§1.仕込み
あ
これから評論の学習方法について解説していきます。そして、それを読み、学習方法を知った上で評論の学習を進めていってもらいたいと考えていますが、それをより効率的に進めるためには避けて通れないポイントがあります。
あ
今からそれについて、説明したいと思います。それが仕込みの段階です。皆さんは教科書に掲載されている文章を読んだり、問題集や模試、過去問などの評論の問題を解いたりしながら、その文章に書かれている内容を楽しみながら読んだことはありますか。もし楽しみながら読めないのであれば、楽しみながら読めるようにしてください。なぜなら、それらの文章を楽しみながら読めないということは、入試で出題されるような文章を読むのが苦痛であるということです。
あ
文章を読むことが苦痛である人が、入試において高得点を取ることは不可能です。これは文章題というものが出題される、英語などでも同じことです。まずは問題文を読むこと自体が苦痛であるというなら、それを改めるようにしてください。
あ
では、文章を読むのが苦痛である場合、それを改めるにはどうしたらよいか。ここでは評論の場合を説明しますが、答えは入試に出題されるような評論の内容に興味を持てばいいのです。そして、そのためには理屈っぽい性格になることが必要です。
あ
普通の高校生からしたら、評論で書かれている内容のほとんどは「どうだっていいじゃんそんなこと」って考えると思います。しかし、そういった文章が実際に出題されるのです。「どうだっていい」と言って、避けて通ることはできないのです。入試に出題される評論文は多少なりとも現代思想と関わっている内容のものが出題されます。何らかの思想を持っている人は理屈っぽいものなのです。
あ
そういう人の書いた文章についていくためにも、日常の中でいろいろ物事を理屈っぽく考える癖があると、評論アレルギーも多少は収まると思います。このアレルギーを取り除くことがまずは仕込みの段階で行うべきことです。新聞の社説などから始めるのがよいと思います。新聞の社説などを読み、ある物事に対してあれこれ考えている人の文章を読む機会を増やすことで、理屈っぽい人が書く各種評論に慣れる下準備をするのがいいと思います。
あ
§2.文章読解に関すること
あ
評論アレルギーを克服できたら、いよいよ本格的な評論対策に取り組みます。これは評論に限らず、小説や古文・漢文にも言えることですが、国語の場合、文章を読解する作業と解答を作る作業、それぞれ別々に対策を進めていく必要があります。文章読解力がいくら優れていても、いわゆる解答テクニックを身につけていなければ得点にうまく結びつきませんし、いくら優れた解答テクニックを身に付けていても、本文をろくに理解していないのであれば当然得点することも難しくなります。読解力と解答テクニック、この両者が揃って始めて国語の得点能力が上がると思ってください。
あ
(1)主述をはっきりさせる
あ
一番始めに書きましたが、この(1)は現代文がそれほど難しくない学校を受験するのであれば、それほど意識しなくてもいいのかもしれません。ですが、現代文が難しいとされる学校を受験するのであれば、ここから注意深く見ていくようにしてください。現代文が難しいとされる学校の多くは、出題される文章自体が非常にわかりにくく書かれているのです。テーマが抽象的過ぎたり難しい言葉が多用されていたりして、高校生には理解されにくいものとなってします。さらに厄介なことは、そのような文章に限って、一文がやたら長いのです。
あ
一文が長いと非常に厄介です。なぜなら、その長々と書かれた一文で結局筆者が言いたいことは何なのか捉えにくいからです。そんな窮地を救うのが、主語述語の対応に注目することです。一文の要点と言うのは、主語述語が全てです。一見複雑に見える長々とした一文も、結局は主語述語の対応関係がその一文の核になっているわけです。その核さえ把握できれば、その一文で筆者がどんなことを言いたいのか正確に把握することができます。わかりにくい一文に出くわしたら、主語述語をはっきりさせるようにしましょう。
あ
(2)文相互の連接に着目する
あ
連接という言葉はあまり聞きなれないと思うので説明します。文章というものは文が連なって文章を構成していますが、そのうち、隣り合っている文同士のつながりを連接と言います。ではそれにはどのようなものがあるのかについて説明します。
あ
