雅喜：怒ってないの？君を騙してたこと
ルリ子：お仕事でしょ？あなたの。だったら仕方ないんじゃない？あたしも受付で笑顔振りまけって言われたらそうする。生理前でイライラしてても
雅喜：君、おもしろいね

ルリ子：そういう職業なんて言うの？
雅喜：別れさせ屋・・
ルリ子：今まで何人くらい別れさせたの？
雅喜：・・30人弱かな
ルリ子：すごい！

ルリ子：それでいつも、自分探しの旅に出てバイバイしたの？
雅喜：まぁ、そうだね

ルリ子：でも実際あなたは日本にいる。そのあと街でバッタリとかないの？
雅喜：全員の行動様式を把握してるから。どこに現れて、電車なら何線に何時ごろとか・・まぁ今んとこないだけで、イレギュラーにバッタリって・・いつかはあるかもね
ルリ子：そのときあなたが別のターゲットと一緒だったら、修羅場になるわね
雅喜：どうかな・・
ルリ子：あたしならぶん殴る

雅喜：ねぇ、やっぱり君怒ってるでしょ
ルリ子：怒ってない。

ターゲット相手に本気に好きになりかけたことはないのかと問うルリ子。
だけど「仕事だから」とキッパリ割り切っていると言う雅喜。

ルリ子：思いは強い人たち・・・逆転位、って言うんだっけ？ほら、相談に乗ってたセラピストが患者に取り込まれちゃうの
雅喜：自分がいないとこの人はって、そういう気持ちにさせられちゃうんだろうね

ルリ子：あなたがそういう気持ちにさせられたりは？
雅喜：だからないよ

ルリ子：一度はあるでしょ
雅喜：一度もない

ルリ子：だったら今あなたがここにいるのはどういうことなの？！説明しなさいよ！
雅喜：君やっぱり怒ってるでしょ！
ルリ子：怒るか怒らないかは返答しだいよ

雅喜：・・・・正体がバレたからね・・
ルリ子：あなたが別れさせ屋だと？
雅喜：うん
ルリ子：それで・・自分探しの旅に出るキッカケを失ってしまった・・
雅喜：そう。
ルリ子：・・それだけ？
雅喜：・・・うん

ルリ子：ていうかそれこそシャレにならないから、自分探しもクソもなく泥を決め込むところじゃないの？
雅喜：・・・もう会えないと思ってた・・君はそう言ったね？
ルリ子：普通はそう思うでしょ

雅喜：君は普通じゃないでしょ
ルリ子：人をイかれた女みたいに言わないで！
雅喜：そういう意味じゃ・・
ルリ子：だから・・なんで泥を決め込まなかったの・・？

雅喜：俺がいないとこの子は、って・・・そういう気持ちにさせられたから・・
ルリ子：・・・え・・？

雅喜：って、言えばいいの？
ルリ子：・・・バカ！！

雅喜：ごめんごめん
ルリ子：・・・・・もしバレなければ・・あたしの前からも消えるつもりだったのよね・・
雅喜：正直言うと、そうだね・・

ルリ子：バレたからまた会いに来た・・プロとしてこのままじゃいけない・・正直に話して、改めて別の別れ方を探せばいいって・・
雅喜：そうか・・そういう心配をしてるのか
ルリ子：だっておかしいでしょ？！昨日まで消えるつもりだった人が、急にまた現れるなんて！・・・何かの・・ずる賢い意図があるか・・
雅喜：ないよ全然そんな意図は

シニカレ12話。