今の自分にがっつり刺さる小説を読みました。
(お風呂で読んでたらふやけてしまった…(´;ω;`))

奥田亜希子さんの『五つ星をつけてよ』。

タイトルからも滲み出ていますが、「承認欲求」をテーマにした6編の短編小説です。

承認欲求とは、
認められたい。
悪く見られたくないと、人の評価を気にしてしまう。
というような欲求と感情だと認識しているのですが、

今の自分、承認欲求のかたまりです。笑

承認欲求の痕跡はブログにたっぷり残っているので詳細は語りませんが汗、
そういう状態なので、この小説がわたしにザクザク突き刺さります。
自分の気持ちが見透かされている気がして、(恥ずかしさで)ドキドキしてしまいました。

この物語には
自分と全くタイプの違う「登校の時間だけの友達」に引け目を感じてしまう女子高校生(キャンディ・イン・ポケット)、

巣立った子どもたちに疎ましがられながらも手作りジャムを送り続けることをやめられない母親(ジャムの果て)、

元カノが結婚したことをSNS上で知り、思い出がフラッシュバックして動揺してしまう男(空に根ざして)、

評価のよりどころにしていた母の老いに戸惑いをあらわにする中年女性(五つ星をつけてよ)、

思春期の娘に翻弄されつつも、自分の思春期のころを思い出し、評価軸の違いに思いを馳せる母親(ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ)、

結婚生活に苦悩する元アイドルの女性、そのアイドルのブログに批判コメントをやめられない女、その批判をただ観察する男(君に落ちる彗星)
が登場します。

認められたい相手がいる。
認められたい相手を失いつつある。
衝動的に人を評価する。人を裁くことを止められない。

誰かに評価され、また誰かを評価することによって生きてきた彼らは、物語が進むうちに自分自身の「承認欲求」に思い当たります。

そして彼らは、承認欲求が強いあまりに相手のことを信じられなくなったり、
親の評価に頼って生きてきたことに気づき愕然としてしまったり、
自分の評価軸の浅さに気づいて呆れてしまったり、
人が裁かれるときの「痛み」に気づいて衝撃を受けたりします。

そこに至るまでの感情描写がとても細かく描かれていて、読みながら胸が痛くなりました。

わかる、わかるよ、とうなずきながら読みました。

そして、「承認欲求」に触れた彼らの痛みや衝撃が悲痛な叫びとなって物語中に響いている、
そんなイメージを抱きました。
檻の中から助けてー!ここから出してー!って叫んでる、みたいな感じ。

わたしはその叫びを感じながら、同時に「生きてるって感じがする」とも思いました。

評価されることも、評価することも、人が生きている以上、逃れられないものだと思います。

他者がいるから自分がどういう人間なのかがわかります。
自分と他者を区別する以上、どうしても評価する、されることはついてくるのだと思います。

そして評価する、される、承認欲求の根底にあるものは、まぎれもなく「自分である」ということだと思います。

自分をちゃんと認めてほしい、見つけてほしいから承認欲求が湧き出てくるからです。

だから「誰でもいいから認めてほしい」というわけでなく、そして認めてほしい相手をなくしかけるとまるで自分もなくなってしまうかのような気持ちになってしまうのでしょう。

承認欲求を感じることは、自分自身と向き合うことだということを改めて突きつけられました。

わたし自身もがいている最中ですが、できることなら、もがいている人に寄り添って、「わかるよ、大丈夫だよ」と言えるような存在になりたいです。

そんなこともふと感じた物語でした。


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