隣り合っている文同士がどのようにつながっているかは、基本的には、接続詞を参考に理解に努めてください。各接続詞の用法などはさすがにわかりきっていると思うので、省略します。使われている接続詞に注目すれば、隣り合う文同士がどのような関係で連なっているか把握できると思います。
あ
では、それ以外の場合はどうしたらよいのでしょうか。全ての文のつながりで接続詞が使われているとは限りません。それどころか、接続詞が使われない文のほうが圧倒的に多いはずです。接続詞が使われていない場合、いったいどのような関係で2つの文がつながっていると考えればいいのか。まずは同じ話題が続いているのだと考えるようにしてください。前の文から後ろの文へと同じ話題で更なる展開がなされていると考えるようにしてください。直前の文のさらに詳しい説明が直後の文でなされていると考えるとわかりやすいかもしれません。
あ
このように、隣り合っている文同士がどのような関係でつながっているのか把握していこうとすることは、評論文を理解していくうえで非常に重要となってきます。次に、ではいったいどのように文同士のつながりの理解が文章理解に役立ってくるのかを説明したいと思います。
あ
(3)形式段落の要点を把握する
あ
(1)で文章を構成する個々の文の要点を把握し、(2)でそれらの文がどのようなつながりを持っているのかがわかれば、一つの形式段落の中で、筆者がどのような思考を行っていたのかを捉えることができると思います。これを把握すれば自然とその形式段落で筆者がもっとも主張したかったこと、さらにはその形式段落における話題の中心を理解することができます。
あ
このように、文章を構成する一つ一つの形式段落で要点を把握していくようにしましょう。それを積み重ねていけば、どのような展開、過程を経て最終的な筆者の意見に辿り着いているのか理解することができるはずです。
あ
(4)わかりにくい箇所を理解する方法
あ
一応(1)~(3)の手順を踏まえれば、筆者が結局どのようなことを読み手に伝えたかったのが把握できると思います。しかし、難関校の入試問題となると、「どうやらこの文章で言いたかったことは○○だな。でも○○ってどういうことだ?それがわからないとこの設問の答えわからないんだけど・・・」と言うことが往々にして起こってくると思います。
あ
そのときの最大のヒントは、実は(2)で説明した事柄です。一本の評論で筆者が言いたいことは、実は非常にシンプルなことです。しかし、そのシンプルなことはただ一言で言っただけではわかりにくく、それを読み手に納得してもらうことが非常に難しいのです。そこで、筆者は様々な言葉を用いたり論理的に意見を展開したりすることで、読み手の説得を試みるのです。つまり、あることを説明するために別の箇所で別の言葉を使い、最終的に文章という形にするのです。この特徴を、文章を読んでいる途中でわかりにくい箇所に遭遇したら利用するようにしましょう。
あ
例えば、非常に抽象的な言葉を使っていて何が言いたいのかわかりにくい箇所に遭遇した場合。入試で問われるような評論は非常に抽象度の高い内容となっていますが、全文が抽象的な内容になっているということはまずありえません。必ずどこかに具体的な話を利用して、少しでも抽象的なことをわかりやすくするような配慮がされているはずです。抽象的な言葉だけで説明していたら、読み手の説得など到底期待できないからです。読み手の説得が期待できないのであれば、本末転倒となってしまうので、どんな気取った文章家でもすべてが抽象的な言葉で終わってしまうような文章を世間に発表することはありません。
あ
このように、文章中のわかりにくい箇所に遭遇したら、それが文章内のどの文とどのような関係にあるのかに着目し、つながりを持っている片方の文の内容を理解できれば、その文の内容とその文とのつながり方をヒントにわかりにくい箇所を理解できるのです。
あ
(5)(1)~(4)をひたすら実践する
あ
次に行うべきことは、以上で述べてきたことをひたすら実践することです。どのような文章で行うかについては、まずは簡単なものから始めるといいかと思いますが、評論アレルギーを取り除く場合と違って、この時点では新聞の社説は卒業した方がよいと思います。癖が強すぎる文章であることが多いからです。教科書に載っているような文章、それも最初の方の単元が初級としては適していると思います。ただし、教科書によっては掲載されている文章が簡単すぎることもあるので気をつけてください。
あ
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