
私たちにとってはじめてのFDAからの質問で、いったいいつまでに返事を返さないといけないのかもはっきりしていなかったのですが、我々のところの対応をFDAに提出してもらうために提携しているところ(FDAに何かを提出するのはかなり大変な作業で我々のところではFDA対応に熟練しているコンサルタント会社さんと提携しています)の人によると2週間以内が、大体の目安ということでした。
FDAからの質問が届いた週は私のボスが休暇をとっていたので、メールと電話で打ち合わせ等を進め、validation testを実行。(もっとも、私のボスはオフでもメール始終チェックするひとですが。)それから、かなりの書類が私のボスが最終的にサインするようにSOPで定められていたので、ボスが不在の際には私かもう一人の薬剤師さんがサインできるように書き直し、ことを進めていきました。このときの質問に関しては無事に2週間以内に対応が完了したわけです。
これから、数週間後にMicrobiology関連事項の質問がとどくわけです。
Laminar
Airflow Hood の設置してある部屋について
先週のことですが、私たちのところから出してあるN13-アンモニアのANDAについてFDAの担当部署から質問がきました。N13-アンモニアについては先月はじめてFDAから連絡があり、こちらからの対応についてを提出したところでした。そのときから、Microbiology関連事項についてはまた後ほど連絡するからといった旨が伝えられていたので、今回はやっぱり来たのねというのが、私の感想でした。数件の質問のどれもがこちらが対応に困ってしますような内容のものではなかったので、とりあえず一安心。
ところで質問の中に、Laminar
Airflow Hood の設置してある部屋の清浄度を問うものがありました。これはF18-FDGに受けた質問にはなかったものです。私たちのところでは、LFHの6ヶ月毎の認定には外部業者さんに来てもらって認定作業をしてもらっているのですが、同じ業者さんに年に一度はLFHの設置してある部屋についても検査してもらっています。業者さんからのレポートは私のほうでバインダーに入れて管理してあるのですが、今回の質問に対応するために部屋についてのレポートを探すと2012年のものはあるのですが、2013年のものがないわけです。で、いつも業者さんに直接連絡を取ったり、やってきた技師さんに対応したりしてくれるスタッフに2013年の分がないんだけど、とメールして、彼が持っているコピーを送ってもらいました。彼からは、私に渡したつもりだったけど、どうやら渡してなっかたみたいで、失礼とメールにありました。と、こ、ろ、が、、、、翌日になって2013年のレポートのオリジナルを別のバインダーに管理してあるのを発見。もちろん、私がそのバインダーに入れたのです。(バインダー自体は正しいバインダーで、私がそちらをチェックしなかったので間違い)検査が終了した時点で彼から私にちゃんと渡されていたのです。
オリジナルのレポートを見つけた瞬間、2秒くらい、このままこの件については黙っていようかな、と思ってしまいましたが、いやいやと理性が顔を出しました。
はい、もちろん、事情を説明してあやまりました。とほほ、でした。まあ、こういう些細なことで人間性を疑われたくないですしね。
そうそう、LFHの設置してある部屋ですがISOクラス8です。
ではでは。
Isolatorが私たちのところで導入されました。
実は私たちのところでは、ただいま改装真っ盛りです。3台あるサイクロトロンのうち2台はかなり古いもので、サイクロトロンオペレーター暦30数年という経験の長いスタッフとエンジニアの人達が故障のたびに修理しながら大事に大事に使っています。また、施設自体もここ数年のPET製剤を取り巻く環境の変化(規制面)に対応しながら大学内の要望・需要に対応していくのも大変で数年前から施設改装と新しいサイクロトロンの購入が議論されていたものが実現されていっているわけです。(ちなみに今までどおりのPET製剤業務を続けながらの大規模な改築工事で工事するほうも大変でしょうが、対応していくこちらも大変です。)
私たちのところでは、サイクロトロンに隣接する場所にPET製剤業務をする部屋(production)がありそこにさらに隣接する形で品質検査(QC)を行う場所があります。このproductionと QCの場所を隔てるドアはあるのですが、普段は開放したままにしてあるので基本オープンスペースです。こことは別に試薬やHPLCのMobile Phase等を用意したりQCの一試験である無菌試験(sterility test)を行う部屋があり、Reagent Labと呼ばれていました。いましたと過去形なのは、このラボに相当する新しいラボ・部屋(呼び名は未確定)が先月とりあえず出来上がったので、我々はラボのお引越しを行いこのラボは先月取り壊されたわけです。
Isolatorはこの新しいラボに設置されました。
このIsolator、とりあえずのところ使用するのは主に私になります。無菌試薬の作製に使うからです。
新しい機材、機器を使い始めるには必要な試験等を行い、さらにSOP(Standard
Operation Procedure)を作成してから出ないとなりません。このIsolatorについてもIQ/OQ(Installation
Qualification/Operation Qualification) が行われた後に、内部のクリーニングを徹底的に行いプレイトテスト(Air Settling
Plate +Contact
Plate)でコロニーのないことを確認しました。SOPは書き上げてあるのですが、ただいま最終チェック中。SOPを書く際に製造元がこのIsolatorの使い方のビデオをいくつもu-tubeに載せていることを発見し、それらがかなり気に入った私なわけです。いくら、気に入ったからといって、u-tubeのウエブアドレスをSOPに入れるわけにも行かず(draft SOPにはとりあえず入れましたが、これはSOPを実際に発行する前に私のボスがまずチェックする際に、参考にしてもらおうと考えたからです。)、結局別の薬剤師さんに同じような作業を実際に行ってもらって私がビデオにとることにしました。昨日、このビデオ撮りをしたのですが、実際自分でやってみるとかなり難しかったです。Isolatorって、実際に作業しているオペレーターからの視界にはもちろんなんの問題もないのですが、それを横、もしくは後方から観察(この場合はビデオ撮りですが)私の目線からは視界の大部分はIsolatorのsleeveに隠れてしますわけです。手振れ防止のために三脚を使っていたのですが、その三脚をワゴンの上において、さらに私が台に乗ったりして目線をあげてみたのですが、それでもやっぱり視界がsleeveに隠れてしまうので、最後はIsolatorの前面のカメラをくっつけて撮影してみました。月曜日に収録したビデオの確認をするつもりですが、なんとなく取り直しの部分が多そうな予感がします。
この、Isolator、SOPが発行され次第、来週にでも使用しようと考えていたのですがクリーニングに必要なモップカバー等の追加がずいぶん前に発注しているにもかかわらず、いまだ届いていないので、結局使用開始はしばらくの間見送りです。
でも、やっぱりIsolator、いいですね。無菌操作の必要な作業に導入していきたいと考えています。



