訪問しているご利用者さまの貴重な体験談を聞くのがとても楽しみだ。

私のこころの引き出しに宝物のようにしまわれていく。

 

 今日は91歳の女性の、まるで昭和初期の映画のようなお話にすっかり魅了された。そして、家のそこここに年季の入った、長火鉢、スズの茶入れ、茶瓶など日常生活に自然に溶け込んで、何かゆったりとした雰囲気が漂う。

 また、その女性は骨董品が好きで直径2センチくらいの小さな鈴を1万円で買ってきたとか。そんなかわいらしい、古いものが引出しにいっぱい入っていた。その一つ一つの話を聞くのがまた、おもしろい。

 

 ケアマネと言う仕事はバーンアウトする人も多く、大変だったり忙しかったりするけれども、自分が体験したことのない、貴重な話を聞けることはとても楽しいと思う。「へぇ~、そんなに苦労したんですね」とか「めったに経験できることではないですものね」など、言葉がポンポンとでると相手の方もますます興に乗って下さる。


  高齢者は「いつも世話をされる人」という見方は一面的だと思う。

ひとは時間と空間によって成り立っているとすれば「複合的、多面的、立体的に」生きてきた世界と過ごしてきた時間との掛け合わせである」と。これは何かの本の受け売りであるが。

 だから、私はその人を前後縦横から見たいと思う。知りたいと思う。その人の喜怒哀楽の理由を探りたいと思う。人間理解には奥がないから、行けども行けども興味は尽きないのだ。


今日は明珍の火箸を見せていただいた。2本当てると 涼やかな音が出る。

槍を作る鍛冶職人の作品だそうで それぞれに加黄鍛之大正14年12月吉辰と、浪速住人源正一63歳造之の銘が入っている。