いつもの歯医者さんの手が止まります。
「だから歯根の影は治療いいと思うんだけどなあ…先生は絶対治療させたいのかな。なんか言ってた?」
「もっかい先生に確認してみてスタートするみたいなことを」
「うーん…この影でしょー? 症状もないのにいじるレベルかなあ」
白ヤギVS黒ヤギ再び
「ういさん、したい?」
「する必要ないなら全然!」
先生、大きくひとつ頷きました。
「 治療の必要ぼくはないと思う! じゃ、この話終わり! さー歯ぬくよー」
麻酔をぶしゅーっと射されました。
しばし待つ。
その間も助手さんたちが、気分悪くないですかー? と声をかけてくれます。
ほんとこの医院好き!!!
なんか声かけにしても動きにしても、心の底から気遣いと優しさでできている!
こーゆーの、表面的なのとの違いって滲み出ますよねええ。
「さてういさん」
ペンチっぽいの持った先生、スタンバイ。
「抜いたらもう後戻りできないよー? いいかい?」
「ハイ!!」
「ようし、いいお返事だ。じゃあいくよー」
アハハーと笑って肩をなでてくれてから、ガッツリいかれました。
左下の前歯から数えて4本目。犬歯の横。
しかしこれがなかなか抜けない!
以前抜いたのは歯茎悪くてもうぐらぐらだったからアッサリ抜けたけど、今回は違いますからね。
もうなんていうか、
ちょ!!! オレ健康体なんだけど! ういの人生に必要だと思うんだけどなんで?! なんかの間違いじゃね?! 違う歯じゃね?!
とアワアワしているかのよう。
すまぬ。しかし私の歯は5人掛けの椅子に7人座ってる状態なのだそうだ。
乳歯からバトンタッチして以来、君がずっと頑張ってくれてたことは知っている。たいしてケアしない私をよく支えてくれたね。
今までありがとう。
君のことは忘れない。
だから頑張りすぎないで早く抜けてくれんかの!?
も、クレーンゲームの気分ですさ!
このままペンチで吊り上げられるんじゃないかと本気で思うくらい、ぐーってやられました。
「あー、抜けないね。大丈夫? 休む?」
「らいひょうふれす」
「よし、先生もがんばるよー」
えーいっと気合い共にやっと抜けた。
「…先生」
「あ、痛い!?」
いえ。
「記念に歯をもらいたいです」
「そっちかー(笑)。いいけどまずは綿球噛んでてねー。おしゃべりはまた後で」
よしよしされました。
