政府の国会同意人事の扱いを巡り、首相官邸と社民党の関係がぎくしゃくしてきた。今月下旬に衆参両院で採決予定の人事案のうち、社民党は班目(まだらめ)春樹東大大学院教授を原子力安全委員会委員に充てる案などを問題視。国会に提示する前に、与党間で事前調整する仕組みを設けるよう主張している。一方、平野博文官房長官は人事案が漏れると、国会審議が困難になるとして応じない構えで、政権の波乱要因になっている。
社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は21日、川崎市内で記者団に対し、同意人事案について「連立3党が事前に最低限のチェックができる仕組みを作るべきだ」と指摘した。同党にとって「脱原発」は党是であり、原発推進派の班目氏を原子力安全委員に充てる人事を安易に受け入れれば、支持者の離反を招きかねない。
しかし、平野氏は事前調整に否定的な姿勢を崩していない。自公政権当時の07年10月、与党に事前提示された一部案が正式提示前に報道され、野党だった民主党の反発で白紙に戻った。その際、衆参両院の議院運営委員長が「事前に報道された場合、原則として当該者の提示は受け付けない」との方針で合意した経緯があるためだ。
閣僚である福島氏は、衆参両院に示された同意人事案の閣議決定に反対はしづらい。社民党が事前調整の復活を求めるのは、同様のケースを防ぐため、あらかじめ「問題人事」を外す苦肉の策でもある。党内では班目氏の人事案について、福島氏が閣議署名する一方、本会議での採決で党所属議員が棄権する苦しい対応案も浮上している。【西田進一郎】
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