王宮イベが始まったその傍らで、散らかり過ぎて手のつけられなくなったテキストを片付けております。
自分の書いたテキストを読み返すのは、描いた絵をみるよりは大分楽です。
自分の過去の同人誌1冊あれば、あたしは恥ずかしさのあまりしぬる!!それくらい自分の絵を見るのはツラいッスおっすw
「同人創作なんて、所詮は公開オ○ニーよね」 と言ったのは、当時同じジャンル同じカプリングで仲良しだった文字書きさんのセリフだけど。
あたしもそう思うわーって言ったら、「オ○ニーという単語が気に入らなかったのか、ある読者から剃刀送られて来てさあ(笑)」と打ち明けられました。
どうしてるかな、Mさん、Hさん。彼女達のテキスト大好きだったんだよねー挿絵描かせてもらったのはいい思い出です。
ていう話はさておき。
以前裏ゴミ箱に公開したテキストの没の方です。「メモ」ってタイトルで下書きのママ残ってた。
あたしだけが書いてて楽しいオ○ニーテキストです。
アルとプリンセスの話ですが、アル出てきません。願いを叶える星のナンチャラのヤツです。
よかったらどうぞ。
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鏡越しにその知らせをルルから聞いた。
「あっ、申し訳ございません」
紅筆を手にしていた侍女が慌てて化粧紙をプリンセスの顎にあてる。
「ごめんなさい、急に動いた私がいけなかったのよ」
恐縮する侍女に微笑みかけるとプリンセスは小さく息をつき、その唇を閉じた。
ウィスタリアのプリンセスが学芸交流を目的としてシュタインを訪れたのは、夏が終わり空が高く澄み始めた秋のことだった。
闊達すぎるプリンセスに交流の場を引っ掻き回されるのではと、文官達は慄いていた。しかし、予想に反して彼女は真摯に彼らの言葉に耳を傾け、慎ましくも想像以上に機智に富む意見を述べたりするものだから、3日に及ぶ会議と対談が終わる頃にはすっかり打ち解けていたのだった。
特に天文学の権威と官僚を兼ねていたある老博士は、プリンセスのことを気に入ったようで、会食を一席設けたいと国王に奏上したほどだった。近々現れる珍しい星の観測会を兼ね親善を深めたい、と。
無論国王は快諾し、国王も出席する晩餐会が開かれる運びとなった。
星見ということで、室内ではなく広いバルコニーに晩餐の席は設けられた。
城下では「願いを叶える星」という異名を持つ大きな星が天高く輝いていた。
会食が終わり、宴の出席者達は銘々に杯を交わし会話を楽しんでいる。よくある晩餐会とは違い、文官や学者が多いせいか、まるで学芸サロンのようだった。国王もアカデミアの博士達と歓談しているのが見えた。プリンセスは席を立ち、少し離れてバルコニーの手摺の側に向かった。
「この季節のこの期間、月の邪魔がない時間帯によく見えるのですよ」
と、老博士が教えてくれた言葉を思い出しながらプリンセスは空を見上げる。城下の民はあの星にさまざまな願いをかけるという。自分もなにか願いをかけてみようか…
「お願いごとをされるのですか?プリンセス」
振り返るとそこには今夜のもう一人の賓客が立っていた。
遥か東方の国より旅をしてきた使節団の若き長。
「いえ…まだ。イェン・ジン様はされまして?」
「いいえ。星はプリンセスのお願いを待っているようだ」
瞬く星空をイェン・ジンは振り仰いだ。
「星の宴というのに、さきほどは当てが外れた話をしてしまった」
プリンセスは、大きく首を振る。
「いいえ!そんなことはありませんわ。とても面白かったもの。空にまつわる話で、ということでしたし。皆さん聴き入ってましたもの!」
「そうですか」
「ええ!」
口元だけに笑みを浮かべる彼のその顔に、プリンセスはふと気づく。
「どうかされましたか?」
「今夜の星見の晩餐会に、ブルクハルト様は出席されないとのことですわ。ユーリが代行されるそうです」
侍女から紅筆を取り上げて、ルルがプリンセスの化粧の仕上げを始めた。
「なんでも、東方の国から使節団がいらしたので、その対応の手配にかかっているってことですけど…」
手早く、しかし丁寧にプリンセスの唇に紅を引いて行く。
「こちらがシュタイン入りしたときに挨拶したっきりって。ちょっと失礼だと思いますわ!」
「ルルがコワいから近寄らないのよ」
「えーッ!!」
そんなわけないですよー!こわいのはこっちですーー!!とルルが騒ぐのをそっちのけで窓の外を見る。もうすぐ日が暮れる。
事実、多忙なのだから仕方がない。気難しい騎士団長の顔を思い浮かべる。大丈夫、こんなにはっきり思い出せる。きっと、もっと険しい顔で公務を片付けているに違いないと思うと、少しだけ笑みがこぼれた。
そうだ。向こうが来れないというのなら。
青いシフォンが重ねられたエンパイアドレスに銀糸の編み込まれたストールを纏い、いつもより高い位置で結って飾り櫛で止め、背中に長く垂らした髪に生花を散らした。ルルの独断で「星みたいだから!」と青い矢車菊が選ばれた。
「今夜の晩餐にぴったりですよ」
ルルは両手を握りしめて、自分が着飾ったかのように喜んでいる。
「…うん」
鏡の前の自分の姿から目をそらし、プリンセスは何度目かのため息をつく。ルルはため息の理由に気づかないわけでもなかったが、敢えて笑顔で振舞うことにした。
「これでシュタインの文官も全員攻略しちゃいましょう!」
ね?とプリンセスの顔を覗き込む。さすがにプリンセスも笑わずにいられなかった。
「それと。なんだか外国の方もお見えになるそうですよ?」
「どこの国の?」
「さあ。わかりません。とても遠い国のようで…聞いたことのない名前の国でした」
どんな方かちょっと楽しみですよね!とルルはプリンセスの手を取り、
「お時間でございます、プリンセス」
と謹直な女官の顔になった。
雲一つない夜空には幾つもの星が瞬き始めている。あの星々が眠る頃に…と、プリンセスは誰にともなく小さく頷いた。