“そこに自分の考えはあるか” と吉田さんは問いかけます。
40年以上前になりますがTVの音楽番組(たぶんNHK「世界の音楽」)で有名な曲の中の印象的な楽器をのぞいて演奏しその抜いた楽器は何かを所謂クラッシック愛好家の皆さんが答えるクイズをやっていました。
出題はBrahmsの交響曲第1番冒頭。ティンパニを抜いてたのですが全員分からなかった。
とても驚きました。音楽的素養も教養もない私でさえ分かったのに・・・。「えっ私でもクラシック愛好家になれるかも」とその時思いました。そして今やまんまとクラシック音楽三昧の毎日です。音楽を聞く上での指針の大部分は吉田さんの評論でした。“そこに自分の考えはあるか”
世の中が売りたい演奏家ではなくて私が聞きたい演奏家を聞いています。選択の誤りもあれば幸せな演奏会に遭遇することもあります。
吉田さんの著書でMozartとJohann Strauß IIについの文章で、これも驚いたのなんのって。
「Mozartも微妙な耳に恵まれたおかげで、ずいぶん苦しんだに相違ない」
モーツァルトを求めて 古典の複雑と精妙について 白水uブックス
教養に欠くゆえに微妙の本来の語意を知らなかった私でした。